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僕の家出はすぐ発見される

今回は家出してすぐ見つかる話です

行くところが限られてる光晃の家出はすぐに見つかります

では、どうぞ

「何だよ……うるさいな」


 現在、7時過ぎ。さっきから僕の携帯はまるで悲鳴を上げてるかのごとく鳴り続けている。秀義でも父でもないとすると残りは1人こんな事をするのは真理姉さんぐらいだ。


「勘弁してよ……ストーカーっての」


 携帯を見ると着信画面の表示は“真理姉さん”と表示されていた。着信履歴を見たらきっと真理姉さんで埋め尽くされてるんだろうな


「本当、勘弁してほしい」


 このまま鳴らされ続けたら迷惑だ。電源を落としておくかな


「真理姉さん、悪いけど話をしたい気分じゃないんだ」


 携帯の電源を落とし、そのまま放り投げた。どれだけ心配されようが僕は当事者じゃない。よって僕は関係ない


「電気を点けるわけにもいかないし……ゲームでもするかな」


 この小屋は基本的に人が寄り付かない。だから電気なんか点けたら怪しまれてしまう。読書したいけど、ここはゲームで我慢する事にしよう


「格ゲーってキャラ全部出したらやる事がないから退屈だけど、まぁ、ストレス解消にはちょうどいい」


 育成ゲームはシナリオをクリアしてもキャラを育成するという意味では長く遊べるし、恋愛ゲームは1度全ヒロイン攻略後は自分の好きなヒロインを好きなだけ攻略できるからそこそこ楽しめる。格ゲーもものによっては隠しスキルや隠しキャラを出すものがあるので一概には言えないけど


「普段はうっとおしい従姉と幼馴染のせいで自分の趣味に没頭できないし、たまには自分の趣味に没頭するのも悪くない」


 これも家出してきたからこそできる事だ。家にいたらできないわけじゃないけど、やれる時間は少ない


「たまにはこういうのも悪くない」


 携帯の電源は落としたし、ゲームゲームっと


「このステージは段差があるから面倒だな……」


 ゲームのステージに文句を言える余裕が出てくるまでには落ち着いたって事か……冷静になって考えてみれば海外行きがバレた時にもうちょっとうまく立ち回れればよかったな


「僕もまだまだ子供って事か」


 自分の幼さを今になって痛感させられる。だけど驚いた。真理姉さんが幼い頃にした約束を覚えていたなんて


『こぉぉぉせぇぇぇいぃぃぃ!!』


 外から秀義の声が聞こえてきた。真理姉さんが教えたのか……ウザい奴とはいえ幼馴染だ。僕の行動なんて簡単にわかるか……


「意外に早い到着だったな……3日は帰らないつもりだったんだけどな」


 僕の家出ってたった1日で終わるのか……嫌だなぁ……3日は帰らないつもりで用意したのにそれがたった1日で終わるなんて


「でも、秀義がここにたどり着くのも時間の問題か……」


 ここから逃亡してもいいけど、そうなれば新たな逃亡先を確保しなきゃいけない。僕にはここ以外に行く宛てなんてないから新しい逃亡先を確保するなんて無理だ


『光晃!!返事をしろ!!』


 この声は秀義か……意外に早かったな。だけど、ドアには鍵を掛けているし、そう簡単には突撃されないだろうし、僕が返事をしなければいい。ただそれだけの話で何も問題ない


『光晃!!お願い、出てきて!!」


 真理姉さん……秀義を呼んだのは真理姉さんだったか。ま、予想はしてたけどね


『光晃君!!ここ開けて!!』


 これは驚いた。水沢先生まで一緒だったとは……もっとも僕はドアを開ける気はない


「無視してゲームの続き続き」


 僕は外の連中の呼びかけに応じる事なくゲームを続ける。もちろん、バレたら連れ戻されるので音無しで。無視し続けていればそのうち諦めて帰るだろ


『真理さん、このドアをブチ破りましょう!!』


 脳筋には交渉で開けるように促がすという選択はないようだ。そんな選択できるなら僕が止めろって言った事や嫌がる事を罰にするわけないか


『そうだね、お願いできる?』


 あの連中マジか!?そんな事されてたまるか!こうなったら窓から逃げるか


「悪いけど、ここで捕まるわけにはいかないんでね」


 僕は窓を開け、そこから飛び出る。ここが土足厳禁だったらできないけど、ここは土足OKだからそのまま逃亡できた


「僕は君たちに捕まるほど間抜けじゃない」


 中に入ってきた時には僕はすでにそこに僕はいない。これで僕の家出は守られた。そう思っていた────


「よお、光晃」


 思っていたけど、僕が飛び出した先には秀義が待ち構えていた


「秀義……」


 くそっ!ドアをブチ破ると聞いて早まったか……まさか、秀義が先回りしているとは思わなかった……!


「光晃……」

「光晃君……」


 秀義の隣りには真理姉さんと水沢先生がいた。秀義がこの2人を引き連れて先回りしているとは思わなかった


「何の用ですか?僕の海外行きを潰したのにまだ何か用ですか?」


 比較的冷静にそれでいて相手が傷つきそうな言葉を選んで発する。海外行きを潰され、その上家出まで潰されたらたまったものじゃない


「光晃、家に帰ろう?」


 真理姉さんが帰ろうと言ってくるが、僕にそんな気がないのは知っているだろ?


「嫌だよ。なんで自分の約束ばかり押し付けて人の約束を守れない人がいる家に帰らなきゃいけないの?」


 人には約束を守らせて自分は守らないような人間のいる家に帰る意味も価値もない


「光晃君、お家に帰ってあげなよ……小谷先生、心配してるよ?」


 黙れ、人の海外行きを潰した人間にとやかく言われる筋合いはない


「人のプライベートの事をペラペラと言いふらすような人の言う事を聞くと思いますか?」


 教育実習生は生徒から悩みを相談されたらその場で即決せずに現場の教師に相談し、意見を仰ぐっていう事は大学の教職課程を取った人間ならみんな知っているが、僕の場合は悩みを相談してない。電話を盗み聞きされて勝手にバラされた。ただそれだけだ。


「光晃……お前……」


 へぇ、声のボリューム落とせるじゃん。いつもは言ってもできないのに


「この際だから言っておくけど、君たちは僕にとっては害でしかないの自覚してる?声のボリュームを落とせって言ってるのに落とさない幼馴染、教育実習生に関わりたくないっていう事を知っているのに関わらせる従姉、人の電話を盗み聞きした挙句の果てにベラベラと第三者に言いふらす教育実習生。それが今の君達。そんな環境にいるくらいなら僕は海外の両親の元で暮らした方が幸せだよ」


 秀義達に自分が僕にとっては害でしかない。その事実を伝えてから秀義達の元を去る。カッコつけてるってわけじゃないけど、言ってわからない奴には直接言ってわからせるしかない。


「待てよ……」


 後ろで秀義が何か言ってるけど、今更興味はない。ま、僕の言った悪いところを直してから出直して来てね


「待てよ!!岩崎光晃!!」


 うるさいな……そういうところが嫌なんだって


「秀義、そういうところが嫌なんだけど?」


 あれだけハッキリ言ってあげてるのにまだわからないのかな?


「それは悪いと思っている……止めろって言われて悪いなと思っても光晃なら許してくれる。俺は心のどこかで光晃の優しさに甘えていたのも事実だ」

「へぇ、じゃあ、無視していればよかったかな?正直、僕は君の母親じゃないんだ。何度も何度も注意するのは疲れるんだよ」


 コイツに何回声のボリュームを落とせって注意したことか……


「それは悪かったと思っている……だが、心配してくれた真理さんと水沢先生にその言い草は何だ!?2人とも泣いていたんだぞ!?」


 なるほど、秀義は自分の事じゃなく真理姉さんと水沢先生の為に怒っていたのか。


「そんな事僕が知るわけないだろ?そもそも、そこの人とは高校入学の頃に教育実習生とは関わらないっていう約束をしたんだ。それを破った人間と一緒にいるのに嫌気が差すのは当たり前だろ?」


 僕はあえて真理姉さんとは呼ばず、そこの人と言う風に真理姉さんを呼んだ。


「光晃!!」

「秀義、泣いたからって何でも許されると思うなよ?」


 泣いて許されるなら死刑なんてものは存在しないし、刑務所だって存在しない。だって、裁判で泣けばいい。取り調べで泣けばいいんだもん。


「この野郎!!」


 秀義が僕に殴りかかってきたが、僕はそれを難なく躱した。昔から秀義は頭に血が上ると殴りかかってくるところがある。


「そういう昔から頭に血が上ると殴りかかってくるところは何年経っても変わらないね。自分の要求が通らないと殴って言う事を聞かせようなんて自己中そのものだ」


 躱した後で僕は秀義の悪いところを指摘する。殴って言う事を聞かせる事ができるなら、やんちゃな子供は存在しないし、ヤンキーだって更生する。だけど、世の中はそうじゃない。人間なんだから意思があるし、考える。不快に思う事は度が過ぎれば言うし、自分で居場所を選択する事も時にはある


「黙れよ……」


 躱しただけだし、立ち上がれるのは当たり前だけどさ。そろそろウザいなぁ……


「何?自分の痛いところを突かれたら今度は黙れときたもんだ……君もそうだが、真理姉さんにも水沢先生にも付き合いきれないよ」


 これ以上は付き合いきれない。僕は真理姉さん達の前から立ち去ろうとした。しかし────


「光晃ぇぇぇぇ!!」


 後ろから秀義が殴りかかってきた。殴るしか能がないのか?


「だから、うるさいって言ってるだろ?」

「あがっ!?」


 僕は殴りかかってくる秀義の顔面に回し蹴りを喰らわせた。秀義が後ろから殴りかかってくるのは予想できたし、喰らわせるのは簡単だったけどね


「秀義君!」

「名倉君!」


 真理姉さんと水沢先生が秀義に駆け寄る。その隙に僕はこの連中の前からいなくなるとしよう


「ま、待て……」


 顔を蹴られた秀義が真理姉さんの肩を借りて立っている。本当だったら歯が折れていてもおかしくない状態だけど、幼馴染のよしみで手加減はした


「何?まだ何か用?まさか、謝れとか言わないよね?」

「ああ、謝れとは言わない。光晃が海外に行こうとした理由も家出した理由も元を正せば俺達に非があるからな」

「へぇ、わかってるじゃん。そうだよ。うっとおしい君達から離れて僕は静かに暮らす予定だったんだ。ま、それは水沢先生と真理姉さんによって潰されてしまったけど」

「なぁ、俺達が悪かったから……光晃に言われたところ頑張って直すから……出て行くなんて言わないでくれよ……」


 秀義は泣いていた。力じゃダメなら泣き落としか……本当にコイツは……


「力づくがダメだったら今度は泣き落とし?本当に付き合いきれないよ」


 本当に付き合いきれない……今の秀義はほしいオモチャを買ってもらえなくて駄々をこねている子供と同じだ。そんな奴に割いている時間はない。僕は何も言わずにその場から立ち去ろうとした。だが────


「何?離してほしいんだけど?」


 秀義に肩を貸していた真理姉さんとそれに寄り添っていたはずの水沢先生が僕に抱き着いていた。よく見たら秀義は肩を借りずとも1人で立っているし


「絶対に離さない……」

「私もだよ!光晃君……」


 本当にうっとおしいな……何?最後の手段で年上の女性2人が抱き着いてハーレム状態なら僕を止められると思った?考えが甘いんだよ

今回は家出してすぐ見つかる話です

行くところが限られている光晃の家出はすぐに見つかりました

光晃が家に帰るかどうかは次回

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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