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恋人に浮気されて意気消沈した俺はお隣に住むデカすぎる美人三姉妹に死ぬほど溺愛される  作者: かくろう
第1部

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第35話 朝倉瑛斗の破滅

【朝倉瑛斗 視点】


「朝倉瑛斗! 話がある。生徒指導室まで来なさい」


そろそろサボって学校を抜け出そうかと思っていた矢先、担任の声が廊下に響いた。


俺は舌打ちをしながらスマホをポケットに突っ込んだ。

今日も授業は面倒くさくて、昼休み明けに早々と教室を抜け出そうとしていたところだ。

凪沙から金が引っ張れればライブの機材代がなんとかなると思っていたが、最近のあいつの返事が遅くて苛立っていた。


「は? 何すか先生。俺、何かしたっけ?」


俺が適当に笑いながら振り返ると、担任の顔がいつもより硬かった。

後ろには学年主任まで立っている。

空気が妙に重い。


「とにかく来なさい。すぐに」


先生の声にいつもの優しさは一切なかった。

俺は面倒くさそうに肩をすくめながら、二人の後について歩き始めた。


廊下を歩いていると、教室の中から妙なざわめきが聞こえてくる。

普段より明らかに騒がしい。

スマホをチラッと確認したが、特に通知は来ていない。

LINEもXも静かなままだった。


(なんだよ……なんかあったのか?)


生徒指導室のドアを開けると、中にはすでに教頭と生活指導の教師が待っていた。

机の上にはタブレットが置かれ、画面が明るく光っている。


教頭が俺を一瞥し、冷たい声で切り出した。


「朝倉。お前、浮島凪沙と付き合っていたな?」


「……は? 急に何ですか」


俺は椅子に腰を下ろしながら、わざと余裕の笑みを浮かべた。

内心では少し嫌な予感がしていたが、表面上はいつもの軽い態度を崩さない。


教頭はタブレットを俺の方に向け、画面を操作した。


「これを見ろ」


表示されたのは——凪沙の裏垢のスクリーンショットだった。


飲酒している写真、喫煙しながら俺とキスしている画像、ラブホテルで制服を乱した状態のプライベート写真……

そして、俺が凪沙に送った最後のメッセージ。


【お前、もう用済み。動画も全部下須川さんに渡したからな。勝手に死ねよ、役立たず】


俺の背筋が一瞬で凍った。


「……なんでこれが……」


「今日の昼休み以降、全校生徒に向けて一斉に送信された。

お前の名前も、浮島凪沙の悪行も、全部晒されている」


教頭の声が低く響く。


「未成年飲酒、喫煙、ラブホテル利用……さらに、凪沙を脅迫して動画を第三者に譲渡した疑い。

これは立派な犯罪行為だ。

学校としては、即時退学処分を検討せざるを得ない。

保護者にも連絡済みだ。警察の事情聴取も入る可能性が高い」


俺の頭の中が真っ白になった。


(嘘だろ……?

凪沙の裏垢がバレたのはわかるけど……なんで俺のメッセージまで……?)


スマホを慌てて取り出して確認したが、俺の端末にはその一斉送信が来ていない。

どうやら俺だけが対象から外されているらしい。

誰かが意図的に俺を狙い撃ちしているような気がして、背中がぞわぞわした。


「先生……これは、誤解ですよ。

俺はただ、その、これは凪沙が勝手に……」


「言い訳は後で聞く。

今は事実関係の確認だ。

お前が下須川という人物に凪沙の動画を渡した事実はあるのか?」


教頭の目が鋭く俺を射抜く。


俺は初めて、本気で焦りを感じた。


凪沙はもう終わりだ。

あいつは退学確定だろう。

でも、俺まで巻き添えになるとは思わなかった。


(クソ……下須川さんに動画を渡したのがバレてる……

あいつ、ただの遊びじゃなかったのか……?)


教頭が静かに、しかし重い声で言った。


「朝倉瑛斗。

お前は今日から自宅待機だ。

正式な処分は、調査が終わった後に決める。

……覚悟しておけ」


その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中に「終わり」という文字が浮かんだ。


ライブも、バンドも、凪沙という便利な金づるも——

全部、俺の手から滑り落ちていくのがはっきりとわかった。


俺は椅子に深く沈み込み、初めて本気の冷たい汗をかいていた。


教頭の言葉が頭の中で何度もリピートされる。

退学。警察。保護者連絡。

どれもが、現実味を帯びて俺の胸を締め付けてくる。


(……家に連絡が行くのかよ)


その瞬間、頭に浮かんだのは自分の家だった。


父は今頃、酒屋のカウンターで昼間から安酒を煽っているだろう。

母はパチンコ屋か競馬場で、また借金を増やしているはずだ。

兄は5年前に家を出たきり、連絡すら寄こさない。


うちはそんな家だった。


父は俺が生まれた時から「役立たずのガキ」と呼び、殴るか無視するかのどちらかだった。

「男なら自分で稼げ」「お前みたいなのが生まれてこなければ、うちはもっと楽だったのに」——

それが父の口癖だった。


母はもっとひどい。

俺が小遣いをねだると「金なんかねえよ! あんたなんか産まなきゃよかった!」と叫び、

時には包丁を振り回して追いかけてきたこともある。

兄が家出してからは、両親の八つ当たりが全部俺に向けられるようになった。


俺がバンドを始めたのも、家にいたくなかったからだ。

外で女を貢がせて生きる方が、まだマシだった。


だから凪沙をATMにした。

だから動画を下須川に売った。

「家族に金を取られるくらいなら、他人に売ってやる」——

そんな歪んだ考えが、俺の中で普通になっていた。


教頭が冷たい目で俺を見下ろした。


「保護者への連絡はすでに済ませている。

父親からは『またあいつか。面倒くせえな』という返事しかなかったそうだ」


その言葉に、俺の胸の奥がずしりと重くなった。


父はきっと怒るだろう。

でも、それは俺のためじゃない。

「うちの恥を晒しやがって」「また金がかかる」「面倒くさい」——

そんな言葉を吐きながら、また俺を殴るだろう。

母は「あなたが産んだガキのせいよ!」と父に八つ当たりし、

結局、俺が全部の責任を押し付けられる。


俺は初めて、自分の人生が本当に終わろうとしていることを実感した。


ライブも、バンドも、派手な茶髪で女を騙す毎日も——

全部、俺が自分で積み上げて、自分で壊したものだった。


教頭が静かに、しかし重い声で言った。


「朝倉瑛斗。

お前は今日から自宅待機だ。

正式な退学処分は、調査が終わった後に決める。

……覚悟しておけ」


その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中に「終わり」という文字が浮かんだ。


ライブも、バンドも、凪沙という便利な金づるも——

全部、俺の手から滑り落ちていくのがはっきりとわかった。


俺は椅子に深く沈み込み、初めて本気の冷たい汗をかいていた。


外では、まだ教室のざわめきが聞こえていた。

凪沙が全てを失ったように、俺もまた、全てを失おうとしていた。

※後書き※

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