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運命の出会い

 冒険者ギルドに登録してから二ヶ月程経っていた。レナは宿を借り、ランクに合ったクエストを毎日こなし、それプラス魔物を倒しに出ていた。お金もだいぶ貯まった。驚いた事に日本のお金と一緒だった。お金のデザインが洋風になっただけで何も変わらなかった。文字もそうだ。日本語と変わらないから困ることもなかった。ギルドに登録する際は、水晶玉みたいな物に手をかざして、個々が持つ波動みたいなものを登録した。職業だけ聞かれたので魔法使いと答えた。能力などの測定はなく、回復魔法が使えるか使えないかだけ確認された。緊急の際に協力を要請する為だという。レナはもちろん使えると答えた。冒険者ランクの仕組みや、魔物討伐の報酬基準なども教えてもらえた。下記の通りだ。



 冒険者のランク下から   魔物討伐で得る魔石の色


黄色           黄色   500円   

     (1発殴れば倒せる程度)


オレンジ         オレンジ 1000円   

     (5発殴れば倒せる程度)


赤            赤    1500円  

     (剣で刺せば倒せる程度)


紫            紫    3000円  

     (剣で2・3回刺せば倒せる程度)


緑            緑    5000円  

     (剣で5回程刺せば倒せる程度)


青            青    8000円  

     (ここからはパーティーを組む事必須。)


白            白    15000円   

     (剣と魔法、回復魔法が必要)


銀            銀    50000円   

     (ここからは回復魔法2人が必要)


金            金    100000円 

     (パーティーを組んでも死亡率上がる)


金銀           金銀   1000000円

     (とても危険死亡覚悟)



 だいたいこんな感じだった。冒険者は色でランク分けされていたが、ランクの色では強者か弱者か判断できない。何故なら、魔石はギルドに売る事と決まっていて、ギルドに売った魔石の数をカードに記してもらう事になっている。ある程度の数達成しないとランクが上がらない。例外もあるようだが、結構な功績が必要らしい。だからといって、自分のランクより強い敵を倒してはいけない訳ではないが、魔石の数は更新されない。赤のランクの人が、緑のランクの魔石を持って行っても、買い取りはされるが、数はカウントされない。ランク差別と、自分の力量も分からず強い魔物に手を出して、無駄死にさせない為の仕組みのようだ。レナはこのニヶ月でランク青まで上げていた。魔物の巣を探し出し、一人で突っ込んで行ってたのだ。レナにとっては朝飯前。そんな事を毎日繰り返していた。今日も魔物を探しに近くの森を訪れていた。


お金も貯まったし、ランクも青まで上がったし、そろそろ街を出ようかしら?常に一人で行動していたし、ランク上がるのも早かったみたいだから、なんだか怪しまれてるのよね・・・ まぁ、近寄ってくるなオーラ全開にしてたから、執拗に踏み込んでこなかったけど・・・


 レナが何故急いでランク青まで上げたかというと、魔石一個の報酬金額と、小さい頃から青色が好きだった為、無意識に青色までは・・・となったのだ。


そういえば・・・この街と周辺の森には、本当に人間と魔物しか見なかったなぁ。他の種族は本当にいるのかしら?早く会ってみたいなぁ。


 そんな事をブツブツ呟きながら川沿いを歩いていると、血だらけの男性が倒れていた。腰から下は水に浸かっていた。


「えっ・・・」


ど、どうしよう・・・


 こちらの世界に来てからも単独行動を徹底し、人と会わないよう気を付けていたので、人間のこんな姿を見たのは初めてだった。もちろん前世でもありえなかったので、頭の中が真っ白になった。後退りし座り込んだ。


い、現在(いま)の私は回復魔法が使えるはず。


 下半身に力が入らなくなっていたので、這うようにして彼の所までいき、彼を川から引き上げようとしたが力がたりなくて無理だった。数回試したところで魔法の存在を思いだした。


あっ、魔法・・・


 レナは魔法を使って川から彼を引き上げた。頭からたくさん血を流している上に、腰辺りを刺されているようだ。


「大丈夫ですか?」


急がなきゃ・・・


 手をかざし回復を願った。するとあっという間に傷はふさがり綺麗に治った。血だらけだった顔も、汚れていた服も綺麗にした。顔の血がとれると綺麗な顔をしている男性であることに気づいた。

 

おっと、見惚れてる場合じゃない。目が覚めて大丈夫そうなら、すぐに退散しよう。


 レナはフードを深く被り、目覚めるのを待った。


 しばらく待っていると、彼はゆっくり起き上がり周りを見渡し、不思議そうな顔をした。


「ここはいったいどこだ・・・」

「あなた、ここで血だらけになって倒れていたの。頭と腰を怪我していて・・・」

「助けてくれたのか?ありがとう。」

「大丈夫そうならこれで失礼します。」

「うん、大丈夫。本当にありがとう。えっと、名前教えてくれないかな。」

「レナです。」

「レナか。かわいい名前だね。」

「あなたの名前は?」

「俺は、えっと・・・。えっ、誰だろう・・・わからない。」


 彼は頭を怪我したせいか、全ての記憶を無くしているようだった。でもそれはおかしい話だ。回復魔法で治したはずなのに、何故記憶だけは戻らないのか・・・。レナは記憶が戻るよう再び魔法を使ったが、記憶が戻った様子はなかった。不思議な事に彼には効かなかった。


どうしよう・・・とりあえず街まで一緒に戻った方がいいかしら?あまり関わりたくないのだけど、何かあっても困るしね・・・


「あのう、とりあえず一緒に街に行きませんか?私宿借りてるので、少し休んだ方がいいですよ。」

「ありがとう。そうさせてもらうよ。」


 レナは彼と街に戻る事にした。何か不都合があったら彼の中の自分の記憶を消してしまえばいいと無意識に思った。


記憶喪失の彼に、更に記憶を消すという行為は何と残酷なんだろう。いざとなったらそれを実行しようと思った自分は鬼ではないか・・・。それに記憶を戻せなかったのに、記憶を消す事は可能なのだろか・・・。あぁ、この世界に来ても私は変わらないのね・・・。自分の心を守る事ばかり考えてしまう。優先させてしまう・・・。

 


◇◇◇◇◇


 宿屋に付くと、レナの隣の部屋に彼の部屋を借りた。


「今日はゆっくり休んでね。明日お話ししましょう。」

「何から何までありがとう。」

「うん、では明日。」


 レナも自分の部屋に戻り、シャワーを浴びた後ベットに入った。天井をじっと見つめながら、これからどうしようかと考えを巡らせていたが、知らぬ間に深い眠りについていた。


 次の日の昼近く、レナは彼の部屋に向かった。ドアをノックし、


「私だけど入っていいかしら?」

「はい、どうぞ。」

「昨夜はちゃんと眠れた?」

「あまり・・・」

「これからどうする?」

「自分が誰なのか、何をしていたのか全くわからなくて・・・。」

 

 彼はずっと俯いていた。とても不安そうで壊れてしまいそうに見えた。


もし自分が彼の立場だったら、不安で不安でたまらなくて、怖くて泣き叫びたくなる。ここで彼を見放したら・・・。自分の事だ、ずっと気になってそのことばかり考えてしまう。あぁ言えばよかったとか、あぁすればよかったとか・・・。ずっとずっと考え後悔する。そういう事がすごく疲れる。だから人と関わらないように、トラブルに巻き込まれないようにしてきたけど、これじゃ前世と一緒。逃げていることになる。こんな私じゃ何の役にもたたないかもしれない。間違えるかもしれない。でも勇気を出してみよか・・・。正直助けられるなら助けたいもの。


「あのさ、良かったらなんだけど・・・私と一緒に旅でもする?いろんな所に行ったら何か思い出すかもしれないし・・・。」


 レナはドキドキしながら彼の返事を待った。


「それは、本当にいいの?迷惑じゃない?」

「うん。あなたが嫌でなければ。」

「嬉しいよ、ありがとう!なんだか一緒にいるとほっとするんだ。」

「あはは、えっと、なんて呼べばいいかしら?」

「好きに呼んでよ!」

「好きにって言われても困るな・・・。」


 彼は目をキラキラさせながらレナの方を見ていた。さっきまで俯いていたのが噓のようだ。


うっ・・・期待されてる。


 レナは彼の方をじっと見た。彼の髪の色と、瞳の色を見てこれしかない!っと思った。


「あなたの髪の色と瞳の色、宝石のラピスラズリみたいで本当に綺麗だよ。瞳なんて、ラピスをそのまま嵌め込んだみたい。見ていると吸い込まれてしまいそう。見惚れてしまう程綺麗だよ。だから、そうね・・・本当の名前を思い出すまで『ラピ』って呼んでいいかしら?」


 彼はレナの話しを聞いて顔を真っ赤にしていた。


「うん!ラピスラズリの『ラピ』か・・・。すごく嬉しいよ、ありがとうレナ。」


 レナは嬉しそうに笑っているラピの顔を見て、頬を赤くし少し俯いた。


こんなに喜んでくれると思わなかった。嬉しいなぁ。


 レナはふと前世の記憶を思い出した。仕事帰りのバスの中はとても混んでいたが、乗車扉の目の前の座席に座る事ができた。そこへ老人の男性が乗ってきたのだ。いつも、譲りたくても声に出す事すらできないでいたが、その時は何故か「良かったらどうぞ。」と声にする事ができたのだ。他の人には簡単な事なのかもしれないけれど、レナにとっては凄く勇気のいる事だった。その老人の男性はバスを降りる際に、お礼にとカセットテープをくれた。レナには必要ない物だったけど、そのカセットテープは何よりもあたたかく価値があるモノだった。














 






 


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