表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アレンと徳島とWNIの国のアリス  作者: 海豹ノファン
アレンと徳島とWNIの国のアリス
18/82

アリスとアレンとハートの女王様


「…せやからな、ここは何でやねんって突っ込むねん!」


「…はぁ…」


アリスは何故かアレンからお笑いの稽古を受けていた。


しかしいつまでも終わらないお笑い指導に痺れをきらしてしまう。


「もうっいい加減にしてください!!」


ついにアリスは怒りだす。


「私は勇者になりに来たんです!友達も私の為に戦ってるの!急がなくてはいけないの!!」


「か、堪忍な…」


アレンは突然アリスが怒りだしたのに戸惑い、謝る。


アリスは一息つき、自分自身もまだまだだと罪悪感を覚えた。


「私も言い過ぎました、でも世界の平和の為に貴方の力が必要なんです」


「…ほうやな、でもお嬢はん、そんな堅苦しいばっかりやあかんで?」


「え?」


「世界を救うにはお笑いも解せんとあかんのや、笑いがあるからこそ世界は捨てたもんやないと思えるんや」


確かにそうかも…アリスは微笑みながら思った。


「…まあ時間止まっとってもずっと時間食っとるわけにもいかんしな、急ごか!」


「はいっ!」


そしてアレンはある物質に姿を変えてアリスを包んだ。


アリスのいる世界は山々を望む事の出来る大空に変化。


アリスの青と白を基調にしたエプロンドレスが一気に脱がされ、一時何も着ていない状態となる。


するとアリスの頭には白い羽飾りの着いた青い兜が付属し、青と白とを基調にしたフリルのスカートのついたドレスアーマー、手に持つ鍵は剣へと姿を変える。


青い籠手こてや青い脚当てが手足に纏う。


アリスはまさに「不思議の国のアリス」がヴァルキリーになったかのような姿でこの地に降り立った。



「どんなもんや♪よう似合うとるでアリスはん」


「でもちょっと恥ずかしい…」


アレンは笑いながら褒めるがアリスは格好的にビジュアルにこだわったような姿に恥ずかしげに身につけているものを見ている。


勇者となったアリスはハートの女王と戦っている結愛達と合流しようとする。


その時何かが飛んできた。


「!!」


アリスは身の危険を感じ取り、それを避ける。


グサグサッ!


床に刺さったのは氷の塊。


「流石だな、目覚めた勇者アリス!」


響くのは女性のような声。

そして現れたのは片目を少し隠す程度の青髪のショートカット、男子制服のような服を着た中性的な感じの美少年だった。


「無駄な戦いはしたくない、ここをどかして!」


アリスは剣を突き出しながら少年に乞う。


「そう言うわけにはいかないな、「お母様」から足止めせよと言われているのでな…」


「貴方はハートの女王の!?」


「そう、[娘]だ!俺の名はレキ、氷の女王と言われた女!」


レキと名乗った少年、いや男装の麗人は氷の壁を作ってアリスの行く手を阻む。


「ここを通さないと言うのなら、私も本気で戦わざるを得ない!!」


アリスが剣を構え水色の闘気を勢いよく噴出させる。


「アイスソード!」


レキは氷の剣を空気中に発生させてそれを握る。


そして構えているアリスに突進。


そしてレキの剣は畝りを上げてアリスを喰らいつくように閃光を放つ。


キイン!


アリスは苦し紛れに剣で攻撃を防いだ。


「ふん、勇者というにはまだまだ威勢が足りないな」


レキは静かな声でアリスを罵る。


「ふざけないで!」


アリスはレキの剣を振り払う。


「これはどうかな?」


挿絵(By みてみん)


アイスソードは変幻自在な動きでアリスを嘲笑うかのように翻弄ほんろうする。


アリスは尻餅をついてしまう。


『アリス!しっかりせえや!!』


鎧のアレンが怒鳴る。


「くっ、剣での実戦がこんなに奥深いなんて…でも段々コツは掴めてきたわ…」


アリスはよろっと立ち上がり、妖しく笑いながら剣をレキに突き出す。


「ふんっ…!」


レキは微笑を浮かべる。


レキの剣が飛び交う。


アリスは初めは苦戦していたが剣のコツが掴めてきてレキの攻撃を受け止めたり、動きを見計らいレキに攻撃を与えると言う戦いぶりを見せるようになる。


アリスは家庭では剣の稽古もつけられていたのでそれなりに心得はあったが剣は本来あまり得意としなかった。


しかし勇者の力に目覚めたのか、剣へも順応出来るようになりレキとも渡り合えるまでに成長した。


流石にレキも苦しそうな表情になる。


「近接戦に慣れてきたか…!ならばこれはどうだ!」


レキはアリスから遠ざかるように後方にジャンプする。


「グラスシャドウ!!」


氷結弾がレキの周りに無数に作られた。


「!!!」


アリスは立ち止まる。


「俺の得意な異能は接近戦だけじゃないのだよ、喰らえ!!」



レキは無数の氷弾をアリスに浴びせる。


『アリス!鍵に盾のイメージを作るんや!』


「えっ!?」


『あんさんの持つ剣は盾にもなる!それであの氷結弾を防いでしまうんや!』


アリスの持つ鍵は剣や盾にもなる、本当に都合のいいアイテムだ。


「うん…わかった…!」


アリスはアレンの言う通り盾を思い浮かべる。

出来るだけ大きな盾で無いとあの無数の氷結弾は防ぐ事が出来ない。


アリスは盾の大きさ、サイズ、どのような成分の盾を作ろうかと必死に頭の中で映像を繰り広げていた。



『アホ!その前にやるリアクションがあるやろ!!』


その時にアレンの一喝が入る。


え?そんな事言われても…はっ!


アリスはアレンの教えていた一言を思い出した。

そしてアリスはその一言を大声で放つ。


「なんでやねーん!!」


アリスの痛烈な突っ込み、その途端アリスの持つ鍵の剣が光りだし、レキの放たれた氷結弾は溶かれてしまう。


「何っ!?」


アリスはその隙に剣を振りかぶり、レキめがけてジャンプ。


そしてアリスは詠唱をする。


「堕ちた戦士を蝕む心の殻よ、今ここに姿を現せ!!」


アリスの詠唱で現れたのはレキの心の殻という鍵穴。


レキは何らかの理由で殻にこもり、本来の自分を封じ込めてしまっていた。


今ここでレキの心の殻を解放する時!


アリスはレキの鍵穴を見定めると鍵でそれを突き刺し、ガチャリと回した。


バリンッ!!


その刹那、レキの体を覆っていた心の殻は破け、レキは本来のレキの姿に戻った。


レキの本来の姿はショートボブに揃えられた髪、切れ長の瞳の美女、高校生らしく、女子生徒の制服を羽織っていた。


男装している時も凛々しく、ハンサムだったのだが本来の姿もそれはもう、顔立ちの整い、色気の漂う美女だった。


『なっ、世界を守るんには笑いも必要や言うたやろ!』


アレンはガハハと笑う。


アリスは仰向けになっているレキを見る。


レキはよく見ると泣いているように見えた。

悔しそうだが、どこか気の晴れたような表情をしている。


「レキさん?」


アリスがレキの側に寄り添う。


「私はお母様が間違った事をしているのを何度も更生させようとした、でも私の力ではどうにもならず、逆に私がお母様の傀儡くぐつとならざるを得なくなった」


レキの泣く姿を見てこの子は本来はれっきとした、普通の女の子なんだとアリスは思った。


レキも女王のやり方に反発し、更生するよう奔走していた。



しかし女王はそんな愛娘のレキを気に入らなくなり、いつもより厳しい教育を課し、屈服させようとした。


レキは母親に従い、勉強や稽古に励む事で母親は更生してくれると信じ、必死にその日々を耐え忍んだ。


しかし母親はますますレキを疎むように実行不可能な課題まで出してレキを苦しめる。


更生どころか屈服されていく内にレキの心は内側から壊れていき、母親である女王の操り人形として政治を取り仕切るようになった。


罪人の首をねる事も強要され、次第にレキは本来の女性らしい優しさや心を失っていく。


そしてレキは母親の娘ではなく女王の手先となった。


だが今こうしてアリスの鍵で心の殻は破られ、レキは本来の一人の女性の姿に戻った。


「よく頑張りましたね、でも心配しないで…貴女のお母様は必ず更生させてみせるから」


アリスはレキにそう諭した後立ち上がり、レキに背を向け、女王の元に。


「アリスさんっ、私も…うっ!」


レキは立ち上がろうとするもうずくまりそうになる。


それを支えるアリス。


「大丈夫だよレキさん、ゆっくり休んでて…」


アリスはレキをベッドに寝かせる。


「何から何まで…すみません…」


感謝を述べるレキ。


彼女があの冷徹な目をした氷の女王とは今からすれば想像もつかない。


きっと今まで無理してきたのだろう。

でもこれからは女の子として日々を過ごせるようになる。


その為にアリスは鍵を握る。

ハートの女王を更生させるその日まで!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ