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【文化祭準備編22】僕は学校に登校する

今回は光晃が学校に久々に登校します

光晃が学校に行くのは自分が行きたいからじゃありません!

では、どうぞ

「はぁ……憂鬱だ……」


 僕は今、憂鬱な気分で学校に向かっている。事の発端は今朝に遡る───────────


「ねぇ、光晃」

「どうしたの?葵衣」

「学校に行きなさい」

「は?何で?」


 いきなり学校に行けと葵衣に言われた。僕としては文化祭準備に参加したくないんだけど?


「いいから行きなさい!」

「嫌だよ」


 詳しい事情もわからないのにどうして学校に行かなきゃいけないんだよ……


「水沢さん、理由も言わずにいきなり学校に行けって言われても光晃は納得しないと思うよ?」


 優奈の言う通りだ。僕は何の説明もなく強制されたら絶対に首を縦に振らない


「そうだよ葵衣。僕が学校に行かなきゃいけない理由を説明してもらわなきゃ困るよ」

「あれ?理由を説明してなかったっけ?」

「してないよ」


 僕は葵衣から何の説明も受けてない。その証拠に僕の主張を聞いて優奈が隣りで頷いてる


「ご、ごめん……でも、光晃に行ってもらわなきゃ大変なんだよ」


 その大変な理由を聞いてないんだけど?


「その大変な理由を教えてほしいんだけど?」


 大変だと言われただけじゃわからない。こういう場合はどうして大変なのかを言ってくれないと困る


「光晃は私が教育実習生だったってこと知ってるよね?」


 知ってるも何も実習生時代に指導案の作成とか教材研究を手伝ったのは僕だ。知らないはずがない


「知ってるも何も葵衣が実習生の時に手伝ったのは僕だよ。知らないはずがないじゃないか」


 学校が大変なわけと葵衣が教育実習生だったのを確認する意味がわからない


「うん、そうだね。その教育実習で光晃を指導しようとした先生の事は覚えてる?」


 過去に僕を指導しようとしたバカは教師を含めてたくさんいた。だから、そんな連中1人1人を覚えてるわけがない


「教師を含めてそんな奴はたくさんいたから覚えてないよ」


 今まで生きてきてパンを何枚食べたか覚えてないように僕が過去に潰した教師、教育実習生の顔を覚えてるはずがないだろ?


「そ、そう……じゃあ、聞き方を変えるけど、私が実習生の時に光晃が回し蹴りを喰らわせた実習生の事は覚えてるかな?」

「あー、実習生の1人にそんな事したっけ」


 今までの実習生は言ったら諦めてくれたりしたけど、葵衣が実習生の頃に来た実習生の中に1人だけ言っても解らない実習生に回し蹴りを喰らわせたのは覚えてる


「光晃、そんな事したんだ……」


 優奈は僕がそんな事する場面を想像できないのか、唖然としている。僕だって話し合いで解決できるならそうする


「で、昨日の夜にこんなメールが届いたんだけど……」


 葵衣は携帯を僕に差し出した。誰が葵衣にメールしたんだ?っていうか、葵衣に届いたメールと僕が学校に行かないといけない理由と何の関係が。とにかく、葵衣に届いたメールを見てみよう


『今日の昼休みに葵衣さんが教育実習生の頃に来ていた実習生だった1人が学校に来ました。何でも光晃を出せっていう用件らしいです……いないって言ったら明日また来ると言われました』


 メールの差出人は真理姉さんで、内容は葵衣が実習生だった頃に葵衣と同じく教育実習に来ていた1人が僕に用があり、学校に来たけど、いない事を伝えたら明日─────つまり、今日、学校に来るってわけか


「僕にどんな用事かは知らないけど、僕が学校に行く意味は?」


 その実習生がどんな用事かは知らないけど、僕が学校に行く意味が見いだせない


「メールに添付してある画像を見て」

「ん?画像?そういえば何かあったね」


 真理姉さんから葵衣に送られたメールには画像が添付してあった。でも、その画像が何だって言うんだろう?


「これは……!?」


 メールに添付してあった画像を見て絶句した。


「ん?何?何?これは……」


 隣りから覗き込んできた優奈も画像を見た瞬間に絶句した。その画像は文化祭の立て看板や展示の装飾がズタズタに引き裂かれた光景が収められていたからだ


「これを僕に見せて何の意味があるの?ハッキリ言うけど、これはもう警察が動いてもおかしくない事件だよ?」


 どんなものであれ他人のものを壊したんだ。これは1人の高校生に何とかさせるんじゃなく、警察に相談するのが筋ってものだ


「それは……そうなんだけど……」


 浮かない表情の葵衣。メールに詳しい事は書いてなかった事と葵衣の浮かない表情を見てさらに文化祭準備をメチャクチャにしても誰からもお咎めなしの理由……北南高校は学校として被害届を警察に提出したけど、却下されたとする。でも、その却下された理由は?


「真理姉さんのメールに詳しい事は書いてなかったけど、何か警察に相談できない理由か何かあるの?」


 僕が見ている限りじゃ北南高校を叩けば埃がたくさん出てくると思うけど……ともかく、僕の考えは置いといて、葵衣から詳しい話を聞いてみよう。じゃないと僕の考えが進まない


「詳しい事は聞いてないけど、警察も動けない理由があるみたい……」


 葵衣は警察が動けない理由があると言ってるって事は北南高校が学校として被害届を提出したという僕の出した仮説は間違ってなかったみたいだ。そして、それを却下された。その理由は……警察のトップにソイツの父親がいるとかそんなでしょ


「あ、そう。どうせソイツの父親か誰かが警察のトップとかそんなオチでしょ」


 こればかりは実際に会って詳しく聞いてみないとわからないけど、学校のものを壊してお咎めなしの理由なんてそんなものだろう


「それはわからないけど、とにかく、学校に行ってくれないかな?」

「わかったよ……」


 正直、北南高校の連中がどうなろうと知った事じゃない。だけど、このまま放置すると面倒な事になりそうだから仕方なく行く。


 これが今朝あった事だ。その後、いくつか話をし、なぜか葵衣が僕の制服を持ってきてたのでそれを来て学校に行く事になった。そして、現在───────────


「はぁ……教師の次は警察か」


 教師の不甲斐なさと警察が使えない事にウンザリしながらも学校に向かっていた


「別に僕は北南高校の連中には興味ないんだけどなぁ……」


 教育実習生のお守りの次はその教育実習生が逆恨みしてきたから何とかしろって……呆れてものも言えない


「はぁ……このままバックれちゃおっかな……」


 正直、どうしてこのタイミングで面倒事に遭遇するのか……ひょっとして僕は呪われてるのかな?


「ごちゃごちゃ言っても仕方ないか……」


 1度学校に向かってしまった以上は仕方ない。学校に行ってパパッと用事だけ済ませて帰ろう


「オラ!岩崎光晃を出せや!!」


 学校に着いて早速、教育実習生だった頃の面影が消え、荒れ果てた男が僕を出せと喚いていた


「や、止めなさい!!岩崎君に何の用かね!?」


 1人の老教師が男に向かって叫んでる。どうやら僕が登校した事に気づいてないみたいだ


「俺は岩崎光晃のせいで教育実習は不合格になり、教師になるって夢をぶっ潰されたんだ!!その復讐に来たんだよ!!」


 教育実習が不合格になった原因は自分にあるってどうして考えないかな?バカなの?


「教育実習が不合格だったからと言って復讐するなんて間違ってる!!即刻止めなさい!!」


 北南高校の教師にしてはまともな事を言う。関心感心


「そ、そうですよ!!岩崎に復讐してもどうにもなりませんよ!!」


 理沙が何か叫んでるって事はバカがいるのは僕のクラスか……え?教室まで行かなきゃいけないの?面倒だなぁ……


「はぁ……こんな時に限って見つけたくないものを見つけてしまうなんて……」


 今は全学年の教室の窓が全て開いてる状態で理沙が叫ばなければ教室を特定する事もなかったし、僕の教室にいるんだろうけど勘違いかもしれないで済んだのに……


「仕方ない……手が付けられなくなる前に教室に行こう」


 今はまだ比較的、落ち着いてる方だろうけど、このまま放置すると手が付けられなくなる恐れがある。なのでサッサと教室に行ってサッサと蹴り飛ばして帰る。これが1番いい方法だ


「うわぁ……」


 教室の近くにたどり着くと周囲は人でごった返していた。そりゃいい歳した大人が喚いていれば集まるか


「オラッ!!早く岩崎を出せや!!」


 教室の中から聞こえるバカの声。まだ教室の出入り口の前にすらたどり着いてないのに聞こえるなんて……バカの声は拡声器なしで響くのね


「これ以上待たせても仕方ない……行きますか」


 僕はゆっくりと歩き出し、野次馬をかき分け、教室の前まで行く。そして────────────


「オラッ!早くしろ!!」


 喚くと惨めさが引き立つな……


「そんなに叫ばなくても僕はここにいるよ」


 興味ないから見ないようにしてたけど、クラスメートや真理姉さん、他の教師達が教室の隅に集まってバカがナイフで脅している光景が目に映る


「「光晃!!」」

「岩崎!!」


 僕が現れた瞬間、秀義、真理姉さん、理沙が叫ぶ。人の名前を叫ばないでほしいんだけど?


「やっと現れたか!会いたかったぜぇ……岩崎ぃ!!!」


 男は麻薬でもやっているんじゃないかってくらい狂気に満ちた目で僕を睨みつける。


「僕は別にアンタに会いたくはなかったんですけど?それに、教育実習から3か月経った今更僕に何の用ですか?」


 教育実習が終わってからすぐに来るならまだわかる。だけど、実習が終わって3か月が経った今更になって何の用だ?


「用?そんなの決まってるだろ!!お前に復讐しに来たんだよ!!」

「あ、そう。じゃあ、もう帰ってくんない?僕は文化祭の装飾品が壊された事で心痛んだから」


 復讐心に理解がないわけじゃない。この男が面倒だから適当に相手して帰ってもらいたいだけだ


「ふざけるな!!俺はあの後でどれだけ惨めな思いをしたか知ってるのか!!」

「そんなの知るわけないでしょ。大体、自分の価値観を押し付ける指導しかできない、口がダメなら暴力に走る。そんな奴にまともな指導力があるとは思えないんだけど?」

「黙れ!!お前に何がわかる!?俺は教育実習を落とされる前までは順調だったんだ!!それが、教育実習が不合格になったせいで俺の夢が台無しになったんだ!!」


 お前の夢の事なんて知るか。大体、生徒に自分の価値観を押し付けようとする時点で教師としての素質ナシ!


「あ、そう。でもそれは生徒を指導する上で君に教師としての素質がないだけでしょ?」


 このバカは実習生時代と何も変わってないけど、少しは学習したのかな?まぁ、高校に押しかけるんだから学習はしてないと思うけどね

今回は光晃が学校に久々に登校しました

それにしても、元・実習生の言い分は理解できないものがありますね

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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