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黒い影:祟り神 サブエンド
『女神よ』
『なぁに?』
『名はなんと言うのだ』
『多勢の神の一人である私に固有名詞など存在しないわ』
『名は弱い人間にすら有るものなのに、神であるそなたには無いと云うのか?』
『人間が吸う空気には一呼吸という名詞がつく。でも木々の葉や花弁一つ一つには名は着けないでしょう』
『そうか』
『貴方には名がある?』
『人間は祟神と呼ぶ。毎年村人から奉られるそなたとは違ってな』
『貴方のそれも名前ではないわね』
『ああ』
「あれ……何か変な夢を見ていた気がする」
立ち上がると私が知らない古い本が足元に落ちていた。
「まあいいか……」
私は後ろ髪を引かれながら家路へつく。
【あなたは私のもの】




