22話 クラウド様-使用人視点
メイドAの話
クラウド様がヤーデル家のご子息として拾われたのは、今から1月ほど前の事でしょうか。初めて見た時は、土や(恐らく)血痕で汚れていました。ですが、とても整った顔立ちをされていて、美しいと思ったことを覚えています
そんなクラウド様をお風呂に案内するようにミカリスさんに言われたので、案内いたしました。それから、お風呂の入り方を説明し、服を用意して、扉の前で待っていたのですが、お風呂から上がったクラウド様はまるでお人形さんのようでした。思わず見惚れていると、小さな声で途切れ途切れに、お風呂に案内してくれてありがとうと伝えてくれました。それはもう、役得としか言いようがありませんよね
その後、クラウド様は勉強に励み言葉遣いが丁寧になり、スラスラと話せるようになりました。また、私達使用人の事も顔と名前を覚えていらっしゃるようで、声を掛けられる度に嬉しくなります。そして、何かをすると必ずありがとうと言って下さったり、体調の悪い者をさりげなく気遣ってくださったり、とてもお優しいのです。最初は冷たそう等と言っていた同僚数人も、クラウド様の優しさや努力家な所を知ったようで、今ではクラウド様が大好きです。息子や孫のように思っている方もいるでしょう。最近はあまり休むことなく勉強しているクラウド様へ、心配の声が沢山上がっています。私も心配です。クラウド様が倒れられたりしたら、この屋敷は大パニックでしょう。それ程、この屋敷でクラウド様の存在は大きくなっているのです。今日からは、夏休みという形でお休みなので、存分に休んでいただきたいです
庭師Jの話
クラウド坊ちゃんは儂という、年寄りの話を嫌がりもせず、むしろ興味を持って聞いてくれるとても優しいお方じゃ。その人形のように整った、冷たく見える顔で誤解されん事を願っとる
そんなクラウド坊ちゃんは今、夏休みだというのに部屋に篭って何かをして、書斎で勉強をしてということを毎日繰り返しているんだが。何故庭師が知っておるのか。それは、この屋敷で噂になっているからじゃ。坊ちゃんの耳には入らない様にして欲しいの。クラウド坊ちゃんは子供のおらん、儂と婆さんの孫のような存在なんじゃ。口には出さんがの。だから、旦那さんや奥さんが最終日に何かしようと計画しているのを、見て見ぬ振りをする。正直もっとやっても良いと思っているのは内緒じゃよ
料理人Tの話
俺はクラウド様は、食事中に時々だが難しい顔をしながら食べているので口に合わなかったかとか、嫌いなものがあるのかとか、色々考えていた。その理由は、ミカリスに聞くとあっさり解決したが。なんと、マナーを覚える為に今までの食べ方を矯正しながら、食べているらしい。クラウド様は貴族になったんだし、学園の入学までに何とかしたかったそうだ。そりゃそうだ。少し考えれば分かるのに恥ずかしい。その後、その話を聞いたらしいクラウド様が少し慌てた様子で(多分)、ご飯美味しいとわざわざ言いに来てくれた。クラウド様は天使だと思った
そのクラウド様は今日、旦那様と奥様と一緒にゲームをして遊んでいるらしい。俺も見たいので、少し見に行こうと行ったら、坊ちゃんは部屋に戻った後で、遅かったかと思っていると、クラウド様が何やら抱えて持ってきた。その後はもう、大変だった。使用人達も大泣きだ。俺も泣いた
最後は聞こえなかったが、恐らくクラウド様が勉強等を頑張っていたのは、また追い出されるのは嫌だと思っていたようだった。クラウド様どんな人生歩んで来たんだよ。森にいた時点で普通ではないが、子供に色々背負わせすぎだろ。クラウド様が何をしたっていうんだよ
それから、恥ずかしくなったのか、ミカリスに何やら渡して部屋に戻っていった
その夜、ミカリスから使用人にプレゼントがあると渡された。クラウド様が旦那様と奥様に渡したものと、匂いはないが同じものだと聞いて使用人達はまた泣いた。俺もまた泣いた
とりあえず、使用人達の心は1つだと思う
クラウド様まじ天使
ネタが尽きたので(早い)更新が滞るかもしれません
このままいくと、ネタが無くて乙女ゲームにがっつり触れるかもしれません。作者は乙女ゲームをあまりした事がないので、それは避けたいです




