物語1 婚約披露パーティにて。
悪役令嬢→気高き令嬢と私は呼ぶ
私が読んだ事がある物語に入り込むようだと気付いたのは3回目に異世界転生転移した時だ。
ちょっと変わっているのが、私の意識が気高き令嬢の幼少期に覚醒して物語のフラグをへし折ってストーリーの改変をしてハッピーエンドになったのが1回目。
2回目はなんらかの事故で亡くなった令嬢の魂と入れ替わる憑依転生をした。
そして3回目の今回は生まれた時から意識と記憶があった。
異世界転移、転生の法則がわからないけど夢とか妄想じゃないのは確か。
私はその世界で生きている。
誰かをいじめることもなく、貶めることもなくただ真面目に真っ当に生きてみた。
なのに。
「レティーシア!貴様との婚約は破棄させてもらう!」
王と王妃が不在の婚約披露パーティにて。
今、怒鳴り散らかしたのは私の婚約者のこの国の第1王子レイモンド。
レイモンド王子の隣にはピッタリと寄り添うように立っている男爵令嬢のマリーナ。
「そして、このマリーナ男爵令嬢と婚約を結ぶことにする!」
バッと大袈裟に腕を振り払い周囲にいる上級貴族や中級貴族を見渡しながら宣言した。
王子の側近たちは笑顔で祝福している。
マジか。
この国の未来はないな。
「・・・恐れながらレイモンド王子」
「異論は認めんぞレティーシア!貴様はあろうことかマリーナに嫌がらせをしていたという「恐れながら!」
もういい加減鬱陶しいので王子の言葉を遮った。
周りの貴族がざわつく。
それはそうだろう。
王族の言葉を遮ったのだ。
「貴様!不敬であるぞ!」
「王と王妃の承認は得ておられるのですか?個人間で済ませる話ではございませんよ」
話が進まないので無視して進める。
「そんなものは後から得れば良い」
「左様でございますか。では、此度の婚約破棄のお申し出はお受けいたします」
「な、なんだと?やけにあっさりしているではないか」
「そうでしょうか?元々政略結婚だったのと王家からの申し出を受けた婚約でしたので
わたくしに否やはございませんの」
バサ!!っと扇を広げて口元を隠して言う。
口角が上がっちゃうの見られそうだから隠さないとね。
物語を進めていて感じたことは、超書記の転生ものは内容がシンプルだ。
1回目、2日目と少しずつ内容に捻りが出てきたけどまだまだ。
謀略、策略が渦巻くような話はまだまだ先になりそうだ。
初期の転生ものだとこの話は婚約破棄の宣言をされて男爵令嬢と婚約すると言われた後、私の悪行の羅列が始まるのである。
この時はまだ無実なのに証拠を捏造されると言うことはまだない。
悪行が全て暴露された後、騎士などに床に押さえつけられたり腕を引いて牢に入れられたりする。
今回の嫌がらせどうのと言うのは社交マナーがなってない点を指摘したことだろう。
婚約者のいる殿方にみだりにベタベタと触れないとか、階級が下のものは上のものから
話しかけられないと言葉を発してはならないとか。
もちろん友人関係とか交流がありお互い認めていたら普通に話しても良い。
「それでは御前、失礼致しますわ」
最上級のカーテシーを披露して私はパーティ会場を後にする。
誰も引き留めたり話しかけたりはしない。
今後の状況を見極めて誰につくか計算しているのだろう。
会場の出入り口を護衛してる騎士に扉を開けさせ、そこから優雅に立ち去った。
ギイィイイイ・・・バタン
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例の婚約破棄パーティの顛末。
貴族新聞や下町の新聞にも号外で取り上げられた第一王子と公爵令嬢の婚約破棄騒動。
もはや王や王妃だけでは収拾をつけられない。
「・・・やはり簡単にはいかないな」
王と王妃の連名で届いた手紙を読み終えてデスクに置く。
内容は言わなくても分かると思うけど・・・
王子の独断で傷つけたことは申し訳ないとか婚約破棄は認めないから無効だとか。
無効だと困るんですけど。
「さて、どうしたものか・・・」
思案していると部屋のドアをノックされる。
「お嬢様、よろしいですか?」
「入って良くてよ」
令嬢モードに切り替える。
失礼します、と言いながらドアが開き執事が入室してくる。
「お嬢様、ご来客なのですが・・・」
「約束はなかったわよね?」
「はい。昨日の今日で落ち着かないとは思うのですが」
「落ち着けない相手が来たと言うことね」
「その通りです」
「第二王子かしら?」
「いえ、それが第一王女様なのです」
第一王女はレイモンドの妹だ。
第二王子は王女の弟である。
まだ幼い。
「王女様が?」
ちょっと意外で目を見開いた。
「すぐに支度をするわ」
「承知いたしました」
一体王女がなんの用だろう。
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「お待たせ致しました」
私は大急ぎで王族と対面できる服に着替え髪もセットした。
小走りでここまでやってきたとは悟らせない。
息も切れそうなものだが重いドレスを毎日着て鍛えられている。
「先ぶれもなく突然お邪魔してごめんなさい」
ソファから立ち上がった王女が謝罪の言葉を口にする。
「とんでもございません!何か火急のご用事でも?」
王女を座るように案内し、私も向かいに座る。
侍女が王女のお茶を淹れ直し、私のお茶も淹れる。
喉が渇いたので一口飲む。
コクリ、と音がした。
「この度は兄が大変なことをして申し訳ないと思います」
お茶を飲み下した時に出てしまった音は気にしないと言う風に王女が話し出す。
「いえ、ある意味幸いでした。望まぬ婚約でしたので。あ、不敬ですか?」
音を立てないようにカップをテーブルに置いた。
「ふふっ、レティーシア様はそのような性格のお方だったのですね」
「猫を被る必要は無くなったので。ご不快でしたら被ります」
「いえ、そのままで結構です。ではわたくしも・・・」
次の言葉を発する前に王女はお茶を一口飲んだ。
「第一王子を廃嫡にし、わたくしが立太子し、女王となります」
決意に満ちた目で私を見つめ、王女は言い切った。
え、でもなんで私?
一回の公爵令嬢なんですけど。
「あなたにそれを手伝ってもらいたいの。実は兄はこの後あなたを貶めて良くて国外追放、悪くて・・・」
なぜかそこで言葉を切る王女。
無駄に緊張感が増す。
「悪くて、なんでしょう?」
「悪くて、死刑だそうよ」
「はぁああ!?」
私がいったい何をしたと言うのか。
何もしていない。
何もしていないから?
ザマァ展開終わったんじゃないのぉ?
まだなんかやるの?
私になんか構わず好きにしたらいいのに。
「レティーシアさまは今後どうされるのですか?いえ、どうしたいですか?」
決意に満ちた強い目で見据えられる。
そんなの決まってる。
「王子、ぶっ潰しましょう」
拳に力が入る。
次の展開思いつかないよぉっw




