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僕は2時間目も居眠りする

今回は葵衣の授業です

2時間連続で居眠りする光晃……寝過ぎかなぁ

では、どうぞ

「さて、サボるか」

「何を言っているんだ光晃?」


 僕の唐突なサボり宣言にツッコミを入れる秀義。だけど、僕にとっては唐突じゃない。僕の動物的本能がサボれと言っているんだ。僕はその本能に従うまで


「いや、何か嫌な予感がしてね。そういうわけだから2時間目はサボるよ」


 授業開始20分前の今、先生が教室にいるなんて事は余程の事がない限りはあり得ない。よって僕が教室を出て行こうと教師は止めない


「ほう、私の授業をサボるか……いい度胸しているな。な?岩崎」

「こ、小谷先生……」


 授業開始まで20分前だというのになぜか真理姉さんが教室にいた。2時間目は映像でも使うのかな?その為の準備の為にいるのかな?どっちでもいいけど、僕のサボりは真理姉さんによってサボる前に見つかってしまった


「サボりませんよ。サボらないんでそんな目で睨まないでください」


 真理姉さんが僕を見る目は獲物を見つけた時のハイエナがするような目をしていた。控えめに言って婚活で焦っている独身アラサ―女のような目で、ハッキリ言うと野獣の目だ。どちらにしろ本人に言ったら僕が大変な目に遭うから言わないけどね


「わかればいいんだよ。わかればね」


 満足したような顔をした真理姉さんは僕から離れ、プロジェクターの設定を行っていた。と、いう事はこの時間は映像による学習と授業終りの10分前くらいで水沢先生のプチ授業って感じか……どちらにしろ僕は1時間目同様に睡眠学習に勤しむ事ができて何より


「サボりはしないけど、居眠りならするんだけどね」


 小声で周囲に聞こえないように呟く。サボったらダメならせめて居眠りくらい許してほしいよ……水沢先生もそうだけど、羽山先生の指導案を作るのは僕が手伝ったわけだし


「岩崎!」

「何ですか?小谷先生?」


 大声で呼ばなくても聞こえるよ。全く、教師というのは指導する時もそうだけど、大声を出さなきゃ人とまともに話す事すらできないのかな?


「居眠りもダメだぞ?」

「わかってますよ」


 小声で言ったはずなのにどうして僕の言った事がわかるんだろう?


「でもまぁ……私の夢を見るなら居眠りしてもいい」


 この人はアホじゃないかな?生徒が大勢いる前でそんな事を言ったら変に噂されるのわかってるのかな?それじゃなくたって周囲の生徒は“小谷先生の夢を見るなら居眠りしてもいいんだ……”とか、“先生の夢を見るから俺、居眠りしよっかなぁ……”とか言ってる生徒がチラホラと湧いて出てき始めた。大声で居眠りを容認するような事を言うから


「アホな事を言ってないで授業の準備したらいかがですか?」


 自分の夢を見るなら居眠りしてもいいだなんて教師としてはどうなんだろう?それ以前に居眠りを容認する教師って……


「岩崎が冷たい……」


 ションボリしながら授業の準備をする真理姉さん。冷たいんじゃなくて真理姉さんがアホな事を言ってるからでしょ?そんな僕が女性に冷たい態度を取っているみたいな感じにしないでくれる?


「はいはい、冷たくて結構なので早く準備しましょうね?」

「ううぅ……」


 半ベソになるなら最初から言わなきゃいいのに……あ、僕がサボろうとしたのがそもそもの原因か


「光晃、真理さんをあんま苛めてやるなよ」


 小声で秀義に注意を受けてしまったけど、サボりと居眠りを止めるまではよかった。だけど、自分の夢を見るなら居眠りをしていいだなんて教師としてはアホとしか言いようがない。ま、従姉のお姉さんとして真理姉さんを見るならいいんだけど


「アホな事を言った挙句、居眠りを容認した真理姉さんが悪いよ」


 真理姉さんも女だし、女性はいくつになっても乙女チックなところが少しは必要だと思うから強く否定はしないけど、教師として居眠りを容認しないでほしい


「そりゃそうかもしれないけどよ……何か可哀そうじゃないか?背中から哀愁漂ってるし……」


 秀義の言う通り真理姉さんの背中からは哀愁が漂って見える。それも込みで対策はしてあるからいいんだけどね。


「大丈夫だよ。学校で冷たくした分、家で優しくするし」


 僕だってアメとムチの使い方くらい心得ているよ。真理姉さんと水沢先生の場合は公の場で冷たくしてそれ以外の場所で優しくする。こうしておけば理不尽な指導を受ける心配はないし


「そ、そうか?ならいいけどよ……」


 秀義は納得いったようなそうでないような顔をしていた。秀義で思い出したけど、最近はあの暑苦しくてウザいキャラ封印してるのかな?


「うん。ところで秀義」

「ん?何だ?」

「最近は暑苦しくてウザいキャラ見てないけど、封印したの?」


 秀義のキャラで僕がモヤモヤするのは癪に障るので思い切って聞いてみる事にした。病気かな?とかは特に思ってないけど


「酷くね!?俺って光晃の中でどんな奴なんだ!?」

「暑苦しくてウザい奴」

「………………………………」


 秀義、声を押し殺して泣かないでよ。気持ち悪いなぁ……


「声押し殺して泣かないでくれない?気持ち悪いし」

「酷い……」

「酷くない。毎日大声で話し掛けられてたらウザい奴だって評価されても仕方ないでしょ」


 自分の言う事を正当化するわけじゃないけど、体育会系じゃない限りは暑苦しい奴かウザい奴って思われても仕方ないと思うよ?


「光晃……冷たい」

「冷たくて結構。それで?ウザいキャラは封印したの?」

「いや、夏バテで俺のテンションが下がってるだけだ」


 なんだ、ただの夏バテによるテンションの低下なのか……っていうか、ウザいキャラは否定しないんだ……


「チャイム鳴ったね」

「だな」


 僕と秀義はそれぞれの席に戻る。1時間目に引き続き2時間目も社会科だなんてダルい事この上ないけど、サボるという手段を封じられた僕は大人しく出席するしかない


「ダルい……めんどい……」


 授業開始5分もしないうちにダルい、めんどいという言葉が出てきてしまった。前半は映像を見るだけだから寝ていてもいいんだけどさ


「えー、このように従弟に冷たくされたら強靭な精神を持つ先生でも傷つくわけだが……ここまでで何か質問のある人はいる?」


 周りの生徒が映像を見て学習している時に寝ていた僕が悪いのか、それとも世界が悪いのかは知らないけど、目が覚めた時に僕が最初に聞いた言葉は社会科の授業ではなく、真理姉さんの愚痴というか、心の嘆きだった。


「先生、質問があります」


 普段の授業で質問なんてしない僕が珍しく挙手をした。だって、いろいろとおかしいし、これが夢なら早く覚めてほしい


「なんだ?岩崎」

「授業中にどうして小谷先生の身の上話を聞かされなきゃいけないんでしょうか?」

「うん、いい質問だね」


 何もよくない。何?その授業に関する質問したと言わんばかりの顔は


「何もよくないんですけど?」

「人間生きていればいろんなことがあるだろう。当然、社会生活を営んでいれば理不尽な事もある。だけど、そんな社会人にも癒しの場や癒してくれる人が必要なんだよ。私は授業開始前にその癒してくれる存在に冷たくされた。で、私は生徒達に自分の身の上話をする事で社会の厳しさを伝えようとしたんだよ」


 言っている事はそれっぽいけど、要するに授業前に冷たい態度を取った僕に対しての愚痴を授業の中で言っているだけじゃないか……


「関係性が全く見えませんが、先生がちゃんと教師の仕事をしていればその従弟さんも家で温かく迎えてくれると思いますよ」

「ほ、本当に?」

「ええ、本当ですよ」


 どうして僕が授業中に真理姉さんの不安を払拭しなきゃいけないんだろう……


「そ、そう……」


 授業中に愚痴られても困るから、一応は優しくすると言っておくけどさ……こんな事ならちゃんと起きて授業を受けていればよかった


「それより先生、そろそろ水沢先生と交代した方がよろしいかと思います」


 これ以上真理姉さんの愚痴を聞かされる生徒も嫌だろうし、僕だってこれ以上真理姉さんの愚痴を聞く気はない


「そうだね。では、水沢先生お願いできますか?」

「は、はい!」


 カチコチに固まった状態で水沢先生が登場。この短い時間のミニ授業で緊張していて研究授業でヘマしでかさないか今から心配になる


「み、みにゃ……んんっ!皆さんは将来就職する時の条件として何を選びますか?」


 最初に皆さんって言おうとしてみにゃって言いかけたぞあの人……後半は噛まずに言えたみたいだけど


「はい、先生」


 就職と言われて周囲の生徒は唸っているみたいだから僕が手を挙げる。そりゃアルバイトをしている生徒は何となく働くって事がどんな事なのかわかっているみたいだけど、そうじゃない生徒は働く事がどんな事かよくわかってないのもチラホラいる


「はい、岩崎君。君は働く時に何を条件に選びますか?」

「僕は就職する会社の上司に頭のおかしい人間がいないかを条件として選びます」

「それはどうしてかな?」


 小学生じゃないんだからもう少し聞き方を何とかしてほしいけど、今それを言ったら短い時間が更に短くなる。ここは水沢先生の問いかけに答えるのが吉だね


「だって嫌じゃないですか。本来もらえるはずの有給がもらえなかったり、体調に異常をきたすほど殴る頭のおかしい人間が上司だなんて」


 有給がもらえないのは会社に問題があると思うけど、それ以上にそれを与えない上司に問題があるし、身体に異常をきたすほど殴る。端的に言えばタバコの火を押し付けるようなキチガイもいるって話を聞いた事がある。そういう奴に限って独身だったりするんだけど。


「そ、そんな人いないんじゃないかな?」


 質問しておいてこれだよ……人の事言えないけど、水沢先生……否定から入ったらダメだって


「いますよ?有給を与えないキチガイ上司は主に営業関係とかに、体調に異常をきたすほど殴るキチガイは土木関係とかにね。だからと言ってその仕事をしている人間全員がそうだとは言いませんが」


 僕だって新聞やニュースで知っている程度で実際にいるかどうかは知らない。でも、新聞に載るほど、テレビで報道されるほどのキチガイ上司がいる現状を見ると就職する会社はちゃんと選ばなきゃいけないと思う


「そうなんだ……ほ、他にはありませんか?」


 僕の発表が終わり水沢先生は他の生徒の意見を聞こうとしている。教師や教育実習生が嫌いな僕が最初に発表したんだ。これで他の生徒も少しは発表しやすくなったはず


「あ、もう終わりだね。じゃあ、クラス委員の人、号令をお願いします」


 チャイムが鳴り、クラス委員の号令と共に2時間目終了。水沢先生の授業は僕が最初に発表した事により他の生徒からも多くの意見が集り、水沢先生がそれをまとめるという形で終了した。残すは研究授業のみとなったわけだけど、僕としては何事もなく終わってほしいと思うばかりだった

今回は葵衣の授業でした

この調子で次も光晃は葵衣に助け舟を出すのか?

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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