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ウサギ耳

わたくしの名前はラビットブルー12歳。

茶髪ロングの青い瞳の美少女ですわ。

世間からは天才音楽家と呼ばれております。

うさぎ大好きで、いつもうさぎ耳をつけて歩いてます。

大金持ちの家に生まれたわたくしは小さい頃から望むものはなんでも買ってもらえました。

わたくしは音楽好きなのでピアノやヴァイオリン、フルートなどあらゆる楽器を買ってもらって一流の音楽家に毎日コーチしてもらいました。

なのであらゆる楽器を弾けるし指揮者もできます。

わたくしは生まれつき異常に耳が良かったので些細な音を聞き分けることができました。

音が色で見えますの。良い音色は明るい色。悪い音は澱んだ色に見えます。

この特技を活かしてたまにポーカーやに興じることがあります。

心音で相手の手を予測できるので負け知らずですわ。

ブラフで緊張している時は黒い心音が聞こえます。

良いハンドの時は桜色の心音が聞こえます。

うさぎ耳は無敵ですわ。

今日はポーカーの世界大会のDAY7です。

予選を勝ち残ったファイナリスト8名と優勝賞金10億円を競ってます。

テレビ中継も入って大盛り上がりですね。

わたくしは勝負服として青いドレスを着て参りました。

青いファイナルテーブルに個性的な面々が並んでおります。

登場の時に特に盛り上がったのはわたくしと猫耳の少女ですわ。

わたくしと同じ年頃のかわいい猫耳少女は顔も猫っぽくてとても愛らしいですわ。

笑った時の口もとなんて猫そのものです。八重歯ものぞいてます。

名前は子猫香さん。名前にも猫が入ってるなんて猫に生まれ変わりに違いありません。

おうちにお持ち帰りしたいですわ。勝負が終わったらぜひお友だちになりましょう♩

わたくしは音楽家として世界的に成功しているのでお金には興味ありませんが、わたくしが優勝すると世間が盛り上がるので、大きな大会には参加するようにしてます。

トロフィーもいっぱい部屋の棚に並んでおります。

わたくしのライバルといえばホークさんだけです。

彼女は異常に目がいいので目に映ったカードの数字まで読み取ります。

なので対策としてカードを目の前に持ち上げて読まれないようにしないといけません。

知らない人が見ると素人の子供っぽい動作ですがちゃんとしたイカサマ対策です。

カードに爪で印を付けたりするので上から爪で引っ掻いて別のマークに変えたりもします。

目の力は対策さえすれば何も問題ありません。

わたくしはホークさんがあまりにも強すぎるので情報を集めて超人的な視力の持ち主だと推測しました。推測は当たっていたようで対策すれば怖くなくなりました。

ホークさんもわたくしの異常な聴力に気付いたのか爆音で心音を消すように対策しています。

なので彼女と勝負になったらイカサマなしの実力勝負になります。

お互いだれにも互いの能力は話していません。

2人だけの秘密ですわ。

何度目かの大会のあとでわたくしたちはおともだちになりました。

いつものように決勝は彼女と一騎討ちになるかと思いきや彼女はday2で敗退していました。

ホークさんは負けるなんてにわかには信じられません。

「油断して負けちまった。あしたは応援に行くよ」と、おっしゃっていました。

ホークさんの姿は観客席に姿が見えます。足を組んでニヤニヤしていますわ。

わたくしは軽く手を振って微笑みました。

試合が開始され、わたくしは対戦相手をガンガン飛ばしまくります。

ブラフが見抜けるのだから楽勝でした。

動揺の心音と期待の心音を聞き分けてコールとフォールドを繰り返すだけであっという間にどチップリです。

わたくしの眼前にはチップの城壁が出来上がりました。

最後の1人は子猫さんですわ。

子猫さんは勝負に参加せずにずっと逃げ回っていましたから、まあまあチップを保有してます。

順位で賞金が違うので少しでも賞金額を上げたいのでしょう。

登場の時にインタビューで家が貧乏だから優勝賞金を持って帰りたい、とおっしゃってましたわね。とってもいい子ですわ。だけどわたくし勝負に手を抜きませんの。

もう2位は決定なので満足して日本にお帰りなさい。

おそらくここまで勝ち残ったのはみなさまが手加減したのでしょう。

わざとフォールドしてあげたくなる気持ちはわかります。

心音を聞かなくてもコロコロと変わる表情の変化でハンドが読めますもの。

悪いカードを配られたのか子猫さんは曇った表情をします。

思わずクスッと笑ってしまいます。

こんなにポーカーフェイスのできない相手をはじめてみましたわ。

「人生オールインにゃー!」

子猫さんはチップのすべてを前に出します。

わたくしの3分の一ぐらいのチップ量ですね。

いちおう心音を確認してみますか。

黒い音が聞こえてきます。

「コールですわ」

わたくしは勝ちを確信して微笑みました。

フラッシュを披露します。

わたくしのハンドを見た子猫さんは会心の笑みを浮かべました。

「ストレートフラッシュにゃん♩」

「!?」

子猫さんのハンドは紛れもなくストレートフラッシュです。

「そんなはずありませんわ!」

わたくしは立ち上がって叫びました。

観客は大きな歓声をあげています。

実況席も大盛り上がりでしょう。

たしかに心音はブラフを示していました。

どういうことでしょうか?

深呼吸して席に座ります。次のハンドが配られます。

冷静になる時間が欲しいのでタイムバンクカードを使って考える時間を確保します。

タイムバンクカードは2枚配られ1枚で60秒考える猶予が与えられます。

わたくしはピストルの形の手をあごにそえます。

わたくしが音を聞き間違えるはずありませんわ。

違和感があるとしたらいつもより相手の心音が大きかったことでしょうか。

よっぽど緊張しているのかと思いきや、もしかしてあれは音をかぶせていたからでは?

子猫さんは恐怖している時の心音と高揚している時の心音をスマホに録音していた。

ピッタリと小さな胸にスマホをくっつけて。

さっきの勝負で神ハンドなのに困った顔をして桜色の心音の上に黒色に心音を大音量でかぶせた。

子猫さんのスマホはおそらくポケットのなかですわね。

間違い無いでしょう。

事前にわたくしのことを調べて強さの秘密が異常な聴力の持ち主ではないか?とあたりをつけて対策を講じてきた。

わたくしを欺くなんて可愛い顔してなかなかやるではありませんか。

子猫さんを見つめて微笑むと微笑み返してきました。

聴力は封じられましたが勝負はこれからですわ。

次のゲームがはじまります。

イカサマなしで打つのは久しぶりすぎてどう打つのか思い出すのに時間がかかります。

期待値やバリューの計算、テル(くせ)読みがポーカーの醍醐味でしたわね。

まともにプレイすると脳が疲労します。

ゲームは続き、わたくしは連敗してチップがどんどん減って持ち点が逆転されてしまいました。

「やったにゃん。また勝ったにゃん♩」

ご機嫌な子猫さんは大量のチップを抱きかかえます。

わたくしは眉間にシワを寄せます。

なにかおかしいですわ。

わたくしは最後のタイムバンクカードを使います。

子猫さんは風船ガムをふくらませて遊び始めます。余裕ですわね。

わたくしは手を組んで考えをまとめます。

まるでカードの在処がすべてわかっているみたいなプレイの連続ですわ。

特にエースと10〜13までは把握しているような感じです。

ホークさんみたいですわね。けど、印もないしカードを確認する時のわたくしの目をガン見している様子もない。どういうことでしょう?

わたくしは観客席のホークさんを見やります。彼女はおはしで何か食べてました。

育ち盛りだからお腹が空いてるのでしょう。

ふと子猫さんを見やると口と目を見開いて宙を見つめています。

猫にフレーメン反応みたいですわね。なんでこんな時にびっくりした顔してますの?

面白い子ですわ。

わたくしはハッとします。ホークのおはしには糸が引いてました。白いパックも見えたので食べていたのは納豆でしょう。

子猫さんは納豆の匂いにフレーメン反応を示したのではありませんか?

わたくしは手元のカードを拾ってくんくん匂います。

エースはイチゴの匂い。キングはぶどうに匂いがします。

子猫さんの手元にはグミが入ったお菓子袋があります。

なるほどそういうことですか。

子猫さんは異常な嗅覚の持ち主で香りで強いカードにマーキングしていたようですね。

わたくしはディーラーの金髪美人さんに声をかけます。

「カードがぬちょっとしてますわ。カードを新しいものに変えてあの子のお菓子を取り上げてください。指も拭くべきですわ」

「オーケー」

ディーラーさんは子猫さんに近づきお菓子袋を取り上げました。

指もおしぼりで丁寧に拭き取ります。

「にゃ〜ん」

子猫さんは悲しそうな鳴き声をあげました。

これで鼻は封じました。いや、まだですわ。

わたくしはポケットから薔薇の香水を取り出して全身に振りかけました。

緊張している時の汗の匂いと興奮している時の汗の匂いはちがうかもしれません。

いい汗の匂いと悪い匂いでブラフと神ハンドを見極めているのかもしれませんわ。

「にゃにゃにゃ」

子猫さんはあからさまに嫌な顔をします。

やはり汗の匂いも判断材料にしていたようですね。

わたくしの色調と同じですわね。

さあ、お互いイカサマは使えませんわ。

せいせい堂々、プレイいたしましょう。

ゲームを再開すると互角の勝負に持ち込めました。

マーキングも汗の匂いも嗅げなくなれば平凡なプレイヤーですわ。

わたくしもですけど。

わたくしと子猫さんのチップはほぼ同じになりました。

「これで終わりにゃん!」

ターンの段階で子猫さんがチップに城壁をドーン!と前に押し出します。

オールインを仕掛けてきましたね。

カウントを要求します。ディーラーがチップを数えると子猫さんがわたくしのスタックをわずかにカバーしてます。

いいでしょう。

「受けて立ちますわ。コール」

場に出ているにはエース(1)・2・8・11ですからわたくしはエーシーズですからエースのスリーカードですわ。子猫さんのハンドは2のスリーカードです。

いまのところわたくしの勝ちですわね。

勝率は99・9%。子猫さんは2でしか逆転できないし残り1枚のカードが2である可能性はほぼゼロ。

このゲームに負けたら子猫さんの残りチップは1枚。

強制オールインですから押し潰せます。

リバーで最後の1枚が開かれます。

開かれたのは・・・

《2》

子猫さんのフォーカードが完成しました。

「奇跡にゃん♩」

子猫さんは立ち上がってバンザイします。

万雷に拍手が巻き起こりました。

わたくしは衝撃で立ち上がりません。2のカードを凝視します。

そんなはずありませんわ。

天文学的な確率をこの土壇場で引き当てるなんてイカサマですわ!

わたくしは2のカードを拾い上げて鼻につけます。

かすかにバナナに匂いがします。

そんな!?

お菓子は没収しました。

手元も監視しています。

どうやって匂いをつけましたの?

わたくしは首をひねります。

頭を回転させていると閃きました。

もしかしたらあれかもしれませんわ。

わたくしは立ち上がり大会関係者に取り囲まれて祝福を受けている子猫さんに近づきました。

「おめでとうですわ」

「ありがとにゃん♩」

笑顔の子猫さんに抱きつきキスします。舌を入れるディープキスですわ。

子猫さんは目を見開いてます。

観客もカメラマンも頬を赤くして見つめています。

やはりコレでしたね。わたくしは唇を離します。

「なにするにゃん!大事なファースキスにゃん!」

「わたくしもですわ。ファーストキスはバナナの味でした」

ペロっと唇を舐めます。

「と、特別に許してあげるにゃん」

「ごちそうさまですわ」

わたくしは微笑んでお礼を言います。

子猫さんは勝負中、風船ガムを噛んでました。

あのガムはぜったいバナナ味ですわ。

グミと汗を封じられたあと2のカードにバナナ風味を吹きかけてマーキングしていたのでしょう。

マーキングした後はガムは飲み込んで証拠隠滅ですね。

たいした玉ですわ。

なぜ2にマーキングしたのか?

ネコの「にゃ〜」という鳴き声とリンクさせたのでしょうね。

最弱のカードの2はすぐに捨てるのでマーキングしてもバレる可能性も低い。

物事を深く考えない気ままな猫ちゃんのふりをして、かなり深く思考を巡らせる森の賢者フクロウさんでしたわね。楽しい勝負でしたわ。

子猫さんがトロフィーを掲げて喜んでいます。

みんなと同じようにわたくしも拍手を送りました。

その後、わたくしは子猫さんと連絡先を交換してお友達になりました。

子猫さんは10億円を元手にカレー屋さんと香水屋さんを開いて大成功して億万長者になりました。

彼女の鼻があればどんな秘密のレシピも丸裸なので当然ですね。

わたくしたちはポーカーを続けています。

同卓した場合はイカサマは無しで勝負しています。

優勝賞金はすべて寄付に回しています。

お金には困ってるいませんからね。

ホークさんと一緒に子猫さんのお城のようなおうちに遊びに行くとラーメンを出されました。

「今度、ラーメン屋さんも開くにゃん♩これ試作品にゃん」

食べてみると目が飛び出るくらい美味しですわ。

「名店の味に少しオリジナリティも加えたにゃん。最近、スパイスや香辛料の勉強してるにゃん」

「すごいですわ。向上心のある人は好きです」

「さすがだぜ。おめえは天才だ」

「どーもどーもにゃん♩」

子猫さんは照れながら微笑みます。

ラーメンのあとはデザートにガラスのお皿に入ったアイスを食べる。

「この前の大会、神コール連発してたな。どうやったんだい?」

ホークさんは子猫さんにたずねます。

神コール(ヒーローコール)は、低い手札ハイカードやワンペアなどで、相手の大きなベットやブラフを読み切り、確信を持ってコールして勝利する伝説的なプレイです。

確率的根拠や相手の癖、表情からブラフを見抜く高度な技術が必要ですわ。

香りのマーキングで相手が強いカードを持ってないとわかっていても自分のハンドも弱ければ勝っているか確信できず勝負できないはずですわ。

「簡単なことにゃ。全部のカードにマーキングしたにゃ」

「グミの味の種類が足りなくないか?」

「13種類必要ですわ」

「オリジナルグミを作ったにゃん。とんこつラーメン味やお好み焼き味もあるにゃん」

子猫さんは珍味グミというパッケージのグミを掲げて見せます。

「うまそうだな。お好み焼き味くれよ」

「わたくしもたこ焼き味が欲しいですわ」

「いーよ」

子猫さんはグミを取り出してくれます。

たこ焼きの色味と風味のグミを口に入れます。たこ焼き味はとても美味でした。

本物のたこ焼きを食べてるみたいですわ。

その後、わたくしたちは死ぬまでなかよくお友だちを続けました。

ちゃんちゃん♩ですわ♩



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