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僕は衝撃発言を聞く

今回は葵衣の衝撃発言です。実習3日目にしてマジか?と思うかもしれませんが、マジです

何しろ2週間の間で告白して付き合う。それ以前に意識する。葵衣は光晃を攻略できるのかな?

では、どうぞ

 昨日は大変だった。真理姉さんに泣かれる事2回。価値観が合わなくて喧嘩もしたけど、それは互いに喧嘩と認識していればの話だ。僕は喧嘩とは思っていない。真理姉さんが一方的に喚き散らしただけだと思っている


「それも後数日だし、我慢我慢っと」


 そう、喚き散らされるのも後数日を耐えればいい。だって僕は今の関係を切り捨て、海外で両親と暮らすんだから。それを考えればうっとおしい幼馴染も脳内花畑従姉も指導案1つまともに作れない教育実習生と関わるのも耐えられる


「よう!光晃!」


 噂をすれば影か……まさか登校中に絡まれるとは思わなかった。まぁ、海外に行く僕はコイツに今更声のボリュームを落とせと注意するなんて無駄な事はしない


「おはよう、秀義」

「おう!おはよう!……あれ?いつもなら声のボリュームを落とせとか言うのに今日は言わないんだな?」

「言って直るならもう直ってるだろ?僕は言っても無駄な奴にあれこれ言うのは止めたの」

「?そうか」


 簡単に納得するんんてコイツはバカか?そっちの方が都合がいいけどね


「用がないなら僕はもう行くけど?」

「あ、ああ、あいさつしておきたかっただけだ!」

「そう、じゃあ、また教室でね」


 秀義を置いて僕は先に教室に向かう。別れる前に優しくしておけばよかった。なんて情はこれっぽちもない。暑苦しいだけのウザい奴。ただ、それだけだ


「担任には話しておかなきゃな……」


 近いうちに転校する事を担任に話さなければならない。それに昼休み辺りに父に電話で真理姉さんに話した。僕の海外行きを喜んで送り出してくれたと言わなきゃいけない。ま、嘘だけど。本当は話してすらいない。別に話す気もないけど


「よーし、HRを始めるぞ~」


 時間になったのか、怠そうに入ってくる担任とその後ろに水沢先生。まぁ、この人とももうすぐお別れだし、少しは優しくしてやるか


 その後、HRが終わり、午前の授業を問題なく切り抜けた僕は昼休みになり、秀義や水沢先生に絡まれる前にいつものサボりスポットへ行く


「昨日、水沢先生は窓から侵入してきたからな。今日は窓の鍵も入念にチェックしなきゃな」


 入口の鍵はバッチリ掛けてある。窓の鍵もOK。よし、昼食にしよう


「ふむ、今日もいい感じだな」


 自分で作っておいてアレだけど、野菜を適当に炒め、焼肉のタレで味付けして焼いた肉をご飯の上に乗っけただけの弁当は簡単だが、それでいて美味しい


「ご馳走様でした」


 食べ終わった弁当箱を片付けて、すぐに父に電話を掛ける。まぁ、時間が時間だけに出てくれるかわからないけど、出なかったら出なかったで留守電に入れておけばいい


『もしもし?光晃?』

「今大丈夫?」


 電話に出てくれたのは嬉しいけど、今の時間は寝ている時間じゃないの?この人はいつ寝てるの?


『ああ、大丈夫だが?』

「そう、昨日の話だけど、ちゃんと話したよ」

『そうか……』

「ああ、ちゃんと話したから転校の話と僕がそっちで暮らせるようによろしく」


 ちゃんと話したというのはもちろん嘘だ。悪いが僕は真理姉さんもそうだが、周囲の人間を信用する気は毛頭ない


『あ、ああ……光晃、お前はそれでいいのか?』


 何を言ってるんだ?それでいい?そんなの聞くまでもない。いいに決まっている


「何に対してそれでいいのかを聞いてるのかは知らないけど、これは僕が自分で決めたんだ。言いに決まってる」

『そうか。なぁ、光晃』

「何?」

『周りの人間はお前が思っている以上にお前の事を見ているぞ』

「あ、そう。とにかく、僕の海外行きの件よろしく」


 僕は最後に用件を伝えて電話を切る。別に誰が見ていようが僕の本質的なものを理解してなければどれだけ周りが見ていても関係ない


「ん?誰かいたのか?」


 外でガタンという音が聞こえたが、誰か盗み聞きでもしていたのかな?あまりいい趣味とは言えない。


「まぁいいか。誰が聞いていても」


 父に意味のわからない事を言われて、それを自分なりに解釈してみた。何が僕の事を見ているだ。結局は僕を見て自分の都合のいいように解釈しているだけ。そう、思いこんでいるだけなんだ


「嫌な事からは目を反らしたくなるのが人間だ。今まで絡んできた実習生や教師もただの人間なんだ。もちろん、僕も」


 僕だって人間だ。嫌な事から目を反らしたくなる事だってあるし、逃げ出したくなる事だってある。だけど、今まで僕に絡んできた実習生や真理姉さんは自分の無力さや弱さを押し付けるように僕に接してきた。切り捨てたくなるのは当たり前だ


「嫌な事ばかり考えてしまう……少し寝るかな」


 少し寝れば嫌な考えも少しは軽減されるだろうし、精神的な疲れも取れる。授業?そんなの知った事か


「ん?今何時だ?」


 どれくらい眠っていただろう……10分?20分?寝ていたせいで時間の感覚が狂っていてどれくらい寝ていたのかわからない


「もう午後の授業が始まってるし……」


 僕としては10分程度の仮眠のつもりだったけど、気が付けば午後の授業が始まっていた。今から教室に戻る意味はほとんどない。授業があと5分もしないうちに終わるから


「今から戻っても仕方ないし、もう一眠り」


 今から戻っても意味がないし、僕は意味のない事はしない主義だ。


「さて、終わったかな?」


 セットしていた携帯のアラームが鳴り、時刻は授業が終わる時間を示していた。後は帰りのHRに出席して帰るだけ


「学校で過ごす1日ってこんなに早かったんだ……」


 今まで気が付かなかったけど、学校で過ごす1日って思ってた以上に早く終わるんだ……これも午前は授業に出て午後はサボってたからこそ見つけられたものだ


「さて、戻るかな」


 授業が終わったからゆっくりと戻れる。それに、僕はクラスメイトとの交流はないからいなかった理由を聞かれる事はない


「ようやく帰れる……」


 HRが終わり、ようやく家に帰れる。家に帰ったら引っ越しの準備をしよう。真理姉さんには適当に部屋の整理とか言っておけば誤魔化せるだろう


「岩崎君、ちょっといいかな?」


 今から帰るというのに水沢先生に捕まってしまった。今から帰って引っ越しの準備しなきゃいけないのにな……


「何ですか?これから用があるんで手短にお願いします」

「うん、でもここじゃアレだから岩崎君のお気に入りの場所に行こうか」


 水沢先生に連れられるままにサボりスポットに連れてこられた。入った時に水沢先生は入口に鍵を掛けた。まるで逃がさないとでも言ってるようにも見えた


「で、ここへ連れてきて僕に何の用でしょうか?」


 指導案を作るでもなくここへ連れて来られた。水沢先生が指導案を作る以外で僕をここに呼び出す理由って何だろう?


「岩崎君、昼休みの話どういう事かな?」


 昼休みの話?何の事だろう?というか、どうして水沢先生から昼休みの話が出るんだ?


「昼休みの話?何の事でしょうか?」

「昼休みに光晃君が海外に行くって話を聞いちゃって……それでどういう事かな?って思って」


 なるほど、昼休みに聞いた物音はこの人だったか……


「別にどうでもいいじゃないですか。あなたには関係のない話ですよ」

「……ない」

「何ですか?」

「どうでもよくない!!」


 はぁ、この人もか……どうして僕に絡んでくる教師や実習生ってすぐに感情的になる人が多いんだ?


「実習生のあなたには関係ないでしょ?それとも、サポートしてくれる奴がいなくなるのは困りますか?」


 実習生であるこの人には僕がどこへ行こうが僕がどうなろうが関係ない。それをわざわざ呼び出してまで聞きに来るなんて教育実習生はそんなに暇なのか?


「関係なくなんかない!!」

「どうして?あなたは実習期間が終われば僕の先生でもなんでもないんだ。僕に干渉する意味はないと思いますけど?」


 この人とは2週間だけの付き合いだ。それが終わったら僕は生徒じゃないし、この人は先生じゃない。僕に干渉するだけ無駄だ。それに────


「小谷先生から言われてませんか?僕に必要以上に絡むなって」

「そ、それは……」


 その様子だと言われているな?この人が言われているっていう事は他の実習生も言われていると見て間違いなさそうだ。つまり、真理姉さんは僕との約束を守ったという事か


「それは?何ですか?まさか、実習3日目にして僕に惚れたとかそんな戯言を言ったりしませんよね?」


 ファーストコンタクトからして最悪だった僕を好きになったとか理解できない事は言わないだろう


「そ、そうだよ!一目惚れしたんだよ!だから君にいなくなってほしくないんだよ!!」


 バカだ……ここに本物のバカがいる。一目惚れってあの最悪のファーストコンタクトでか?しかも、ファーストコンタクトからして最悪で惚れる要素が皆無じゃないか


「あなたは恋愛をしにこの学校に実習に来たんですか?教師になるために来たんじゃないんですか?それが一生徒である僕に一目惚れですか?」

「うっ……」


 僕の追及に言葉を詰まらせる水沢先生。惚れたとか言われても僕の海外に行くという決断は変わらない


「先生に何と言われようが僕の決意も決断も変わりませんし、僕が両親の元へ行くのはいけない事ですか?」

「…………」


 両親の元へ行くと言った瞬間、無言になる水沢先生。ダラダラと先生の相手をしている暇はない。早く家に帰らなければ


「じゃあ、先生。僕は帰りますので」


 無言のままの水沢先生を放置して僕はさっさと家に帰る。教育実習生に告白されて喜ぶほど僕は単純じゃない。そもそも、人を好きになる事自体は否定しないけど、その相手がマズイ。実習生とはいえ教師と生徒だ。実習中に告白するなんてバカの所業としか言えない。


「学校にバレたら大ごとだぞ?」


 ただでさえ最近の学校は小学校・中学校・高校は全面禁煙で教育実習生がトイレで喫煙しているのを目撃されて実習が打ち切られたという事例もある。だけど、水沢先生がした事はそれ以上に質が悪い。生徒に告白するなんて他の生徒にバレたら噂になるし、私情でも挟まれたら贔屓だとか言い出す奴も現れる


「実習生としての自覚が足りないんじゃなか?」


 帰宅途中の道で1人水沢先生がどれだけバカな事をしたかを考える。本当にバカだ。実習が終わった後でもいいだろうに、どうして実習中に……しかも、実習3日目にあんな事を言うんだ?理解に苦しむ。僕に告白する暇があったら教材研究でもしてればいいものの……

今回は葵衣の衝撃発言でした。

作中の最後に光晃が言った事は正しいっちゃ正しいんだけど・・・・

光晃は少し人を拒絶しすぎかなぁ・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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