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【過去編4】進級しても僕は教育実習生に絡まれる

今回は小学校2年生の光晃です。

1人で本を読んでいる事が好きな光晃ですが、1年生の頃は実習生に絡まれました。では、2年生ではどうでしょうか?

では、どうぞ

 面倒な教育実習生がいなくなってから早いものでもう半年が経った。その間、他の実習生に絡まれなかったか?と聞かれると、全くと言っていいほど絡まれなかった。さすがに自分の将来がかかっている事だから安易な考えで児童(生徒)に絡んでこないのだろうと思う。さて、時は進み、僕は小学校2年生に進級した


「光晃も2年生かぁ~……」


 真理姉さんは感慨深そうにしているけど、真理姉さん、そういう自分だって高校2年生じゃないか。ま、高校生と小学生じゃ進級した時の価値観が違ってくるのかな?誕生日だって幼い頃に祝われたら何となく嬉しいけど、小学校高学年になった時くらいかな?そのくらいから誕生日会とか面倒くさいと感じるようになってくるから不思議だと思う。だけど、それが成長するという事だと僕は思う


「そういう真理お姉ちゃんも2年生でしょ?同じようなものじゃん」


 高校生の今だからこそ小学生と高校生の進級を比べるのは違うって事を知っているけど、この頃の僕にはまだ進級する事の喜びなんてよくわからなかった。だってそうだろ?小学生は勉強ができなくても進級する事ができる。出席日数なんて関係ない。しかし、高校生は違う。テストの結果次第では進級できない。出席日数が足りないと留年する事もある。しかし、小学生は余程の事がない限り進級できる。小学生の進級に関して1つ苦言を呈すのであれば自動的に学年が上がるのはいいとして、進級前の学年の勉強がわからないまま進級させるのはどうかと思うけどね


「ふっふっふっ、光晃君!小学生と高校生じゃ進級した時の重みが違うのだよ!」

「何?それ?」


 本当にこの頃の僕はガキだったと思う。進級した時の重み。今なら解る。小学生の頃は勉強ができなくても進級するだけならできる。さっきも言ったと思うけど、高校生は進級するにもテストや出席日数が絡んでくるから進級するにしてもいろいろと苦労が絶えない


「ん~?光晃にもいずれ解るよ?楽に進級できるのは中学生までだってね」

「そう。早く朝ごはん食べて準備しないと学校に間に合わなくなるよ?」


 小学生の僕は真理姉さんが言っている事をそんなに重くは捉えていなかった。小学生からしてみれば高校生なんて立派な大人だと思っていたし、それに、先の事だと思ってた。高校生に─────いや、中学3年の受験シーズンまで僕は真理姉さんが言ってる事の意味がよく理解できてなかったと思う


「あ!ヤバっ!」


 真理姉さんは慌ててリビングまで走って行った。それとは対照的に僕はゆっくり歩いてリビングまで下りて行った。小学校は遅刻したら先生に怒られる程度で済んだけど、高校は遅刻したら成績に響く。これは中学3年になり、受験を意識し始めた時になって初めて知った事だけど、受験にはテストの結果や教科の成績、遅刻、早退の数も考慮されるらしい。らしいというのは僕は遅刻、早退した事があまりないから高校受験には苦労しなかった。だからと言って勉強ができたわけじゃないけどね


「はぁ……真理お姉ちゃん、もう少し落ち着きなよ……」


 慌ててリビングに降りて行った真理姉さんが開けっ放しにしたドアを見てもう少し落ち着いて行動してほしいと思わずにはいられなかった。小学生にこんな事を思われる高校生……。これが後に高校生に居眠りしている生徒がいるのは授業が詰まらないか授業が下手だからって言われる教師の姿だとはこの時の僕はまだ知らなかった。


「どっちが年上なのかこれじゃわかったもんじゃないよ。全く……」


 今もそうだけど、僕はしっかり者だとは思っていない。むしろ僕は他の奴よりもガキだって自覚はある。些細な事で家出したり、大人しくしていればいいのに教師に反発したり。本当に僕はガキだ。ただ、教師からしてみれば授業が詰まらないから改善しろだなんて言ってくる生徒は相当質が悪いと感じているだろうけどね


「全く、真理お姉ちゃんは……」


 叔父さん達が亡くなった時に僕は真理姉さんとの約束で『ずっと側にいる』なんて約束したけど、もう1つ『落ち着いて行動する』って約束をしておけばよかったと今でも後悔することがある。教師になり、授業をサボっている僕を捕まえる時の真理姉さんはゴリラそのものだったし。


 朝食を摂り、家を出て学校についた僕はとりあえず2年生の教室がある2階に向かった。自分がどのクラスかがわからなくても教室の前に張り出している名簿を見ればいい。これは1年生から6年生まで共通の事だ。この頃の僕はそんな事を知らなかったからとりあえず自分の教室のある場所に行けばいいという安直な事しか考えてなかったけどね


「げっ!また秀義と同じクラス……。はぁ~」


 僕だって男だ。異性の幼馴染と同じクラスだったらそれなりに喜んでいただろうけど、相手は同姓の幼馴染でしかも、騒がしい。これで喜ぶ要素があるなら教えてほしい。先に行っておくけど、これが小学校6年間、中学校3年間、高校は2年と少しになるとはこの時の僕はまだ思ってなかった。腐れ縁って恐ろしい


「よう!光晃!また同じクラスだな!」


 教室に入り、自分の席に座っていると秀義が僕の席までやってきた。できれば違うクラスであってほしかった。席が隣じゃないだけマシだと思うしかない。クラス替えの時、僕は毎回そう思う事で『秀義と同じクラスになった』という現実から目を反らすしかなかった。いや、こうでもしないとやってられなかった


「同じクラスだとしても僕は岩崎、君は名倉で席は離れてるだろ?」

「堅い事言うなよ~。せっかく同じクラスなんだから仲良くしよう~ぜぇ~」

「はいはい、程々にね」


 秀義、僕なんかに構うよりも他の人と喋らなくていいのかな?なんて一時期思ったりもした。秀義は事ある事に僕に絡んでくる。特にクラス分けがされる度に僕に絡んでくる。それがうっとおしいとは思わないけど、僕みたいな根暗に絡むよりも他の人と喋っていた方がいいと思う。何が言いたいかと言うと要するに僕に無理して構う事はないって事


「おう!あ、そろそろ先生が来るから戻るな!」

「うん」


 秀義は自分の席に帰って行った。そして、それから少しして担任と思われる先生が入ってきた。できれば1年生の時に担任だったあの人が担任だったらよかったけど、現実は非常に厳しいもので、2年の担任は1年の時と同様に女の先生だったけど、1年の時の担任とは違い、優しさをあまり感じさせないような先生だった。


 担任との顔合わせから早いものでもう夏。僕にとっても学校にとっても毎年恒例となりつつある教育実習生が来る季節となった。1年生の頃に来た教育実習生は僕が教室で1人本を読んでいる事が気に食わず、クラスの人と遊ぶ事を強制するような視野の狭い女だった。まぁ、そんな期待はアッサリと打ち砕かれたけどね


「岩崎君!君はいつも1人で本ばかり読んでいるな!たまには他の子と元気に外で遊んだらどうだい?」


 僕のクラスに来た実習生は見た目はイケメンだけど、中身は熱血という1人を好む人間からしてみれば迷惑極まりない奴。いや、善意の押し付けという言葉を知らないような奴と言った方が正しいか。とにかく、僕にとっては迷惑でしかない奴だった


「別に僕は1人で本を読んでいた方が楽しいのでその必要はありません」


 この学校は教育実習生になんて言ってるんだろう?高校生となった今、僕は心の底から疑問に思う。小学校だと児童と実習生の年齢が離れているし、小学校低学年~中学年だとそれこそ身体の発育もまだ途中だから実習生の方も変な気は起こさないだろう。しかし、これが小学校高学年、中学生、高校生になるにつれて身体はもちろん、精神的にも成長する。ませてる子の話をするとキリがないからしないけど、身体的にはより大人に近づいている。それは置いといて、ここでの問題は児童との距離感だ。干渉できる程近くていいのかな?


「そんな事言わずに外で遊んだ方が楽しいと思うよ?」


 中身が熱血系でも1年の時に来ていた実習生とは違い、一応、相手の話を聞く気はあるみたいだ。高校生で実習生に反発しているんだから当然、小学校2年生の僕が大人しく実習生の言う事なんて聞くはずもなく……


「僕は1人の方が楽なんで放っておいてください!!」


 僕は実習生に構わず教室から走って出た。だけど、今回は特に害を与えられたわけじゃないから職員室に行く事はしなかった。小学生に人の人生について考えろだなんて言ってもピンとこない。しかし、教師を目指す人にとって教育実習でコケるということは大学での苦労が全て水の泡と化す。児童(生徒)が実習生に何かされたとなると当たり前だけど、評価が下がる事に繋がる。これは悪い意味で教師に報告した時に限るけど。いい意味で実習生の事が教師の耳に入れば評価は上がる。例えば、優しくされたとかね


「はぁ……これじゃ1年生の時と変わらないよ……」


 教室を出て図書室に向かう途中で去年と何も変わらない事に対し、1人で愚痴っていた。僕が言ってるのは教育実習生の性別が変わったとか、そんな誰が見ても解る変化じゃない。『1人でいる児童に対し、何も考えずに集団の中に入れようとする考え』について言っているんだ。しかも、僕は孤立させられているのではなく、自ら望んで1人でいるんだ。どうしてそれが理解できないのかな?


 それから僕はチャイムが鳴るまで図書室にいた。教室にいると実習生に絡まれる。小学生の僕にとって図書室がサボりスポットだったし、本に関して言えば自分で用意しなくても図書室に来たら腐るほどあったから暇つぶしには困らなかった。高校のサボりスポットは業者がそのまま放置していった小屋だから暇を潰せるものは自分で用意しなきゃいけないけどね。


「あんまりしつこいようだったら先生に相談しようかな……」


 1年の頃の担任が僕の事をどれだけ把握していたかは知らないけど、相談する事は別に悪い事じゃない。実際に対応してくれるかは別としてね


今回は小学校2年生の光晃でした

1人で本を読んでいる事が好きな光晃でしたが、2年生になっても実習生に絡まれました。何て言うか、『みんな仲良く』っていう意味が最近になって分からなくなっている今日この頃。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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