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ベッドで横になった朝

朝になって部屋に鳥たちのさえずりが響いていた。カーテンの隙間から夏の日差しが差し込んだあとも、僕はベッドに横たわったまま天井を見上げていた。9日目の朝、隔離生活も今日を入れて残すところあと2日になっていた。


隔離された日々の中で冷静になって振り返ってみると、以前の僕は頭がどうかしてしまっていたのだと思った。正直な所全く持ってどうかしていたのだ。僕はずっと、誰かに追われるようにして無理やり前向きに生きてきた。一体いつからそんな風に生きていたのか思い出せない位に長い間ずっと。勉強や仕事のノルマを自分の中で設定して、それを達成したら次の目標をすぐに設定して、時には達成できなくて人より遅れている自分に焦ってパニックを起こすというサイクルをただ繰り返す毎日だった。休みの日にすら余暇を充実させようとして朝から晩まで動き回っていた。つまるところ僕の人生には、「満足」「安心」「喜び」なんていう言葉はどこにも存在しなかったのだ。


何故そんなに無理やりに前向きに生きていたのかを考えてみたら、結局のところ目標を失った時に後から襲ってくる不安だとか恐怖に耐えられる自信がなかったのだと思った。でもどんなに頑張ってみても不安から逃げ続けるのには限界があって、結果的に僕は耐えられないほど苦しむことになった。あれは思い出すのも嫌なくらいにどん底の日々だった。けれど最悪の時期を超えてみたら、不安から逃げ続けている時よりは受け入れた後の方がよっぽど楽になったのも事実だった。


目標に人生を支配されるのをやめてみたら世界は驚くほど静かで、そして満ち足りた場所に変わった。どうやら人生は「今この瞬間」が「今この瞬間」に存在しているという当たり前なことの連続であって、その当たり前に気付いているかどうかで、世界の見え方はまるで違うみたいだった。本当に言葉を失う位に、信じられない位に世界はその表情を変えた。今まで気にも留めていなかった自然の景色、音、肌に触れる感触こそが、生きているという実感そのものだということに僕はやっと気が付いたみたいだった。

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