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知らないうちに葵衣の姉が一緒に住む事になりそうな予感がする

今回は葵衣に告白した次の日です

番外編最初の話はこれしかないと思いました

では、どうぞ

 僕、岩崎光晃は昨日、水沢葵衣に告白し、めでたく恋人同士になった。今日は休日だけどやる事が山積みだ。だって、昨日、葵衣が住んでたアパートを引き払い、僕の家に引っ越して来た。それはいいんだけど、問題は今日、荷物が届くということだ


「真理姉さん」

「ん?何?」

「葵衣の荷物なんだけど……」

「ん?ああ、光晃の部屋の隣りに空き部屋があるからそこを葵衣さんの部屋に割り当てるよ」


 何だかんだで昨日は葵衣の生活に必要なものがなかったから僕の部屋で僕と一緒に寝ることにしたけど、今日は葵衣の荷物が届くからそれを運び込む作業をする。で、当の本人である葵衣はというと……


「葵衣~よかったね~岩崎君に告白されて」

「や、やめてよ!お姉ちゃん!」


 紅葉さんに僕との関係について弄られていた。頑張れ葵衣!僕は見てるだけしかできないけど!


「あれあれ~?告白される前は岩崎君の話しかしてなかったような気がするんだけどなぁ~気のせいかなぁ~?」

「そ、そんな事ないもん!!ちゃんと実習の事だって話したもん!」


 ツッコみたいところはいろいろある。まず1つ、いい歳した大人が『もん!』って……子供じゃないんだから……もう1つ、教育実習生とはいえ生徒からしてみれば先生なのに1人の生徒に肩入れしすぎじゃない?


「光晃、あれ止めなくていいの?」

「真理姉さん、こうなるってわかってるならどうして連れて来たの?」

「そ、それは……たまには交流の少ない先生と一緒にお酒を飲む事も大事かな?と思いまして」

「ほう……」

「ご、ごめんなさい……」


 怒られると思ったのか、真理姉さんは小さくなってしまった。そもそも、紅葉さんがいる理由は昨日に遡る。昨日────────────


『ただいま~、光晃?葵衣さん?』


 下から真理姉さんの声がし、もう少し葵衣と2人きりの時間を楽しみたかったけど、真理姉さんを放置するわけにもいかなかった


「真理さん、帰って来たね」

「だね。降りよっか」

「うん」


 と、ここまではよかった。問題はここからだった。


「おかえり、真理姉さ──────」

「おかえりなさい。真理さ─────」


 僕と葵衣は2人揃って固まってしまった瞬間である。そう、僕も葵衣も真理姉さんが1人で帰ってきたと思っていた。けど、実際は違った


「あれ~?葵衣はお姉ちゃんには何もないのかなぁ~?」


 玄関に行くと真理姉さんともう1人いた。それが僕の両親か葵衣の両親だったなら何の問題もなく歓迎しただろう。だけど、実際にそこにいたのは葵衣の姉である紅葉さんだった


「お、お姉ちゃん!?」


 葵衣は心底驚いた顔をしている。僕もビックリだよ。まさか、葵衣の姉である紅葉さんが来るとは思ってなかったし


「やっほ~葵衣、岩崎君」


 僕は何が何だかわからない。だけど、真理姉さんも紅葉さんもこのまま玄関に立たせたままじゃ悪いし、僕と葵衣もこのまま玄関で立ち止まっているわけにもいかない


「どうも。折角なんでリビングへどうぞ」


 とりあえず挨拶をして紅葉さんをリビングへと通す。


「うん、お邪魔します」


 紅葉さんをリビングに通し、お茶を出す。真理姉さんが着替えている間に事情を聴くとしよう


「それで、紅葉さんはどうして家へ?」

「うんうん!」


 前置きはせずに紅葉さんに事情を聴く。この手のタイプは前置きをするとそのままはぐらかされる可能性があるし


「小谷先生から『うちの光晃がお宅の葵衣さんに今日、告白して付き合いますよ』って言われたから」


 紅葉さんはおちゃらけた様子もなく真顔で僕の質問に答えてくれた。だけど、真理姉さん……僕が葵衣に告白せずにいたら、あるいは葵衣からの告白を断っていたらどうするつもりだったんだろう?


「「はぁ……」」


 僕と葵衣は揃って溜息を吐く


「まぁ、葵衣と岩崎君が付き合うから来たっていうのは目的の半分でしかないんだよ」

「「は?」」


 今、僕と葵衣は多分、間抜けな顔をしていると思う。だってそうだろ?冷やかされると思っていたのが目的の半分だなんて聞かされたらそうなるでしょ


「おっ、面白い顔してるね~2人とも。もう半分は葵衣の引っ越しの手伝いだよ!」


 葵衣から住んでいたアパートを引き払った事は聞かされていたからいいとして、紅葉さんが手伝いに来てくれるなんて聞いてない。まぁ、人でが多い方が助かるんだけど。


 で、時は進み、真理姉さんと紅葉さんが晩酌を始めたんだけど……


「すぴ~」


 紅葉さんはビールと焼酎をそれぞれ1杯ずつ飲んだだけで寝てしまった。紅葉さんは酒が弱かった


「んで、光晃は葵衣ちゃんになんて言って告白したのかなぁ?」

「内緒」

「わ、私も光晃君と同じです……」


 酔っぱらった真理姉さんはめんどくさい。今まで気にも留めてなかったけど、葵衣に告白して恋人になって初めて真理姉さんに酒を与えるとめんどくさいと思った


「そんなこと言わずにさぁ~大人しく吐け~うりうり~」


 うわぁ……完全にオッサンだよ……


「真理姉さん、飲み過ぎだよ」


 僕は真理姉さんから酒を取り上げようとした。だけど───────────


「うるさいなぁ~!めでたい日なんだからいいだろぉ~」


 真理姉さんは一升瓶を自分の方へ抱き寄せた。この人はどこの女神だよ……


 真理姉さんにキスはしたのかとかいろいろ聞かれ、真理姉さんが酔いつぶれて寝てしまった事でお開きになった。そして、現在に至る


「はぁ……昨日は真理姉さんで今日は紅葉さんか……」


 昨日は真理姉さんに追及された。主に僕が。で、今日は紅葉さんに追及されている。主に葵衣が


「こ、光晃君~、助けてぇ~」


 半べそで僕に助けを求めてくる葵衣は可愛いと思うけど、さすがに不憫に思える。恋愛関係での追及を逃れる方法はこれしかない


「葵衣」

「ん?何?光─────」


 葵衣の振り向きざまにキスをする僕。困った時のキスってね!恋愛の追及において逃れられなくなったらキスをしておけば何とかなる。世の中そういう風に出来てるって誰かが言ってたような気がするし


「ぷはっ!光晃!いきなりはなしだよ!」


 唇を離した葵衣は案の定顔を真っ赤にして怒っていた。だけど、葵衣、僕を怒る前に周りを見てほしい


「ごめん。でも、紅葉さん達を見て」

「お姉ちゃん達?」


 葵衣が紅葉さん達の方を見る。するとそこには────────────────


「ききききききききききキシュした……光晃と葵衣さんが……」

「あわわわわわわわ……き、キス……」


 リンゴみたいに顔を真っ赤にして壊れた機械のようになっている真理姉さんと紅葉さんがいた


「光晃……」

「何も言わないであげて」


 散々追及してきたクセにいざ、その場面を見せられて顔を赤くしている真理姉さんと紅葉さんを見て『あ、意外と初心なんだ』とは言えない。いや、言わない方がいい


「こ、これからどうしよっか?」

「業者が来るのを待つしかないでしょ」


 葵衣が紅葉さんに弄られていて忘れてたけど、引っ越し業者はまだ来ていない。


「トラックの音したね」

「だね。真理姉さんと紅葉さん起こすのは任せたよ」

「うん」


 インターホンが鳴る前に業者の人が通りやすいように靴を整理する。整理するって言っても僕達の靴を下駄箱に放り込むだけなんだけど


「来たみたいだね」


 靴を下駄箱へ放り込み終えたタイミングでちょうどよくインターホンが鳴った。トラックの音が聞こえたから僕は玄関に来て靴を下駄箱に放り込んだだけど。


『どうも!シロクロ引越センターの者です!』

「はい、今開けます」


 僕は玄関のドアを開け、業者の人間を出迎える。まぁ、そこからが早かった。葵衣の家にあった箪笥と本棚は業者の人間によって運び込まれ、荷解きも業者の人間がやってくれた。まぁ、葵衣はベッドで寝ていたわけじゃないからベッドがないのと、女性の1人暮らしにしては物が少なかったから時間にして大体5分程度だったんだけど


「さて、本棚と箪笥は運んでもらったから後はテーブルとかの配置だけだね」

「うん……」


 引っ越しがスムーズに終わったというのに葵衣はどこか元気がない。どうしたんだろう?


「どうしたの?元気ないみたいだけど」

「うん……ねぇ、光晃」

「何?」

「この家って地下室ある?」


 この家は元々真理姉さんと真理姉さんの両親が一緒に暮らしていた家だ。使ってない部屋の中には地下室もある。


「あるけど?」

「じゃ、じゃあ、屋根裏部屋は?」

「あるけど?葵衣、どうしたの?」


 どうして葵衣が地下室があるかとか、屋根裏部屋があるかとか聞くのかがわからない


「せっかく付き合ったんだから光晃と同じ部屋がいいなって思って」


 確かに僕も同じ部屋で過ごしたい気持ちはあるけど、そうなったらそうなったで問題が出てくる


「僕は葵衣と同じ部屋でもいいんだけど、喧嘩した時とかどうするの?同じ部屋で一緒にいたら喧嘩した時に気まずくなるよ?」


 そう、僕と葵衣が喧嘩して一言も口を利かない状態になった時に気まずくなる


「私は喧嘩しても光晃と一緒にいたい。それに……」

「それに?」

「それに、紅葉お姉ちゃんもここに住むかもしれないから……」


 僕の幻聴だろうか?それとも、僕は疲れているのかな?今、葵衣の口から紅葉さんも一緒に住むって聞こえたんだけど?


「え?どうして紅葉さんも一緒に住むかもしれないの?」


 葵衣はともかく、紅葉さんも一緒に住むかもしれないのは疑問に思う。どうして?


「そ、それが学校の先生に1人しつこくお姉ちゃんに言い寄っている先生がいるんだけど……その先生がね……」


 その先を聞かずとも僕は理解してしまった。紅葉さんに言い寄っている教師は紅葉さんの家の周辺か前まで来て何らかの事をしている。警察に相談するも実害がないから取りあってもらえない。そんなところか……


「はぁ……真理姉さんに聞いてみるよ」


 昨日、僕は葵衣に告白し、恋人同士になった。まぁ、葵衣と恋人同士になったと同時に同棲が決定したのはいい。だけど、その恋人の姉も一緒に住むかもしれない事になろうとは思いもよらない。誰も予想できないでしょ……こんな事




今回は葵衣に告白した次の日の話でした

酔っ払いの話はグダグダになりそうだし、追及も結局はグダグダになりそうだったなぁと思いました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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