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僕は強引に連れ戻される

今回は光晃が連れ戻される話です

どうやって葵衣達は光晃を連れ戻したのか?

では、どうぞ

 年上2人から抱き着かれて世の男子は大喜びだろうけど、僕は違う。そりゃ僕だって男だ。モテる事は一種のステータスだって考えはないわけじゃない。だけど……


「2人で抱き着けば僕が考えを改めると思いましたか?」


 女性2人に抱き着かれたところで考えを改める僕じゃない。むしろ抱き着く以外で僕を止める方法を考えてほしいものだと僕は思う


「…………」

「…………」


 言葉に困ったら無言になるのも止めてほしい。ま、喧嘩なんてした事なさそうで他人とぶつかった事のないこの人達には無理だろうけど


「光晃ッ!お前まだそんな事を言ってるのか!?」


 秀義、そのバトル漫画の主人公みたいな事を言うの止めてくれないかな?現実の人間は漫画や小説みたいに単純じゃない。


「秀義、僕は小説の登場人物じゃないんだ。意思を持った人間なんだよ。簡単に君達の思い通りになるわけないだろ?」


 今の秀義はバトル漫画の主人公か恋愛小説とかに出てくる主人公に見えるけど、実際は自分の思い通りにならなくて癇癪を起しているただの子供だ


「光晃……お前、わからないのか?人の痛みが、真理さんが孤独を恐れるっていう気持ちがッ!!」


 人の痛みはともかくとして、孤独ってのはちょっと違うんじゃないかな?


「秀義、真理姉さんは孤独じゃないでしょ?」

「どういう意味だ?」


 説明しなきゃわからないのか?このバカは……はぁ、めんどくさいな……


「秀義、それから真理姉さんに水沢先生、僕もそうだけど、今着ている服は自分で作ってるの?違うよね?服の材料を集め、それを工場で作り、店頭に並べて販売し、僕達の手元にくる。つまり、僕達の生活には多くの人が関わっている。孤独だなんて事はあり得ないんだよ。だから、真理姉さんの生活の中から僕1人が消えたところで問題ないでしょ」

「そんな屁理屈が通ると思うか?」


 屁理屈ね……僕の言ってる事が屁理屈に聞こえてもいいけど、いい加減僕から離れてほしいな


「屁理屈かどうかは置いといて、2人ともそろそろ離れてくれない?いい加減ウザい」

「「嫌ッ!!」」


 普通に言っても無駄か……だけど、本当にウザいなぁ……


「いい加減にしろッ!!約束は守れない、自分の価値観の元で僕に接してくる、それがどれだけ苦痛かお前達にわかるか!?わからないよな?自分は間違ってないって信じ込んでるバカだもんな!!ハッ、それでよく教師だ教育実習生だと名乗れるな!!いい加減気付よ!!」

「こ、光晃?」

「こ、光晃君?」


 真理姉さんと水沢先生が驚いているが、僕はもう止まらない。お前達の無力さを突きつけてやる!!


「何をそんなに驚いている?僕がずっと、ずーっと思ってきた事だ!!散々罰を変えろと言ってきた!散々関わるなって言ってきた!それがどうして解らない!?どうして理解しない!?ふざけんな!!僕はお前達なんか必要ないんだよッ!!」


 そう、僕には必要ない。教師である真理姉さんも、実習生の水沢先生も……僕には必要ない


「さらに言うなら散々注意しても一向に直らない幼馴染もだ!!要らない人間が僕の周りをうろつくな!!」


 要らない人間が周りをうろうろされると邪魔で邪魔でしょうがない。


「光晃……」


 ここで口を開いた秀義が僕の名前を呼び、哀れみの視線を向けてくる


「何だその哀れみの視線は!?自分が必要ないって言われて絶望したか!?」


 いいザマだな。だけど、言って直らない奴が悪い。さて、そろそろ離れてもらおうか……


「いい加減離れろッ!!」

「「キャッ!!」」


 僕は強引に2人を引き剥がす。真理姉さんと水沢先生が軽く悲鳴を上げるが、知った事か


「僕は家を出て行くけど、2度と関わらないでくれ」


 俯いてる真理姉さん達を無視し僕はそのまま歩き出す。これでようやく解放される……教師から教育実習生から声がデカいだけの幼馴染から


「いか……ないで……」


 僕の服の袖を掴み行かないでという水沢先生。瞳からは大粒の涙が流れてる……


「離せ」

「嫌」

「離せッ!!」

「嫌ッ!!」


 僕と水沢先生の離せと嫌のやり取りは傍から見れば子供みたいだと思うし、そう思われても仕方ない。けど、僕は本気でこの人達とはもう関わりたくない


「離せ……離せよぉぉぉぉぉ!!」

「嫌……嫌ぁぁぁぁぁ!!」


 本当に何なんだよ!?コイツは!?本当にうっとおしいな!!


「何なんだよ!!うっとおしい!!離せよ!!邪魔なんだよ!!実習生の分際で教師気取って僕に指図までして!!そんなに教師気取りたいなら他の生徒でやれよ!!」


 生徒の前で教師を気取りたいなら僕である必要はない。他の生徒でやればいい。どうして僕にこだわるのか?


「違うよッ!!私は教師気取って光晃君に近寄ったり関わったりしたわけじゃない!!私は君といたいから関わったんだよ!!そりゃ、小谷先生からはあんまり関わるなって言われたけどッ!!それでも、私は君といたかったッ!!ただそれだけなんだよ……」


 意味が解らない……理解できない……どうして僕なんかと一緒にいたがる?生徒なら他にもいるし、男ならここの男性教師含めてたくさんいる。僕である必要はない


「理解できないな……どうして僕にこだわる?男なら他にもいるだろ?」

「君が初めてだったから……」


 僕が初めて?何が?罵倒したのがか?それとも、ハッキリ拒絶したのがか?


「初めて?何が?拒絶したのが?それとも、罵倒したのが?」

「私がオドオドしても怒らなかったのが君が初めてだった……」


 ああ、あれか……初めてあった時にオドオドしてたっけ?興味ないから忘れてたけど


「別に興味がなかったので気にしなかっただけです」

「それでも、嬉しかった……初対面でオドオドして怒られてばかりの私を怒らなかったのは君が初めてだから……だから、私は君に恋をした」


 僕に恋をした?単純な理由だな……オドオドしてるのを怒らなかっただけで恋をするなんて


「光晃、家に帰ろう?」


 真理姉さんが水沢先生と同じく涙を流しながら帰ろうと言ってきた。


「嫌だね……どうして僕が約束も守れない人間がいる家に帰らなきゃいけないんだ……」


 僕は家に帰るくらいなら家出したままの方がマシだ。そう思う


「光晃ッ!!」

「────!?」


 真理姉さんが大声を上げたので、柄にもなく驚いてしまった。今日はらしくないな……


「帰ろう……」


 僕は何も言えず、家へ引きずられるようにして連れ戻された。そして────


「うっとおしい……」


 僕は真理姉さんと水沢先生に挟まれるようにして寝ている。さすがに秀義は帰った。真理姉さんはこの家の住人だからいいとして、水沢先生はどうして家にいるんだ?


「光晃、私はよかれと思って水沢先生のサポートを命じた。だけど、光晃にとっては苦痛でしかなかったんだね……ごめん……ごめんね……」


 隣りで寝ている真理姉さんが泣きながら謝ってくる。できれば家出する前に気が付いてほしかった


「悪いと思うなら罰を変えてくれない?」

「それは嫌ッ!!」


 罰を変えろと言ったら今度は逆方向に寝ていた水沢先生が叫ぶように拒否する


「耳元で叫ばないでほしいんですけど?」

「あ、ごめん。だけど、光晃君と一緒にいたいし……」


 この人は……生徒に特別な感情を持った事がバレたら打ち切られるという自覚がないのか?


「はぁ……」


 そもそもが、どうして水沢先生が家にいるのか理解できないんだけど?


「真理姉さん、水沢先生のコレいいの?」

「教師としてはダメって言いたいけど、女性としてはダメって言えない。だけど、学校にバレなきゃいい」


 あぁ、やっぱりバカだ。僕としては水沢先生に無事に実習を終わらせて大学に帰ってもらおう


「僕は教育実習生に関わる気はない。もちろん、教師にもね。大体、水沢先生がどうして家にいるのか聞いてないし」

「だって、光晃君がまたいなくならないか心配だったし……」

「私も光晃を1人で見張るより2人で見張った方がいいと思って呼んだ……」


 コイツ等本当にバカだ。そもそも、教師が実習生を家に招き入れる事自体おかしいのに、実習生が生徒の家に泊まるのは問題になるって事を自覚してない


「やっぱり出て行った方がいいかな……」

「「ダメッ!!」」


 今わかった。僕はこの家から出て行くのは無理だ。多分、この人達は僕に一生付きまとう。僕はそう思うし、僕はもうこの人達から逃げられる気がしない


「出て行かないから離れてくれない?動きづらい」


 今僕は発見された宇宙人の気分だ。右隣りに真理姉さん、左隣りに水沢先生。家出した僕にも非があるけど、くっつかれていたら身動き1つ取れない


「光晃君、出て行かない?明日も学校に来る?」


 水沢先生は何を言っているんだ?僕は高校生であり、僕の仕事は学校に行く事なんだけど?授業を受けるかどうかは別として


「サボらない保証はありませんが、学校には行きますよ」

「そっか、よかった!」


 水沢先生を安心させても僕には何の得もないけど、ああでも言わないとまた泣くし……本当に行くかどうかは別として


「サボるのはダメだぞ、光晃!」

「サボられるのが嫌なら生徒に退屈だと思われる授業しないでもらえないかな?」

「うっ!」


 真理姉さんは苦虫を噛んだような顔をしていた。生徒から退屈な授業と言われさぞ傷ついただろうな……


「はぁ……」


 僕は布団から出る。もちろん出て行く為ではないけど……


「「どこ行くの?」」

「トイレだよ」

「「よかった……」」


 何がよかったかは知らないけど、トイレくらいで大げさな…………


「僕が関わる教師は真理姉さんだけだ。実習生は水沢先生だけだ。それ以上は譲らないからね」


 トイレに行く前に一言だけ伝えておく。さっき言った事は僕なりの最大限の譲歩だ。それ以上は譲る気はないし、譲るつもりもない


「「うん!!」」


 2人は嬉しそうに返事をするが、忘れてもらっては困る。僕は出て行かないとは言っていない。この家や学校が嫌になればすぐにでも出て行くし、今度は簡単に戻るかはわからないし、この人達の言葉に耳を傾けるかどうかもわからない。


「あの人達はどうして僕が出て行こうとしたかわかってるのか?」


 僕が出て行こうとした理由は簡単だ。真理姉さんは自分の約束ばかりを主張して僕との約束を守らなかったから。水沢先生は教育実習生でありながら僕に教育観を押し付けたから。ついでに秀義だけど、秀義はいくら注意をしても聞かなかったから。ただ、それだけ


「光晃」


 部屋に戻った僕に真理姉さんが声を掛けてきた。何?この期に及んで説教かな?


「何?説教なら聞かないよ?」

「違うよ。今度は約束守るから……だから、見捨てないで……」


 見捨てられるのが嫌なら約束を守ればいい。ただ、それだけの話だ。それさえしてくれれば出て行かない


「約束を守ってくれれば僕はずっと側にいるよ」

「うん……」


 さて、真理姉さんを落ち着かせたし、次は……


「光晃君……これからも私と関わってくれないかな?」

「自分の価値観を僕に押し付けなければいいですよ?ただ、価値観を押し付けるようなら切り捨てますけど」


 自分の価値観を押し付けなければ僕だって教育実習生を拒絶する事なんてない


「うん!」


 今日は家出して連れ戻されてといろいろあった。この人達と関わり続けるのは僕の気まぐれであり、邪魔だと思ったら簡単に切り捨てられるし、どうしても必要な人達ってわけじゃない



今回は光晃が連れ戻される話でした

連れ戻した方法が強引というか、力押しというか・・・・

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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