道化師の女
《レベルが5へ上がりました》
モンスターが倒れたと同時に、そうアナウンスが鳴り響く。
レベルが上がっていくごとに、レベルがどんどん上がりにくくなる。必要経験値が増えているんだろう。こういったゲームはやったことがないから新鮮な気持ちだ。
「効率が悪い……」
やはり武器とか買ったほうがいいのだろうか?
一度始まりの町へ戻る。レベルを10まで上げるつもりではいたのだが、与えるダメージ効率が悪い。武器も持たず素手だから当然なんだけど……。
始まりの町を歩いていると。
「さァ! 皆さん寄ってらっしゃい見てらっしゃい。ショーがはっじまーるよぉー」
ピエロが大玉に乗りジャグリングしていた。
あれもプレイヤーらしく、頭上にプレイヤーネームが表示されている。ああいうピエロの恰好をしているプレイヤーがいるんだ。
ピエロ……ピエロといえば殺人鬼とか戦闘狂とかそういったイメージのほうが強いな。味方にいてもちょっと面白そうだ……。
「とおっ!」
大玉から飛び降りたかと思うと、私の目の前に降り立った。
「そこの道行くお嬢さん、お暇ですか!」
「え、あ、はい?」
「実は私仲間を募ってまして! どうです? 私の曲芸に魅入ったのなら仲間に入りませんか?」
「これ勧誘だったんですか?」
「どこからどう見たって勧誘でしょー」
「どこからどう見ても勧誘には見えませんが?」
なんだこのピエロ少女……。
赤っ鼻を外し、私の手を握りしめてくる。
「私、ギルド”えきべんサーカス”って作ったんです! 所属人数は0! どうです? 今なら副座長の座が空いてますよ?」
「……ギルドってなんですか?」
「あ、そこから? 説明してあげましょー! ギルドっていうのはね、プレイヤーのチームみたいなものなんだよ。ギルドを作ると依頼もギルドに入って誰かが達成したらクリア扱いになるし、ギルドに入ると欲しい武器とか欲しい素材の交換も自由! どーお?」
イマイチうまく説明してくれないなこの人……。
まぁいい。なんとなくは分かった。要するにギルドというのはプレイヤー同士の組合みたいなものなのだろう。
そのギルドメンバーではあらゆるものを無料で取引できたりするようだ。
「まぁ……いいですよ」
「いよっし! やっぱ初心者は適当に決めるからやりやすいぜ!」
「そういうのでしたら入るの辞めます」
「ああ、嘘嘘嘘! いらっしゃい、えきべんサーカスへ。副座長のアクタさん」
「あ、やっぱり私が副座長なんですね」
シュカと書かれたプレイヤーが笑う。
「じゃ、メンバーも二人になったことだし、ギルド登録しよー!」
「え、登録してないんですか?」
「ギルド申請はメンバー二人以上いないと無理だし」
「じゃあまだ実質建ててないようなものですよね? ギルド建てるためのメンバーが欲しかっただけですか」
「ちゃんとメンバーも欲しかったから! こんな美少女と遊べるなんて滅多にないよ!? それだけでお得!」
「ピエロメイクで美少女がどうか怪しくないですか?」
「ちゃんとリアルの私は美少女だから! ちゃんとかわいいから!」
「自己肯定感高い……」
「ま、初心者なら先輩のプレイヤーが助けてあげるよ! 今日から一緒に遊ぼーね、アクタさん!」
「まぁ……いろいろよろしくお願いします」
私たち二人は握手を交わしたのだった。




