僕は水沢先生が嫉妬深い事を知る
今回は葵衣が嫉妬深い事を知る話です
この話で実習第1週目が終了します。
さて、次回は休日!
では、どうぞ
理沙と2人で授業をサボり、気が付いたら昼休みになっていた。どうして昼休みになるまで気が付かなかったかというと、それは僕と理沙が格ゲーに夢中になり過ぎたせいだったりするんだけど……それは今は置いといて、密室で理沙と2人きりになり、水沢先生に見つかって怒られた。で、今はその水沢先生を慰めている最中なわけだけど……
「光晃君、もっと撫でて」
不機嫌オーラMAXな水沢先生。でも、抱き着く力は弱めない。むしろ強くなっている。教育実習生というよりこうなると子供だよ……
「どうして僕がこんな事をしなきゃいけないんだか……」
僕は授業をサボる以外は何も悪いことはしていない。だというのにどうして水沢先生を慰めなきゃいけないのかが理解できない
「どうしてって光晃君が授業をサボって女子と2人きりでゲームしてるからでしょ?」
「だからって水沢先生を抱きしめて頭を撫でる意味がわかりません」
授業をサボったら補習授業とかの罰を受けるのは理解できるけど、教育実習生を抱きしめて頭を撫でる意味が全く持って理解できない
「それは私が傷ついたから!光晃君が密室で女子と2人で遊んでる姿を見て私はとても傷つきました!」
「女子って理沙でしょ?理沙を恋愛対象として意識してないんだから問題ないでしょ?」
「む~!私だってちゃんと名前で呼ばれた事ないのにどうして理沙さんは名前で呼ぶの!?」
いや、貴女は実習生とはいえ教師だし、年上だし。それに、水沢先生の事だって名前で呼んでると思うけど?慰める時とか、甘えさせる時とか?
「先生の事だって名前で呼んでるからいいじゃないですか……」
「でも、それって私を甘えさせて利用する時とかでしょ?そうじゃなくて!普段から名前で呼んでほしいの!」
この人は本当に何の為に教育実習に来たんだろう?教師になるならないは僕には関係ないとして、少なくとも教員免許取得の為に実習に来ている事は確かだけど、自分が異性として好意を抱いた生徒が女子生徒と一緒にいるところを見て嫉妬するなんて……この人大丈夫かな?
「それをやったら僕はこの学校のバカ教師達に目を付けられるから嫌です」
連行された数学担当といい、体育担当といい……本当に勘弁してほしい。僕がお前達との接触なんて必要最低限しか望んでないって解らないのかな?
「むぅ~」
剥れても名前呼びなんてしませんよ?名前呼びして目を付けられるのは僕だけじゃないんですから。普通の高校では。北南高校は僕だけに目を付けるけど
「はいはい、剥れないでくださいね」
下手に構うと付け上がりそうだからあえて素っ気なく返す。僕自身は教育実習生に嫌われようとどうでもいい。いや、むしろ嫌ってくれた方がラッキー
「光晃君が素っ気ない……」
僕の反応にシュンとしてしまう水沢先生を見て思うのは生徒に素っ気なく返されたくらいでシュンとするなくらいで可愛いとは思わない
「嫌なら離れましょうか?」
「それは嫌!!離れないで!!」
水沢先生の抱き着く力がさらに強くなる。そんなに強く抱き着かなくても離れないから力を弱めてほしい
「離れないんで強く抱き着かないでください。痛いです」
「わわっ!ご、ごめんね?」
驚いた水沢先生は慌てて抱き着く力を弱める。だけど、決して僕から離れる事はしないみたいだ。いっその事離れてほしかった
「そう思うなら離れるって選択肢はないんですか?」
「うん!だって光晃君と触れ合っていたいし……」
この人は僕が生徒で自分が教師である事を忘れてないか?こんな場面を真理姉さん以外に見つかったらどうなる事やら……
「はぁ……」
空腹に耐えながら僕は水沢先生を撫で続けた。格ゲーのレベル上げのそれと大差ない。だけど、あれはレベル上げをする事でキャラが使える技のバリエーションが増えたりする。じゃあ、水沢先生を撫で続けたら?僕の手が腱鞘炎になるくらいのデメリットしかない
「もういいですか?」
数分後、僕は満足そうにしている水沢先生に尋ねた。これでまだ不満があるとか言い出したらこの女をどうしてやろうか?
「うん!世は満足ぞよ~」
誰だ?お前というツッコミを入れたら負けだ。それに水沢先生が満足しているみたいだし、ここで何かを言って拗れたら面倒だから放っておこう
「はぁ、お腹すいた……」
とうとう空腹に耐えきれなくなった僕は思わず口に出してしまった。教室に戻ると弁当があるけど、そこまで耐えきれるかな……
「光晃君のお昼ご飯なら私が持ってきているよ?」
「あるなら最初に出してください」
持ってるなら最初に出せ。自分の感情を優先させて僕を餓死させる気か?この女は。なんて今更言っても仕方ない。咎めるのは止めよう
「ごめん、嫉妬して忘れてた」
「知ってます。ですが、嫉妬して僕に何かをさせる前に昼食を先にしてください」
水沢先生が嫉妬深いのはもう慣れてしまった。だけど、それが原因で餓死なんて笑えない。本当に笑えない
「ごめんなさい……」
「反省しているならいいです。嫉妬するのは先生の勝手ですけど、餓死したら大変なので慰めるのは昼食を済ませてからにしてください」
「はい……」
何かが違う気がするけど、今はそういう事にしておく。そもそも、教育実習生が生徒を恋愛対象として見る事も女子生徒と一緒にいるところを見て嫉妬するのも間違いだけど
「これ以上言っても仕方ないので言いませんが、学校で嫉妬心丸出しはちょっと……」
学校で嫉妬心丸出しはちょっととは言ったものの水沢先生とは学校以外で会う事はない。真理姉さんが家に連れて来ない限りは
「ごめん……でも、私と光晃君って学校以外では会わないし……」
「当たり前です。身内に僕と先生の間に友人がいるならまだしもそんなのいませんし」
「そうだね……」
ションボリする水沢先生だけど、僕には関係ない────こともない。最近は水沢先生が泣いたりしょぼくれたりすると心が痛む。この痛みはなんだろう?
「でも、真理姉さんに土日も指導を受けたいとか言えばひょっとしたら家に招待されるかもしれませんね」
普通の教師は休日に教育実習生を自宅に招待するとは考えにくいけど、真理姉さんだし?家出した時は一緒になって真理姉さんと僕のベッドに潜り込んできたからありえない話じゃない
「それだ!!」
突然何かを思いついたように立ち上がった水沢先生だけど、一体何を思いついたんだろう?
「どれですか?」
「小谷先生に土日の指導をお願いしてくる!!」
水沢先生は大慌てで出て行く。自分で言った事だけど、真理姉さんが土日にまで教育実習生を指導するなんて事をするわけが……あるか。あの人何だかんだで教育熱心なところあるし
「休日でも僕に会いたいのかな?」
水沢先生の考えている事はよくわからない。冷たい態度で接してる奴を好きになったり、1人の生徒が家出しただけなのに必死になって探したりするなんて
「たかが2週間しかいない教育実習生がする行動じゃないよ」
小学校6年間、中学校3年間、高校はまだ2年しか通ってないけど、11年間いろいろな教育実習生を見てきたけど、水沢先生みたいにドジな教育実習生は初めて見たし、自分の価値観や教育観を持ってではなく、純粋に僕と接してくれた実習生は初めてだ。まぁ、恋愛感情を持たれたのは予想外だけど
「真理姉さんは水沢先生に土日も指導してくださいって言われたらどうするつもりなんだろう?」
水沢先生に土日も指導してくださいって言われてなんて返事をするのか若干気になる。一緒に住んでるわけだから真理姉さんの返事によっては僕にも影響が出る
「教育実習生と土日も関わるのか……憂鬱だ」
水沢先生が彼女なら土日に関わってもいいと思う。教育実習生であると同時に彼女だし。だけど、今の水沢先生はただの教育実習生だから土日にまで関わりたいとは思わない
「水沢先生が来た時にこっそり外出すればいいか」
水沢先生と真理姉さんが揃うと大人の女性の女子会になり、僕の入り込む余地なんてないと思う。だけど、外出するって言ってもどこへ行けばいいんだろう?秀義の家へは絶対に行きたくないし……適当にゲームショップにでも行こうか
「そうと決まれば買うゲームをリストアップしとくかな」
水沢先生が来る日に外出するなんて僕は天才かもしれない!いや、僕は天才だ!自分の才能に惚れ惚れする!
「さて、帰るか」
結局放課後までサボりスポットに居座ってしまった。水沢先生が荷物を持ってきてくれたので教室に戻る必要はない
「それにしても、水沢先生って嫉妬深すぎるでしょ」
今日わかった事は水沢先生が嫉妬深すぎる事。むしろそれしかわからなかった。あ、忘れてたけど、あの数学教師はどうなったかな?減給?それとも解雇かな?どっちでもいいか。あの教師がどうなっても
「月曜日になればわかる事だからいいか。解雇するにしても減給するにしてもアイツがしでかした事を調査してからか」
僕の証言だけじゃ信用性に欠けるのもそうだけど、たかが1人の生徒の意見じゃ解雇や減給を決めるのは早すぎる。内容によるけど
「またアンケートか……」
調査の方法がワンパターンのような気がするけど、アンケートが1番生徒の生の声を知る事ができるから一概には言えないけど
「光晃、ただいま」
真理姉さんが帰ってきた。あの数学教師がどうなったかを知るには真理姉さんに聞くのが手っ取り早いか
「おかえり、真理姉さん。聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「ん?何?」
「僕にしつこく絡んできた数学教師ってどうなったの?」
「あの人に何されたかを生徒にアンケートを取るって決まったよ」
案の定アンケートを取る方向で話が進んだか……叩けば埃がたくさん出そうだからアンケートを取ってそれから決めるのが無難か
「そう。ところで水沢先生の事なんだけど」
「水沢先生なら明日家に来るよ?」
僕が水沢先生に吹き込んだ事とはいえ、本当に家に来るとは……こういう時って水沢先生の行動力に驚くべきなのか、それとも真理姉さんの教育熱に驚くべきなのか……どっちでも変わらないか
今回は葵衣が嫉妬深い事を知る話でした
この話で実習第1週目が終了しました
次回は休日の話です
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました




