表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第六王子は働きたくない  作者: 黒井へいほ
第一章 城を追い出されて砦の主にされた
35/35

エピローグ

 久しぶりに王城の中を歩くのは非常に緊張をする。好機の目で見られていることにも気づいていたが、後ろへ続く二人のお陰で、どうにか動揺を隠せていた。

 通された部屋の前で止まり、二人へ声を掛ける。


「終わったら、エルペルトが治療を受けている場所へ向かうよ。スカーレットはこの場で待機していてくれ。くれぐれも喧嘩はしないようにね?」


 エルペルトが頭を下げ、スカーレットが約束を守れなさそうな顔を見せたが、諦めることにして室内へと入った。

 室内には、すでに俺以外の全員が揃っている。父であるカルトフェルン国王が顎で示した席へと座った。


「それで、セスよ。これは一体どういうことだ?」


 陛下の見せている紙は、俺が兄弟姉妹へ送ったものだ。なんの許可も無く、王位継承権を放棄するような約束は認められない、ということだろう。

 ……前の俺なら引き篭もっていたか逃げ出していた。少し成長した後は、声を出せずに怯えていた。

 そんなことを思い出し、笑みを浮かべながら立ち上がる。


「実は、王位を争うよりも大事なことがありまして……。そのために、援助をしてもらいたいのです」

「理由が正当なものであれば、国が援助を行おう」

「いえいえ、それではダメなのです。王位を狙っているのでは? などと勘違いをされ、足を引っ張られて勝てるような相手では無いのです」


 陛下以外には意味が分からないだろう。声にこそ出していないが、相手が誰か、どの国なのかと、顔に出ていた。

 今までの六番目の王族は、隠して生きて来たのかもしれない。だが、俺は違う。なんとしても勝利するために、打てる手は全て打たせてもらう。


「できれば穏便に勝利したいですが、相手も一柱というわけでもないようですし、最悪を想定する必要があります」


 ペラペラと話していることに焦れたのだろう。

 第二王女シュティーアは立ち上がり、強く言った。


「一体なにをしようと言うの! 具体的に述べなさい!」


 その質問に対し、薄く笑う。

 オリアス砦にいる者たちとも話し合い、最悪の場合はそうなるだろうと、覚悟は決めた。

 俺はゆっくりと、導き出した答えを述べた。


「――神殺し(・・・)


 これは俺が、国からは無能だと罵られたまま抗い続け、大切な仲間と、そして兄弟姉妹と力を合わせたり敵対し……神へと勝利する。

 そんな、歴史には刻まれなかった話である。


 おわり

最後まで読んでいただきありがとうございました。


web投稿の勘を取り戻そうと思い始めた作品でしたが、気づけば12万字くらい書いており、驚きが隠せません。でも、どうにか毎日更新ができて良かったです。


少し色々やることが溜まっているので、それが落ち着いたら新作投稿とかしたいなーと思います。

なるべく早く始めるよ、目標は来週中くらいに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 隠れて生きる事にしか興味が無かった王子が、ただ生きるだけじゃない 幸せに仲間と共に笑って生きる為に戦うのを決意する物語と思うと、 働きたくない王子が働く事を決意した時点で物語は終わりと言う…
[良い点] 面白かったです。 [一言] 神と戦う所も読みたかったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ