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【文化祭準備編23】僕は騒動に巻き込まれる

今回は立てこもり事件の続きです

さて、どうなる事やら

では、どうぞ

 久しぶりに学校に行ってみたらウチの学校で教育実習を受けていた学生の1人がナイフを持って僕の学校に襲撃し、教室で立て籠もりに近い事をしていた。何?それ?笑えない


「うるさい!!お前さえ……お前さえいなければ俺の教育実習は成功してたんだよ!!」


 教師としての素質がないって言っただけなのにどうして僕の存在を全否定されなきゃいけないのやら……


「本当にそうかな?僕がいてもいなくても君に教師としての素質がないという事実に変わりはないでしょ?」


 少なくとも今見ている限りじゃ素質なんてない。教育実習生と言えど生徒にとっては教師だ。その生徒を恐怖に陥れてるし


「どういう意味だ!俺には教師としての素質は十分にあるだろ!?」


 自意識過剰もここまで来ると笑える笑えないの次元を超えて呆れる……生徒に教師としての素質がないって言われた挙句、自分には教師としての素質があるだなんてほざき出したし


「いやいや、教師としての素質が本当に自分にあると思うなら自分の周りをよーく見回してみれば?」

「何だと?」


 僕は別に言う事でもなければコイツに気付かせる事でもないと思って今まで黙っていたけど、周囲を見回してみると男子生徒は怯え、女子生徒も男子生徒と同様に怯えている人もいるけど、中には恐怖のあまり泣いている生徒もいる


「あれ?気が付いてなかったの?じゃあ、教えてあげるけどさ、男子は怯え、女子も男子同様に怯えてるのもいるけど、恐怖のあまりに泣いてるのもいるんだよ?」

「だからなんだ!!俺はお前に復讐さえできればそれでいいんだよ!!」


 コイツは教育実習生の頃から何も変わっていない。自分の事しか考えてなく、生徒の事なんてこれっぽちも考えていない。これじゃ教育実習不合格なのも当たり前だよ


「そう。じゃあ、どうして実習が終わってすぐに来なかったの?どうして関係ない人間を巻き込んだりしてるの?バカだから?」


 復讐したいという考えを否定するつもりはないけど、だからと言って関係ない人間を巻き込むのはいただけない


「ふっ、俺は岩崎、お前に復讐したいが、同時に俺の実習を台無しにしてくれた北南高校にも復讐したいんだよ!!」


 なるほど、復讐の対象は僕だけじゃなく、北南高校もだったか……


「なるほど。教育実習が打ち切りになる原因を作った僕と打ち切りにした北南高校に復讐したいからこんな事してるんだ?」

「ああ!そうだよ!」


 僕は教師も教育実習生も大嫌いだ。それに、今は文化祭準備期間だ。僕は女装する事を担任と真理姉さんに強制されてるようなものだ。このままじゃ僕は確実に女装させられるだろう。どうしたものか……


「そう。ところで、君は昨日もここに来て文化祭の装飾品を壊して行ったみたいだけど、どうやって警察を黙らせたの?」


 学校にある物を壊して警察が動かないわけがない。だけど、葵衣の話じゃそれはないと言ってた


「そんなの親父に頼んで警察に言ってもらったからに決まってるだろ?なんでウチの親父は警察のお偉いさんだからな!!」


 なるほど、コイツが文化祭の装飾を破壊してお咎めなしなのは親の力ってわけね


「へぇ、ところで君は実習を台無しにした原因を作った僕と打ち切った北南高校に復讐したいんだよね?」

「さっきからそう言ってるだろ!!」

「その復讐ってどんな形で終わってもいいの?」

「は?お前何言ってんだ?」


 元・実習生のバカは理解できない顔をしている。ま、僕が逆の立場でも同じ顔をするだろうけどね。それはいい。それに、他の生徒や教師は恐怖で動く事ができないみたいだし、僕としても文化祭準備を合法的にサボる事ができるのは助かる。もしかすると文化祭当日もサボれるかも


「だから、どんな形で復讐が終わってもいいのか?って聞いてるんだけど?」


 僕は復讐さえできればコイツはきっと満足すると思う。それに、身体に傷をつけるだけが復讐じゃないし


「そりゃ復讐ができれば俺は何だってい!!」

「そう……どんな形で終わっても構わないんだね」

「そう言ってるだろ!!」


 僕にとっては北南高校がどうなろうと関係ない。それこそ教師がどうなろうともね。だけど、こんなバカにこれ以上の時間を割いてるのも時間を無駄にしているみたいで嫌だ。なら、どうするか?答えはこのバカの復讐を成功させ、教師達を精神的に再起不能にする。そして、僕は合法的に文化祭をサボる


「じゃあ、その手に持っているナイフで僕を刺せばいい」

「え?」

「「「え?」」」


 元・実習生、秀義、理沙、真理姉さんを含め、周囲の生徒や教師も驚いたような顔をしている


「随分と驚いた顔してるけど、そのナイフは僕を刺すつもりで持って来たんじゃないの?それとも、復讐なんて大層な事を言ったのに刺せないの?」


 コイツに人をナイフで刺す度胸があるとは思えない。万が一刺されたとしても少しの間入院するだけだか最悪の場合は死んじゃうかもしれないけど、死んだら死んだで僕の運が悪かっただけ。問題はコイツが僕を刺すかどうかだ


「さ、刺せる!!俺は岩崎!!お前に復讐する為に来たんだからな!!」


 刺せるって意気込んでた割に手が震えてるのは気のせいかな?それとも、武者震いかな?


「そう。じゃあ、刺して見せてよ。今度はあの時みたいに蹴らないからさ」


 あの時とはこのバカがまだ教育実習生だった頃に掴みかかって来ようとしたところに僕が回し蹴りを喰らわせた事だ


「い、言われなくてもそのつもりだ!!」

「そう。じゃあ、早く刺してよ」


 僕は両手を広げ、抵抗の意思がない事を証明する。


「光晃!!止めて!!」


 怯えてる連中の中から真理姉さんが叫ぶ。だけど、そんなのはどうでもいい。女装するくらいなら刺された方がマシだ


「真理姉さんは黙っててよ。それに、北南高校にとってはいい薬になるでしょ?実習生1人まともに指導できずにいるような学校なんだし」


 教師が実習生をちゃんと指導できていればバカが暴走する事も僕が実習生を嫌いになる事だってなかった


「そ、それは……今度からちゃんと指導するから!だからッ!だから……自分を少しは大切にしてよッ!!」


 真理姉さんの悲痛な声が教室や廊下に響く。だけど、僕にとって自分なんてどうでもいい。


「僕は周囲の人間は元より自分の事だってどうでもいいんだよ。僕がどこで死のうと真理姉さんにもこの学校にいる連中にも関係ないでしょ?それより、そこのバカは僕を刺し殺す決心はついたのかな?」


 僕は真理姉さんから元・実習生に視線を移す。元々の原因が僕にあったとしても生徒同士の会話に目くじらを立てて突っかかってくるのはダメだと思うし、それに、生徒とは極力関わるなくらい言わなかった教師達にも責任はある


「い、今決心してるところだよ!!邪魔するな!!」

「そう。でも、早くしてくれないかな?僕の気が変わる前にね」


 今の僕は本気で刺されてもいいと思っている。あとはコイツに人をナイフで刺す覚悟をさせればいいだけの事


「止めろ!!光晃!!お前には真理さんがいるだろ!?真理さんがお前を大切にしているって思いが解らないのか!?」


 今度は秀義か……大切にしているねぇ……生憎だけど、今の僕はそんな言葉で惑わされたりしない


「大切にしているのと教育実習生1人指導できないのは別だよ。それに、これは僕のせいだけど、実習生を指導しきれなかった教師達にも責任はある」


 僕は文化祭で女装したくないと言う本心を隠しつつも秀義に教師が責任を果たせていない事を告げる。


「そ、それは……そうかもしれないが……だからってどうして光晃が刺されなきゃいけないんだ!?」


 僕が刺されなきゃいけない理由?そんなの決まってる


「僕が刺されればどんなバカ教師だって自分の無能さを痛感するでしょ?ただそれだけの話だよ」


 別に僕は自殺志願者じゃない。だけど、僕が刺される事で北南高校バカ教師連中が少しでも学習してくれるのであればそれでいい


「そ、そんな……」


 絶望したみたいな顔してるけど、秀義だって教師連中と同類だよ。僕が女装する事に反対しなかったんだから


「邪魔が入ったけど、僕を刺す決心はできたかな?」


 僕が真理姉さんと話している間に決心が固まってないようだったから時間稼ぎの為に秀義とも話をしたけど、どうかな?


「ま、まだだ!!」


 はぁ……復讐を口に出してた割には意外と小心者なんだ。でも、僕だってこれ以上待つ気はないよ


「じれったいなぁ……復讐を口に出してナイフまで持参したんだから人を刺すくらいの覚悟くらい早くしてよね。本当にどうしようもない奴」


 僕は元・実習生の元へゆっくり歩き出した


「な、何だ!?」


 僕が歩き出し、動揺する元・実習生


「何だじゃないでしょ。君がいつまでもダラダラしてるから僕が君に決心させてあげようと思ってね」

「い、いらんお節介だ!!」

「そう?お節介って言うなら僕を刺す決心くらいしてよね?」


 僕は一歩ずつ元・実習生に近寄る。


「く、来るな!!」


 僕が一歩進むたびに元・実習生は一歩後退する。だけど、そんなの知った事か。


「へぇ、復讐するだなんて言っておいてその対象が近寄ると後退するって事は君の復讐心はその程度だって事だね」

「ち、違う!!」


 否定しながらも僕が一歩進むたびに後退しているから言動が合ってないのは確かなんだけどね


「違わないよ。君は教師としての素質もそうだけど、復讐するって決めても対象である僕を傷つける事をどこかで怖がっている。君はそういう中途半端な人間なんだよ」

「ち、違う!!違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うちがぁぁぁぁう!!俺はお前の言うような中途半端な人間じゃない!!」


 僕の言葉にキレる元・実習生。だけど、さっきから違うしか言ってないよ?


「中途半端な人間じゃないなら僕を刺してみろよ。ま、中途半端な君には絶対に無理だろうけどな!!」


 僕は確信している。復讐なんて言葉を簡単に使う奴に実行力がない事、このバカは教師としての素質がない事、僕を刺すなんて絶対にできない事を


「お、俺にだってお前1人を殺すことなんて簡単にできるんだ!!」


 できると言いながらもそんな素振りを見せる様子はない


「あ、そう。って言うか、そろそろ本当にじれったい」


 僕はバカと一気に距離を詰め、少し近づいただけでナイフが刺さる位置に移動した


「な、何だよ!?」

「何だよって君がいつまで経っても来ないから僕の方から刺しやすいところまで来たんでしょ」


 刺せる位置まで移動したところで秀義が『止めろ!!』と叫び、真理姉さんが『止めて!!光晃!!』と叫ぶ。そして、理沙は『止めなさい!!岩崎!!』なんて言ってるけど、僕には関係ない


「は、離れろ!!」

「離れろ?どうして?せっかく僕に復讐できるチャンスなのに」


 せっかく刺しやすい位置まで移動したのに離れろとは心外だ


「と、とにかく!!離れろ!!」


 離れろってのはさっきも聞いたよ。じゃなくて、どうして僕が離れなきゃいけないんだよ


「全く……」


 僕が溜息を吐いたところでこのバカ含めてホッとしたのか、安心したような顔をしている。だけど、僕は周囲の期待に答える程バカじゃない


「は、離れる気になったか?」


 元・実習生の顔にほんの少しだけ笑顔が見える。だけど、お前の期待に応えてやるほど僕は優しくない


「まさか。アンタの望み通り苦しんで死んでやるよ」

「な、何を?」


 僕は元・実習生の腕を強引に自分の方へ引き寄せ、ナイフで刺された


「「光晃!!」」

「岩崎!!」


 真理姉さん、秀義、理沙の悲鳴にも似た声が聞こえる。そして、僕の意識はそのまま失われる─────


「あれ?痛くない?」


 失われるはずだった。だけど、ナイフで刺された痛みがいつまで経っても来ない。どうして?


「こ、光晃?」


 真理姉さんが恐る恐る声を掛けてくるけど、僕だって状況が読み込めてないんだ。えーっと、確か僕はナイフで心臓のある位置を刺されたはずなんだけど……


「痛くないどころか血すら流れていない……変だな」


 声を掛けてくる真理姉さんを無視し、ブレザーの中を覗き込むけど、ワイシャツは白いままだ。ワイシャツが白いままなのはいいけど、同時に何か嫌な予感がする


「やっぱり……」


 ブレザーの内ポケットに入れてあった携帯に穴が開いていた。つまり、ナイフは内ポケットに入っていた携帯に刺さったというわけね。


 元・実習生による立て籠もり事件が解決した後、僕はその場で真理姉さんから説教され、秀義、理沙からも説教される羽目になった。で、その帰りに携帯ショップに行って新しい携帯を買って葵衣と優奈がいるマンションに帰ったんだけど、そこでも説教三昧だった。今日は本当にいい事がない



今回は立てこもり事件でした。

光晃の被害は携帯の破損だけで済みました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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