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十六話目、理由と意味と意義

 今、疑問に思う事がある。

それは俺がこの世界で生きていくのに必要な事、

というよりは俺が殺されない為に知らなきゃいけない事だ。

 「何で俺…この国の王子に殺されかけたんだろうか…」

 不審人物だって事は理解している、だって何処から来たのかはっきり言ってないし。

ただ、その理由を加味したとしても、毒を盛られる理由になるだろうか?

 「…考えても無駄かな…」

 自室の窓辺で頬杖をつきながら、答えの出せない難題と向き合うのをやめる。

もうすぐエレナさん達が来る二時頃になるからな。

それに、アルバート王子に会う事はもう無いから、直接会って話を聞く事も出来無いし。

 「せめて…俺の話を聞いてくれたらな…」

 命を狙うのをやめて欲しいって言えたら…いや…とぼけられて終わりだろうな…

結局は、会えたとしても理由なんて聞けるわけがなさそうだった。

 「次は何が来るやら…」

 コン、コン。

 「クシマ様、セルリアですが入ってもよろしいですか?」

「ああ、はい。どうぞ…」

 ガチャ。

 「失礼するわね。ってあら?窓辺に立ってどうしたの?珍しいものでもあるのかしら?」

 返事をしてすぐに、エレナさんが扉を開けて部屋に入ってきた。

…扉を叩いてたのはセルリアさんだよね?わざわざ割り込んで扉を開けたのか?

 「…いえ、ただ外の日差しが気持ちいいなと思っただけです」

「そう…特に何も無かったのね…」

「そんなにがっかりされる事ですか…?」

 部屋に閉じこもっていたら、珍しい事なんてそうそう起きないと思うんだけど…

そう思ったが、ただ外を見ていただけで落胆されるなんて中々無いなとも思う。

 「お茶の準備が出来ました」

「そう、じゃあ座って話をしましょうか」

 俺とエレナさんが話している間に、紅茶と茶菓子の準備をセルリアさんは済ませていた。

…相変わらず早いな…

 「それじゃあ今日は、何の話をしましょうか?」

 エレナさんは椅子に座ると、いつものように今日する話の内容をどうするか聞いてきた。

何の話をするって言われても…昨日も今日も特に話すような事は…ってそうだ。

 「昨日アルバート王子と話し合いをしに行ったんですよね?

どうなったのか、聞きたいんですけど…」

 丁度アルバート王子の事を考えていたので、気になって聞いてみた。

…だが、エレナさんの表情を見て、振るべきじゃない話題だったと気付いた。

 「…どうして、その話を聞きたいのかしら…?」

 表面上は穏やかな顔をしているが、苛立ちが隠しきれないのか眉がぴくぴくと動いている。

…アルバート王子の話をしたらいけないの、忘れてた…

 「いっいえ、ただその…仲が悪いようなので、話し合いがちゃんと出来たのかなと…」

「心配しなくても、ちゃんと釘は差しておいたわ」

「………」

 話している内に怒りを隠す気が無くなったのか、不機嫌な様子でそう言った。

その言葉を信じないわけじゃないが、

具体的な事を何一つ言っていないのでセルリアさんの方を見た。

 「…少なくともあれは話し合いではなく、言い争いにしか見えませんでした…」

「エレナさん…本当に釘は差せてたんですか…?」

「ちゃっ!ちゃんと言ったわよ!もう此処には来ないでって!」

 それ…多分聞いてもらえないと思いますよ…?

結局は話し合いでは済まずに、口喧嘩にになったらしい。

 「…もっ、もうこの話はいいです…聞きたい事は十分に聞けたので…」

「そう?なら別の話をしましょう」

 嫌な話が終わって上機嫌になったエレナさんに、

ここまで嫌う理由は何なんだろうかと思ってしまう。

そこに触れたら…また空気悪くなるんだろうな…

 「ですが…殿下にクシマ様の事を知られたのは、あまり良くない事、だったかもしれません…」

「…そうですね…もしも今後、

アルバート王子と同じように私の事を知られたら、まずいですよね…」

 もう出せる話題が無いからか、それとももう少し危機感を持ってもらいたいからなのか、

セルリアさんが話を振ってきた。

多分、毒を盛られた事を言えないから、

俺に対してもっと気を付けて行動してほしいと言いたいんだろう。

 「心配しなくても、王宮の警備は脆くないから大丈夫よ。」

「そうでしょうけど、此処を通る人に万が一見付かったら…」

「通る人なんて居ないわよ。此処は王宮でも端の方よ、用がある人なんて居ないわ」

「此処は長い間使われていませんでしたから、他の誰かが来る事もありません」

「そうなんですか…」

 じゃあ確実に、あの王子は俺に用があって来たと…最初から分かってたけど。

でもよく考えたら、何であの時俺を助けたんだろうか?

あのままいけば俺を殺せたはずなのに…

 「問題があるとすれば、貴方が外に出る時くらいよ」

「えっ?」

「そうですね、今後は部屋の外に出るのは控えてもらいましょう」

「えっ?えっ?」

 いつの間にか俺の外出禁止が決まりそうになってる!

いくら命を狙われる可能性があるにしても、庭にすら出られないのは厳しすぎる!

 「さっ、流石にそれは考えすぎでは?此処には人が来る事は無いんですよね?」

「それでも、用心するに越した事は無いでしょう?」

「うっ…そうかもしれませんけど…」

 だっ…駄目だ…反論出来る要素が無い…このままだと、部屋に閉じこもる事になってしまう…

そんなの、精神的にも健康的にも悪い!でも反論が出来無いどうしよう!

 「せっ…せめて今日は外に出るのを許してください…」

「まあ、そのくらいはいいでしょう」

「エレナ様、よろしいのですか?」

「閉じこもってたら体に毒だわ。それに、黙って外に行かれるよりいいでしょ?」

「ですが…」

「何を言われても気は変わらないわ。大丈夫よ、今日だけなんだから」

 エレナさんにそう言われたセルリアさんは、何も言わずに頭を下げて後ろに下がった。

納得は…してないのかな…?表に出てないから分からない…

「しばらくの間は窮屈だろうけど、我慢してね?」

「はっ…はい…」

な…何とか今日で最後の外出を認めてもらえた…

外出といっても、庭に出るだけだけど…まあ部屋にこもりっきりになるよりましだと思おう…


 「相変わらず広いな~この庭…」

 今日で最後になるかもしれない散策をしながら、日の光を存分に浴びる。

当分外に出られそうにないから、今の内にな。

 「あっ、リムビラだ。こんな所に植えてあるんだ」

 前に植物学の本で見た事がある花を見付けた。

これが俺に盛られた毒の花か…

 「本に絵が載ってたけど、実物はこんななのか…」

 花びららしいものは無く、雌蕊が何本も広がっている。

葉は地面に広がるようになっており、茎には地面に近い部分以外には葉が一切無い。

ちなみに毒は、花と根っこにあるらしい。

 「絵は白黒だったから色までは分からなかったけど…俺はこんなものに苦しめられたのか…」

 毒については詳しくは書いていなかった。

ただ即効性があり、処置が遅れると後遺症が残るらしい。

…こんな綺麗な花に俺は殺されかけたんだな…

赤い花に触りながらそんな事を思う。

 「あの時…違和感に気付かなかったら、楽だったんだろうか…」

 死ぬ気になんてならない。

だけど、楽になりたいって気持ちもある。

そういえば…何で香辛料の違いに気付けたんだろ…鼻が良いわけじゃないはずなのに…

 「考えてみたら…最近、夜目もきくようになってきたな…」

 その代わりなのか、前は平気だった熱いものを食べるのが苦手になったけど。

これって毒の後遺症…いや、鼻に関してはそれとは関係が無いか?

そんな事をまだしゃがみながら考えていると。

 「…っ!」

 何だ今の!背中がざわっ、としてまるで誰かに触られているような気がしたぞ!

不意に何かを感じて、後ろを振り向く。

そこには…

 「あ…」

 まさかのアルバート王子が居た。

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