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僕の海外行きがバレたので家出する事にした

今回は告白された後から光晃がキレて家出を決意するまでの話です

教育実習生の生徒との関わり方は学校によって違いますが、光晃の学校は実習生に積極的に生徒と関われって言ってる模様

では、どうぞ

「あの先生はアホか?」


 帰宅する途中で喉が渇いたので、自販機で缶コーヒーを買い、公園のベンチに腰掛け1人呟く。教育実習生が来てから早いもので3日が経つ。だが、初日の真理姉さんから課せられた罰にも驚いたが、今日の水沢先生の発言には別の意味で驚いた


「あのサボりスポットが滅多な事じゃ人が来ないのが唯一の救いだった……屋上とか教室だったらどんな事になってたか……」


 考えるだけで憂鬱だ。屋上や教室で告白紛いな事をされたら僕は明日から学校へ行ける気がしない


「学校側にバレたら実習は打ち切りで来年からは北南大学からの実習生は受け入れ拒否なんて事にもなりかねないし、何よりも恐ろしいのが僕が水沢先生の告白モドキを受け入れてしまった場合、水沢先生が公私混同をしない保証はない」


 世の男子からしてみれば女性の教育実習生────大人の女性あるいは女子大生に告白されるなんて羨ましい事この上ないだろうけど、僕ははっきり言って迷惑だ。万が一進学先を北南大学にして、教育学部を選んだとしよう。当然そうなれば僕だって教育実習をするわけだけど、その時に北南高校を実習先に選ぶのが不可能になってしまう


「一時のテンションに身を任せての告白で後輩の実習校の候補を潰す気か?あの人は」


 まぁ、あくまでも高校の教員免許取得を狙って実習先を北南高校に選ぶ場合に限る。だけど、高校教師のネットワークで漏れ出す可能性も無きにしも非ずだ


「だけど、僕は海外に行って両親と暮らすんだ。今更何が起ころうと関係ないか」


 僕は全てを捨て、海外で両親と暮らす。だから今いる環境で何が起ころうとも関係ない


「さて、長居は無用だ」


 僕は缶コーヒーを開け、一気に飲み干す。空き缶を備え付けのゴミ箱に捨て家へ帰る


「ただいまって言ってもおかえりって返してくれる人なんていないけど」


 返してくれる人がいなくても不思議とただいまと言ってしまうのは人間の本能的なものなのか、僕の性格なのか……どっちでもいいか。近いうちにこの家の住人じゃなくなるし


「さて、引っ越しの準備準備っと」


 両親の元へ行けばここへ戻ってくる事はもうないだろう。幼馴染とも従姉ともおさらばできてめでたしめでたし。僕にとってはハッピーエンドで終わるわけだ


「ん?着信?」


 引っ越しの為に片付けをしていた僕の携帯に着信が入る。誰だ?こんな時に


「真理姉さんから?何の用だ?」


 メールか電話かはわからないけど、着信を入れてきたのは真理姉さんだった。


「メールか……」


 仕事中に電話なんかしてくるわけがない。してきたとしても学校の電話からで自分の携帯からはしてこないだろう。


「急用かな?それとも買っておいてほしいものでもあるのか?」


 どちらにせよ僕にとってはめんどくさい事には変わりはない。だが、見ないとこれまた面倒な事になる


「こっちは忙しいってのに……」


 文句を言いながらもメールを開封し中身を確認する。そこには────


『お話があります。すぐに学校に戻って来なさい』


 話があるから学校に戻って来いとあった。準備で忙しいってのに……


「家で問いただされるより学校で問いただされた方が幾分かマシか」


 面倒だなとは思いつつも家で問いただされる事を考えると学校の方がまだマシに思えてくる。


「幸い制服のままだし、内容によってはすぐに終わるだろ」


 話をするだけなので僕は荷物を持たずに財布と携帯だけ持って家を出た。


「話って何だろ?サボりすぎて留年確定とか?」


 僕の場合ない話じゃないから困る。特に教育実習生が来てからはサボる回数が増えた。


「どっちでもいいや。もうすぐ転校する僕には関係ないし、今更単位なんて気にしても仕方ない」


 そうこうしているうちに学校に着いてしまった。これから授業だって思って登校すると着くのが遅く感じるけど、手ぶらで話をするだけだと思うと早く着く


「話って何だろ?」


 大した用じゃない。どうせ水沢先生のサポートはどうした?サボるんじゃないっていう説教だろう。とにかく、まずは職員室に行って真理姉さんに会わなきゃ話もできないか……


「失礼します。あの、小谷先生はいらっしゃいますか?」


 僕は適当な教師を捕まえ、相手が口を開く前に真理姉さんの居場所を聞き出した。そして────


「ここか……」


 生徒指導室の前にやって来た。捕まえた教師は真理姉さんがここにいると言っていたし、その教師が口を開く前に早々に立ち去ってきた。口を開いたらお前はサボってばかりの件から始まる説教だ。それだけは勘弁してほしい


「岩崎です。小谷先生」


 ノックを3回し、中から返事が返ってくるのを待つ。


『どうぞ』


 ノックしてからすぐに返事が返ってきた。僕としては早く済ませて引っ越しの用意に取り掛かりたい


「失礼します」


 教育実習生が来たと知った時にサボってここへ連れて来られた時以来だけど、その時と違うのは水沢先生がいるかいないかだけだ


「光晃、来てもらって早速本題だけど、海外に行くってどういう事かな?」


 真理姉さんが学校で僕を“岩崎”ではなく名前で呼ぶなんて余程の事なのだろう。だけど、一昨日呼ばれたばかりだから新鮮さはないけど


「誰から聞いたの?」


 思い当たる節は1人しかいないけど、一応は聞いておいた方がいい。この事は水沢先生しか知らないとはいえ、それはあくまでも僕の認識だ。ここは学校であり誰が聞いているかわかったものじゃない


「水沢先生が泣きながら話してくれた」


 やっぱあの人か……実習生で何かあれば相談しろと言われてたとしても僕のプライベートな事まで相談しないでほしい


「そう。水沢先生が……」


 生徒の転校を泣きながら話す方もどうかと思うけど、下校した生徒を呼び出す方もどうかしている


「で、どういう事かな?」


 真剣な表情で問いかけてくる真理姉さん。どういう事も何も聞いた通りなんだけど?


「どういう事も何も聞いた通りだけど?何か問題でもあるの?」


 何も問題ない。僕が近いうちに海外に行く。それだけの話だ。それ以上でもそれ以下でもない


「あるよ!!私に何の相談もしないで!!」


 ここが学校である事も忘れて叫ぶ真理姉さんだが、特にこれと言った事は何も思わない。僕がどこへ行こうと僕の勝手だ。誰にも指図される謂れはない


「別にいいでしょ?僕にとって居たくもない居場所から僕が居たいと思う場所に移るだけなんだから」


 そう、今の居場所は僕にとっては居づらい。居づらい場所に居るくらいなら僕はそこから出て行く事を選ぶ


「よくないよ!私の側にいるって約束は!?光晃、昔約束したよね!?」

「さぁね。覚えてないよ。そんな約束」


 嘘だ。本当は覚えている。真理姉さんと幼い頃にした約束。お互いに結婚しても側にいるって約束を幼い頃にした。だけど、小学校に上がり教育実習生に絡まれ、中学校に上がり教育実習生に絡まれ、真理姉さんが高校の教師になるって言いだした時に約束を律儀に守る事がバカバカしくなった


「光晃!!」

「真理姉さんこそ約束覚えてる?」

「約束?」


 真理姉さんと幼い頃に約束したように僕も高校入学の時に約束していた。教育実習生の教科指導になった時に教育実習生を僕に近寄らせないっていう約束を


「教育実習生を僕に近寄らせないって高校入学の時に約束したでしょ?覚えてないの?」

「そ、それは……」


 僕が高校入学の時にした約束を突きつけたら狼狽えだした。つまり、覚えているって事だ。だけど、今回、授業サボった僕が悪いとはいえ、その約束を破った。そんな人に約束を守れとは言われたくない


「それは?それは何?」


 真理姉さんのような1人の教師が何とかできる内容の約束じゃない事ぐらい僕でも解る。が、真理姉さんが担当している実習生は違う。職員室であまり僕に関わらないようにくらいは言えたはずだ。それをするどころか、罰にまでするのはどうかと思う


「忘れていたわけじゃない……だけど、私が担当じゃない実習生までは手が届かなかった……」


 それは解るよ?僕が言いたいのはそこじゃない。担当じゃない実習生の事を言ってるじゃなくて、担当していた、あるいは今担当している実習生の話をしているんだ


「僕が言っているのは過去に担当していた実習生と今担当している実習生の事を言っているの」


 何も管轄外の人間にあれこれ言えって言ってるんじゃなくて、担当していた実習生にも絡まれたからそれについては言い訳なり謝罪なりないの?って話で、現在担当している水沢先生が干渉してきた事についても言い訳や謝罪があってもいいんじゃないのか?って話をしたいの


「それは悪かったと思っているし、水沢先生に関してもその場の勢いで光晃に罰としてサポートをしろって言った事を反省している」


 へぇ、一応は悪いと思っているんだ?じゃあ……


「結果的に真理姉さんは約束を破ったわけだから僕も約束を破っても構わないよね?」

「そ、それはダメ……」


 ほう、自分は約束を破っておいて僕が約束を破るのはダメときたか……いい加減にしろよ?僕の中で何かが切れた


「ふざけんな……」

「え……?」

「ふざけんな!!自分は約束を破っといて僕はダメか……ふざけんなよ!!アンタはいいよな!!約束を破っても自分の手が届かなかった、担当していた実習生が言う事を聞かなかったって言い訳してりゃいいんだからな!!僕は散々言ったよな!?実習生と関わるのは嫌だって!入学の時には自分が実習生の担当をする時は僕に近寄らせないって約束したのに……」

「光晃……」


 気が付けば僕は勢いに任せて怒鳴り散らした後だった。らしくもない……こんなに怒鳴り散らすなんて


「もういい。僕は家へは帰らないから勝手に父に話をするなりしてください。さようなら」

「光晃!!」


 後ろで僕を呼ぶ真理姉さんを無視し、生徒指導室を出た。あーあ、これで僕の海外行きもおじゃんか……


「ついてないなぁ……」


 本当についてない。そもそも、水沢先生に聞かれているなんて思ってなかったし、水沢先生が真理姉さんにチクるとも思ってなかった。


「海外行きがなくなったとなると……家出するかな」


 幸いにも電気が通っていて雨風を凌げる場所で誰にも気を使わないところの当てはある


「そうと決まれば家出の準備しに帰ろうかな」


 僕は家出道具一式を取りに一旦、家に帰る事にした。真理姉さんが1人になってしまう?そんなの知るか







今回は告白された後から光晃がキレて家出を決意するまででした。

実習生がよかれと思っていても生徒からしてみれば大きなお世話って事は結構あると思う

光晃がそういうタイプ。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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