お楽しみ前
「さすがに寝不足で疲れた」
今日は金曜日、みんな大好き休みが明日から二日間ある。
体育の授業の後、クタクタで今にも閉じてしまいそうな瞼を必死に開けようと頑張っていた。
普段の時間割ならこれが今日最後の授業なのだが、冬休み前との事もあり、これから後一時限残っている。
「なあ純平、次の授業なんだっけ?」
「次?、次は確か現代社会の授業じゃなかったか?」
「よっしゃー、それなら寝れる」
「でも、確か今日に冬休みの宿題が出されるんじゃなかったか?それでその後は自習って前回の授業で言ってただろ」
「えっ、そんな事言ってたの?、完全に寝てたわ」
さすが勇気だと思う、これで学年でも成績上の方に居るんだから、この能力が一番主人公に向いてるじゃん。
「俺は主人公よりかは、主人公の親友キャラだよ」
「心まで読むのかよ!」
「お前と俺の付き合いだろ、それぐらい顔を見ればわかるよ。お前が真面目に葵の事を考え出した事もな」
「特殊能力?」
「ちげーよ!逆に今のお前を見てて分からないやつはいないぐらいに、葵ちゃんへの態度が変わってんだよ」
「例えば?」
自分では普通にしてたつもりだった。でも見ればわかると言われては、どこを見て分かったのか聞いてみたい。
「態度だな。純平、遊園地行った時覚えてるか?らあの時からお前は葵ちゃんのことが気になってるんだなって思ってたよ。だって何の理由もなく野郎二人で遊園地とか、気になる子が居なかったら逆にやばいなって思ってたからな」
そうだった、二人で葵が遊園地に行くからって尾行したのを思い出した。
「だから、その時から好きなんだなって」
勇気が無意識に発した【好き】この言葉に俺はドキッとしてしまった。
やっぱり俺は葵が好きなんだと実感させられた。
「でも、今のお前はその事から目を逸らそうとしてないか?中途半端な覚悟ならお互いが不幸になるだけだぞ。まず自分の気持ちとしっかりと向き合うべきだろうな。分かっているか純平?」
「言われるまでもない、俺は本気だ。ただ少し迷っていたのかもな。」
「迷うのは仕方ないさ主人公。主人公は最後には全員幸せにするハーレムルートがあるのさ。」
ハーレムか、俺には必要無いものだな。今の俺には葵がいれば満足だ。
「久しぶりに純平の真剣な顔を見た気がする」
「俺、そんな顔してたか?」
「ああ、真剣ないい顔してたぜ。まあ、頑張れよ」
ありがとう。言葉にはしなかったが心の中で感謝した、やっぱり心を読んでいるのか笑顔で親指を立ててきた。
こいつ、能力者だろ。
一日どっぷりと勉強した、学校で寝るのはあまり好きではない。
なんだか、お金を無駄使いしてしまった気がするからである。
そんな真面目な性格のおかげで、寝不足だろうが全力で授業を受けてしまう。
そして、その疲れが出ている放課後、俺は葵と一緒に帰っている。
「ねえ、純平くん何だか疲れ気味だね?」
「えっ、昨日から寝不足でな、さすがに週の最終日に寝不足はキツイ」
葵は優しそうに微笑み、何を考えてか頭を撫でてきた。
「よしよし、よく頑張りました」
いつもならすぐに拒み、ツッコミを入れてたのに、心地よい感触にすぐには拒めなかった。
「バカ、恥ずかしいからやめろ」
名残惜しいが、こんな所誰かに見られたらまずいので、葵の手をそっとどけた。
「え〜、私は恥ずかしくないよ?」
「お前はな」
まったく、少しはこっちの気も考えろっての。
明日は土曜日だし、俺も少し勇気を出してみるか。
二人で歩く帰り道。俺達の帰りはあまり喋らないが、それでも二人で帰ることに妙な安心感がある。
とても静かな帰り道、住宅街なので車もあまり来ない。
「なあ、葵」
「どうしたの?」
「明日、一緒に出かけないか?」
「いいよ、どこに行くの?」
「最近、近くにショッピングモールできただろ、そこに行かないか?」
「もちろんだよ。やった、純平くんとデートだ」
嬉しそうに、満面の笑みを浮かべる。
なんだか、こっちが恥ずかしくなる。
「あれ?いつもなら、デートじゃねえ!とかツッコミがくるのに、本当に純平くん大丈夫?」
「疲れてるだけだ、大丈夫だ問題ない」
疲れてはいたが、意識ははっきりとしていた。
デートの言葉には少し嬉しく、恥ずかしかった。
「じゃあ、明日10時頃に予備に行くからね。純平くん寝坊しちゃダメだよ」
「俺が寝坊なんて、」
そこまで言ってから思い出した。俺、けっこう寝坊する人間だった。
「するでしょ?しっかり起きておいてね」
「あいよ、任せとけ!」
「その自信はどこから来てるのよ」
葵とデートの約束をしてると、場所は自分の家の前まで来ていた。
明日が楽しみすぎる。顔には出さないが、緊張と期待がある。
そこから俺は、明日のためにネットサーフィンする事となった。
「お兄ちゃん、ずいぶんと熱心だね」
「おお、桃華。ちょっと調べ物があってな」
ネットサーフィンしていると、桃華がこちらの様子を見に来た。
「それに、お兄ちゃんニヤニヤしてる。葵さんとデート?」
「えっ、いやデートってか、ま、まあ出かけるだけだ」
「そうなんだ。でも葵さんが相手なら仕方ないか」
俺は、桃華の言葉の最後の方が聞き取れなかった。
「お兄ちゃん、男性がリードしてあげないといけないんだよ。最近は草食系とか言ってるけど、決断出来ない男子は嫌われるからね」
「デートじゃないし、そこまで張り切らなくても」
内心嬉しいのに、意識したらニヤニヤしてしまいそうなので、桃華にはそう言っておいたが、なぜここまで分かっているのか。
「それに、ちゃんとした服装じゃないと、葵さんに失礼だからね」
「わかってるって」
桃華はある意味、俺よりも大人かも知れないな。
心が成長するのは、女子の方が早いと聞いたことがあるが、ここまで早いとは。
「それじゃ、もうすぐ晩御飯出来るから、早めに切り上げて食べに来てね」
「はいよ、もうちょっと調べたらそっち行くわ」
それを伝えると、桃華は台所へ戻っていった。
デートか、ついニヤニヤしてしまう。
とりあえずご飯食べてから、また調べるか。
パソコンをシャットダウンして、俺は桃華の居る台所へ足を運び、ご飯の準備をした。
ご飯を食べ終わり、明日のために、今日は早めにベッドに入って眠ることにした。
皆さんこんにちは、よりもこの時間ならおはようございますですかね。
そして、夜見ていただいた方こんばんは。
まっさんです。
遠足や修学旅行の前日って、なぜ眠れないのか。
おかげで遠足の帰りは、基本バスで爆睡してました。
そして、現在2016/01/20に私の住んでいる町にも雪が。
そりゃ寒いわけだ。
しかし、寒さを吹き飛ばす純平と葵の恋!
そしてその行方は、って盛り上げておきますね。
さてモブ俺19話お楽しみ前をお楽しみください。