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『バレット・ファントム ~仮想銃姫の覚醒~』  作者: 蒼狐
第2部 弾道の女王

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22/30

第22話 準決勝の激闘

 Rei Phantomは、激しい渦巻く風と雨の中で、浮遊する巨大なプラットフォームに立っていた。

 周囲は完全な嵐の中心で、強風が銀髪を激しく乱し、雨粒が針のように肌を刺す。仮想の地面がところどころで現実の自分の部屋の床と重なり、壁が溶けるように崩れ、遠くの風景が突然薄暗い自室の光景に切り替わる。重力も不安定で、体がふわりと浮き上がったり、急に引きずり込まれたりする感覚が、零の仮想の身体を激しく不安定にさせる。


 左目に浮かぶ赤い十字が、激しく明滅を繰り返していた。

 義眼の疼きは、今や激痛を超えた「異物感」に変わっていた。0.3秒の先読みは6秒近くまで伸び、視界が現実と仮想で激しく切り替わる。頭痛が脳を締め付け、思考が乱れ、息が浅くなり、指先が微かに震えていた。


 零の胸に、激しい感情が渦巻いていた。


 高揚。

 恐怖。

 孤独。

 そして、わずかな——信頼への渇望。


 準決勝の相手は、強力なチーム「Eclipse Shadow」だった。

 Eclipseの影を強く感じさせる、得体の知れない連携を持つ5人組。


 零は二挺のUSP「Phantom Edge」を構え、静かに息を整えた。


 パン! パン! パン! パン!


 サイレンサー付きの小さな乾いた音が嵐の中に響く。


 しかし、敵の影のような動きは、零の攻撃をかわし、反撃を仕掛けてくる。


 タタタタタッ! ドンッ!


 サブマシンガンとショットガンの連射。弾が零の周囲を蜂の巣にする。


 零は低く身を翻し、浮遊プラットフォームを蹴って距離を取った。


 Void Railgunを構え、反撃した。


 ヴゥゥゥン……!


 重く低いエネルギーうなり。反物質弾が嵐を貫き、敵の一人を一撃で蒸発させた。


 しかし、敵チームの連携は強力だった。


 残りのメンバーが一斉に零を囲み、攻撃を浴びせてくる。


 零のHPが急激に減少していく。


 零の心に、激しい葛藤が渦巻く。


 信じたい。

 信じたくない。

 孤独が怖い。

 孤独が安心する。


 戦闘は長く続き、零はチームの残存メンバーと連携しながら敵を次々と撃破していった。


 しかし、戦いが長引くにつれ、零の心の亀裂が大きくなっていた。


 Tankが叫ぶ。


「Phantom、左を頼む!」


 零は即座に応じた。


 パン! パン! パン!


 しかし、心の中では別の声が響いていた。


 ——本当に信じていいのか?

 また裏切られるのではないか?


 その葛藤が、零の動きをわずかに鈍らせる。


 敵のスナイパーがその隙を突いた。


 ヴゥン!


 精密な一撃が零の左腕を直撃。HPが一気に30%減少する。


 激しい痛みが脳を焼く。


 零は歯を食いしばり、Void Railgunで即座に反撃した。


 ヴゥゥゥン……!


 反物質弾が敵スナイパーを蒸発させる。


 しかし、痛みと葛藤が零の心を乱していた。


 Lilyが心配そうに声をかける。


「Phantom、大丈夫?」


 零は無言で頷いた。


 しかし、心の中では激しい嵐が吹き荒れていた。


 信じたい。

 信じたくない。

 孤独が怖い。

 孤独が安心する。


 戦闘はクライマックスを迎え、零は最後の力を振り絞って敵チームを全滅させた。


 【敵チーム全滅 勝利!】


 アリーナに、静けさが戻った。


 零は膝をつき、荒い息を繰り返した。


 銀髪が汗と雨水で顔に張り付き、左目に浮かぶ赤い十字が激しく明滅していた。


 HPは残り12%。瀕死に近い。


 Tankが近づき、優しく声をかけた。


「よくやった、Phantom。お前がいなかったら、勝てなかった」


 Lilyも微笑む。


「本当に……ありがとう」


 その言葉が、零の胸を強く締め付けた。


 零はゆっくりと立ち上がり、チームの顔を見た。


 胸の奥で、温かい感情と冷たい拒絶が激しくぶつかり合っていた。


 ——信じたい。


 しかし、過去の痛みが零を強く縛る。


 零は静かに呟いた。


 「……ありがとう、と言える日が来るといいな」


 その言葉は、雨音に紛れて小さく消えた。


 義眼の疼きが、再び強くなる。


 視界の端に、黒い影が一瞬だけちらついた。


 【Null】


 謎の影は、静かに零の成長と葛藤を観測し続けていた。


 銀髪の少女は、チームの影に守られながらも、心の奥で激しい亀裂を抱えていた。


 戦いは、まだ続く。


(第22話 終わり)

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