サボった僕は水沢先生を慰める羽目になる
今回は授業をサボった光晃と理沙が葵衣に怒られて結果、光晃が葵衣を慰めます
雨風凌げて授業をサボれる場所があるのは最高だと思う
では、どうぞ
「ねぇ、岩崎ぃ……私なんだか身体が火照っちゃった♡」
一緒にサボった理沙が艶やかな声で何か言ってる。僕にその手の誘惑が聞くとでも思った?自慢じゃないけど、女子高生程度に誘惑されても何とも思わない。だって家には真理姉さんという大人の女性がいるから
「あ、そう。じゃあ、エアコン点けるね」
理沙の誘惑をガン無視し、エアコンのコントローラーを操作する。僕だって男子高校生だから女子のあられもない姿を見て興奮しないか?と聞かれれば興奮するけど、どうしてかな?理沙だと全く興奮しない
「もう!少しは意識してくれてもよくない?」
誰が援交していた女子なんて意識するんだよ。君が男を手玉に取る術を熟知している事なんてこっちは百も承知なんだよ
「何で君を意識しなきゃいけないの?僕は女性なら誰だっていいっていうチャラ男とは違うんだ。やるなら秀義とかにしなよ」
女子に対して辛辣だと思われても僕を誘惑するならもう少し自分の行動を見直してから出直してこい。ま、僕を誘惑するには相当苦労すると思うけどね
「岩崎って女子に興味ないの?」
「失礼な!僕だって男子だ!女子に興味ないわけじゃない!ただ、今のところは興味が湧く女子がいないってだけだよ!」
女子に興味がないわけじゃないけど、興味をそそられる女子がいないってだけ。だけど、実際にどんなタイプの女性がいいの?って聞かれたら困るんだけどね
「ふ~ん、じゃあ水沢先生が同じ事をした時を想像してみて?」
「どうして水沢先生かはわからないけど、わかった」
僕は理沙を水沢先生に置き換えてさっきの状況を想像してみる。水沢先生が理沙と同じ事をしたらかぁ……
『ねぇ、光晃くぅん……私なんだか身体が火照っちゃった♡』
…………前にあったな。似たような状況が。水沢先生が同じ事をしても二番煎じ感が……
「───さき!」
「…………」
「───わさき!」
「…………」
「岩崎!!」
「へ?」
どうやら僕は想像に夢中で理沙が呼んでいるのに気が付かなかったらしい。水沢先生のあられもない姿を想像したわけじゃないけど、理沙と同じで反応がドライになるか、無反応に変わりはない
「いや、へ?じゃなくて、どうだった?水沢先生に同じ事をされた場面を想像した感想は」
「特に思うところはなかった」
「岩崎、アンタね……」
理沙は呆れた目で僕を見てきた。だけど、仕方ない。これよりもすごい事を僕の意思じゃないけど、した事あるし
「いや、水沢先生にこれよりすごい事をした事あるし」
「へぇ~、岩崎って水沢先生に手を出したんだぁ~、教育実習生なんか大嫌いじゃなかったの?」
まるで僕が手の早い奴みたいな言い草だけど、僕の意思じゃない。僕にとっては不可抗力だ
「大嫌いだよ。教育実習生も教師も。水沢先生が家に泊まりに来た時にちゃっかり僕の部屋に潜り込んでいただけ。僕も起きたら水沢先生と真理姉さんがいてビックリしたけどね」
「え?と、泊まり!?え!?真理姉さん!?どういう事!?」
あれ?理沙には言ってなかったっけ?そもそも、真理姉さんが僕の従姉だって知っている生徒はどれくらいいたっけ?
「いや、真理姉さんと僕の住む家に水沢先生が泊まりに来たって事なんだけど?」
「ま、真理姉さん!?」
どうやら理沙には僕と真理姉さんの関係から話す必要があるみたいだ。言ってなかった僕が悪いから面倒だとは言えないな……
「僕は真理姉さん────小谷先生の従弟なんだよ」
「ええ!?初耳なんだけど!?」
当然だ。秀義以外は知らない。そもそも、秀義以外とは喋らない。いや、秀義以外は僕に話し掛けてすらこない。ま、言う必要もないけど
「そりゃ、言ってなかったし?別に言う必要もないし?誰も僕に話し掛けてすらこないでしょ。知らないのも無理はないよ」
「ま、まぁ、話し掛けてすらいなかった私に文句を言う資格はないから驚くだけで済ますよ」
何と物分かりのいい女なんだ。理沙の方が教師よりも物分かりがいいんじゃないかな?
「随分と物分かりがいいね?君」
「まぁね。私って物分かりだけはいいから」
別にどうでもいい。理沙の物分かりがよくても悪くても僕には関係ないし、将来に関わることでもないし
「で、これからどうするの?」
授業をサボったはいいけど、特にやる事はない。僕1人なら寝て過ごすけど、今回は理沙がいる。あ、いてもいなくても関係ないか。
「どうしよっか?私授業をサボるの初めてだし」
意外だ。理沙って授業をサボった事ないんだ……僕とは違って真面目なんだなぁとは思う
「じゃあ、睡眠学習で」
僕は迷わず寝る事を提案する。理沙と共通の話題なんてないし、ここにはゲームや漫画はある。だけど、全部少年向けのものだから理沙の趣味に合うかどうかわからない
「いや、寝る以外の事をしようよ」
「ここにはゲームと少年漫画しかないけど?それでも寝る以外の事をしたいの?」
「いや、ゲームがあるならそれでいいよ」
理沙がゲームをリクエストするとは……今までほとんど喋った事がないから新鮮だ。理沙がゲームか……
「いいけど、ここにあるゲームって格闘ゲームとホラーゲームとあとは恋愛シュミレーションしかないんだけど?」
格ゲーとホラーはいいとして、ギャルゲーは誰の趣味だ?と聞きたくなる。そもそも、同僚がいる前でギャルゲーする勇気のある勇者がいる事自体に驚きだけど
「じゃあ、格闘ゲームがいい」
理沙のリクエストにより、格ゲーで対戦する事になった。対戦してからどれくらいの時間が経っただろうか?僕達は時間を忘れる程ゲームに夢中になっていた。それこそ授業の事を忘れるくらいに
「こら!!ここで何やってるの!!」
「「────!?」」
背後からの声に僕と理沙は驚いた。誰かが入ってきた気配にすら気が付かないとは……格ゲー恐るべしっ!!
「光晃君!!理沙さん!!授業サボってゲームしてたらダメでしょ!!」
「「す、すみません……水沢先生」」
僕達の背後から声を掛けてきたのは水沢先生だった。ドジっ娘にあんなゴリラみたいな怒鳴り声を上げるだなんて意外だな
「2人揃っていないと思ったら、こんなところでサボってゲームしているなんて!何を考えてるの!!」
いつもなら軽い注意くらいで済むのに今回はどうしてこんなにつかかってくるんだろう?女の子の日かな?
「あれあれ~?水沢先生、嫉妬ですかぁ~?」
理沙が水沢先生を煽る。煽ってどうすんの?教育実習生が自分の私情だけで生徒を怒鳴りつけるなんてそんな事あるわけが────
「え!?あ、いや、それは……」
あった。ていうか、今見た。わかりやすいくらい動揺している。嫉妬で動いてたのかこの人は
「はは~ん、岩崎が私と2人きりでいる事を知って慌てて来たんだ~」
「……そうだけど?悪い?」
理沙に見破られて開き直る水沢先生。生徒におちょくられて開き直るなよ……せめて否定してほしかった。
「いやいや、別にぃ~?水沢先生は岩崎が教室にいないといつも不安そうに探してるもんね~。女子の間じゃ有名だよ?水沢先生は岩崎の事が好きなんだって」
僕にとっては水沢先生に好かれているって言うのは本人から聞いてたから知ってはいたけど、女子の間で有名になるほどにまでなっていたなんて知らなかった
「え!?そ、そんなに有名だったの!?」
「そりゃ、わかりやすかったからね~」
「ううっ……恥ずかしいぃぃ~」
そりゃ恥ずかしいでしょうね。自分は気づかれてないと思っていたらいつの間にか有名になっていただなんて……僕なら2~3日は学校に来ない自身がある。
「水沢先生の好きな人には手を出してないから安心してよ。私は先に教室に戻るけど、岩崎は水沢先生を慰めてから来るといいよ。次の時間は理科だかし、社会科はどの学年もどのクラスもないからここでイチャイチャできるよ?」
理沙は余計な一言を残して出て行った。本当に余計な事を言ってくれる。仕方ない、水沢先生を慰めますか……どうして僕が慰めなきゃいけないかわからないけど
「水沢先生?」
「何?」
すっかりイジケモードの水沢先生を見て思う。子供か?この人は……ん?子供?どうせここには誰も来ないし、前にやったあれで慰めますか
「葵衣、僕が悪かった。さぁ、おいで?」
そこらへんの教師や教育実習生にタメ口で呼び捨てなんて怒鳴られるだろうけど、水沢先生だし、2人きりだしいいか
「うん……」
こっちはこっちで幼児退行してるし……こりゃ昼休みだけじゃなくて5時間目も潰れそうだなぁ……この人と付き合う男は大変だなぁと思いながらも水沢先生を慰める事にした。これじゃ先が思いやられる
今回は授業をサボった光晃と理沙が葵衣に怒られて結果、光晃が葵衣を慰める話でした
葵衣の教育実習が7日目を迎えました。葵衣の実習2週間目はいろいろと忙しくなる予感
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました




