8:お引越し
「お手合わせしますか?」
「いえいえ、そんな必要はないですよ。ギルドでその人がどんなことができるか調べてもらうことができるので一緒に行きましょう。」
アルフィーさんがそういうとオリバーさんの方を見た。
「そうですね。ギルドで出来ますよ!実はここだけの話、従業員価格で安くできるんですよ!さぁ!行きましょう!」
どれぐらいお金かかるんだろう。
因みにここら辺の国では小銅貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨がある。小銅貨一枚でリンゴが五個ぐらい買える。
オリバーさんに案内されギルドの方に向かう。
歩くこと数分ギルドの前についた。
酒場みたいな入口なのね。
スイングドアを押して中に入ると冒険者風の人がいっぱいいた。
これがギルドね!なんかわくわくする!
「エカテリーナさん、アルフィーさんこっちです!」
測定室と書かれた部屋に案内された。
部屋の中心には大きな結晶が置いてある。
これが、なんか測れるっていうやつかな?私がいた国では使われてなかったけどこの国はこうやって測定するのね。
「エカテリーナさんここに手を当ててください。しばらくしたらいろいろと表示されるので!」
「わかりましたわ。」
結晶に手を当てると文字や数字が浮かび上がってきた。
「おぉ...これは凄い。」
「うへーエカテリーナさん大賢者にも師範にもなれますよ!すげぇですよ!」
びっくりしてるようだけど、小さい頃からの努力の賜物だからね。
「試すような真似してすいません。ぜひ、学校で教えてください。お願いします。」
なぜかアルフィーさんに謝られた。
大事な生徒の世話をするんだよ?チェックしないとまともな人か変な人か分からないでしょ?
当たり前のことをしただけなのにね。
「アルフィーさん、謝らないでください。私は、もちろん学校の先生になります。可愛い子供達に教えるんですよ?子供達の安全が第一に来るのは当り前ですわよね?あなたは何も間違った事をしていないですわ。教師とはこうあるべきよ。」
思ったことをアルフィーさんに思い切って言ってみた。
アルフィーさんの顔を見ると涙を浮かべながら感動してるような顔をしている。
そして、オリバーさんの謎の涙。
しばらくしていろいろと落ち着いたころに家のことを思い出した。
「オリバーさん家の話はどうなったのですか?」
「あぁ!すいません!感動して忘れてました!案内します!」
そういうと測定室から出てその横の資料室という場所に入った。
資料室って...部外者の私やアルフィーさんが入っていいの?
「学校の近くに空き家が何個かあるんですけど、見に行きますか?」
「そうですね。行きたいですわね。」
「では、僕は明日の準備があるので先に帰りますね。エカテリーナさん明日からよろしくお願いします。」
アルフィーさんは先に帰るようだ。
「えぇ、また明日。」
アルフィーさんを見送った後そこら辺の空き家を何軒か見回った、私が気に入った家はもともと治癒師が使っていた家らしい。薬瓶や、薬を作るための道具がいっぱい置いてあるし治癒師が使っていたということもあり一階は小さな病院みたいになっている。家の中にある可愛らしい台所から外が見え、子供達が何をしているのかずっと見守れるし、外に出れば小さめの畑と動物小屋もある。子供達が走り回って遊べる場所もある。
二階には寝室が四つあり家の中には風呂場が二つあった。
「オリバーさん私ここがいいわ。」
「わかりましたー。家は購入にしますか?それとも賃貸にしますか?」
賃貸とかもあるんだ、なんか新しい。
「購入でお願いするわね。」
オリバーさんは資料を見ながら金額を計算していた。
しばらくすると計算が終わったのか私の方を見て、
「さっきの測定代と家の代金、全部合わせて金貨三枚と銅貨三枚です!」
あらま。思ったよりも結構安いね。
袋からお金を取り出し、オリバーさんに渡す。
「はいどうぞ。」
「お買い上げありがとうございます!」
なんだろうか...前世、コンビニで物を買った時もこういう光景を見たような気がする。
「では、息子達と引っ越すのでまた今度会いましょうね。」
「わかりました!」
そういうとオリバーさんは走って帰って行った。
私は誰も周りにいないことを確認して魔法を使った。
「移転」
この魔法は思い浮かべた場所に瞬間移動できる魔法だ。魔力を結構使う魔法なので使える人は限られているみたい。運が良いことに私の魔力は少ない方ではないので一日に何回か使える。
移転すると部屋の中心に立っていた。
「お、お母さん!すっげぇ!!」
「すごーい、魔法だ!」
「ただいま。さぁ、引越しするわよ。お母さん家買っちゃったわ。」
子供達がなんか戸惑っていた。
家が...あまり好きじゃないのかな?
「お、お母さん。家って高いだろ?いいのかそんなにお金使って...」
なーんだ、そんなことか。
「心配ないわ。あなた達が大きくなるまで余裕で育てられるほどのお金は持ってるわよ。」
そういうと子供達は安心していた。