↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オレにホレないモノはなし!~完全無欠のスコッパー~  作者: GIMI
第6章 我らにクダけぬモノはなし!
PR
92/156

092.西と東の最強コンビ

「鋼帝竜……」


 太陽を阻み、私を暗がりへと誘うその巨体を見上げながら、真新しい二本の剣を握りしめる。

 アイオライトに作ってもらった魂魄刀……いや、私の双剣は直剣だから、魂魄剣とでも言った方が適切だろうか。

 厳密な調整により、私の以前使っていた剣に、重心をアジャストしてくれたアイオライト。

 ありがたい。初めて握るというのに、恐ろしいほど手に馴染む。

 そして、この剣を手にした瞬間、私の職業(クラス)はEX職業(エクストラクラス)へと進化した。

 今の私の職業(クラス)は魂魄剣士(こんぱくけんし)。双剣に己が魂を込め振るう、豪壮なる大剣豪。


「コルリー!!」


 後方の埠頭から、艶姫様の声が響く。


「艶姫様、お待たせしました」

「ほんまに待たせすぎやで……」


 少し泣きそうな声に、思わず私の胸も熱くなる。


「不安にさせてしまいすみません」

「ほんまやで。これはしっかり埋め合わせしてもらわなあかん」

「どうすれば埋め合わせできますか?」

「そうやな」


 とっくに返事は決まっていたのだろう。

 少しだけわざと考えるそぶりを見せると、艶姫様はこう宣った。


「鋼帝竜を倒してくれたら、許したってもええ」

「…………御意!」


 十重二十重に分厚い信頼を背に受け、私は全力で鋼帝竜へと跳躍した。

 遥かに高い位置にある鋼帝竜の頭。

 けれど、レベル120を超えた私なら、ひと飛びで肉薄できる。


「はぁあああああ!!!」


 渾身の力を込めて、双剣を振り抜く。

 ヒヒイロカネは加工することで、元々の緋色から、持ち主の魂に即した色へと変化する。

 私の左の剣は"蒼"。自分のイメージする、自分の色。

 そして、もう一本。右の剣は"紅"。私のお姉ちゃんの色。

 圧倒的なスピードで振り抜いた剣が、"蒼"と"紅"の軌跡を描いた。

 その瞬間──


「ゴォオオオオオオオオオオオ!!?」


 鋼帝竜が痛みに叫び声を上げた。

 そう、私の……いや、私とお姉ちゃんの剣は、やすやすと鋼帝竜のアダマンタイトで構成された鱗を斬り割いていた。


「す、凄いっ!!」


 ディグの仲間達から驚愕の声が上がる。

 そうだ。あとで、彼女達にも、改めて自己紹介しなきゃだな。

 そんなことを考える余裕があるくらい、私の心は驚くほど透き通っていた。

 以前、こいつと戦った時は、私の心は憎しみでいっぱいだった。

 そのせいで、剣が鈍り、強引な攻撃は武器を痛め、すぐに折れてしまう結果となった。

 しかし、今は違う。

 武器が強力になったことはもちろんだが、今は、明確にお姉ちゃんが私の中にいることが感じられる。

 そして、お姉ちゃんはこう言ってる。

"復讐"ではなく、"守る"のだと。


「行こう。お姉ちゃん」


 剣舞のイメージだ。

 憎しみを捨て、心を澄ます。

 曰く、明鏡止水の境地。

 双剣のそれぞれに、私とお姉ちゃんの想いを込める。

 すると、その刀身は"蒼"に"紅"に輝いた。


「連撃……不知夜残月(いざよいざんげつ)!!」


 アルマンディン流最速の十六連撃剣。

 一晩中、闇夜を照らす十六夜月の如く、間断なき剣閃が鋼帝竜の首を掻き斬る。

 剣が一閃するごとに、奴の鱗に鋭利な太刀傷が増えていく。

 だが、敵もさるもの。

 今度は叫びを上げずに、耐える。

 やはり、こいつの耐久力はたいしたものだ。

 だけど──


「やっと来た」

「オラオラ、どきやがれぇええええ!!!!」


 私がつい今しがたいた位置に寸分たがわず、まるで隕石のような一撃が衝突した。

 あくまで、技で斬り裂いた私の攻撃とは違い、とにかく力で砕く攻撃。

 それは、鋼帝竜のアダマンタイトでできた鱗を粉々に砕いた。


「ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!?」

 

 今度こそ、鋼帝竜が慟哭する。

 空気さえ震わせるその慟哭の中、豪快に大股開きで着地したジアルマはニヤリと笑った。

 下着見えてるよ。


「はっ、脆ぇ!!」

「来るのが遅い」

「てめぇがゴキブリ並に速ぇんだよ」


 ゴキブリとはよく言ってくれる。


「そっちこそ亀より遅かった」

「あぁ、喧嘩売ってんのか。おい」

「大きな態度を取るのは、一発でも、私に攻撃を当ててからにしたらいい」

「カッチーン……んじゃ、今すぐ当ててやるよぉ!!」


 鋼帝竜の背中の上、ジアルマは私に向かって、大剣を振り下ろした。

 私はそれをひょいと避ける。

 すると、大剣を叩きつけられた鋼帝竜の背中の鱗がバキバキに吹き飛んだ。

 うん、さすが、アイオライトの手で、さらに強化された神器級の大剣だ。

 威力もさることながら、こんなに粗雑に扱われてもびくともしてない。


「ちょこまかすんなぁあああ!!」

「してない。あなたが遅いだけ」


 軽口をたたき合っている間にも、ジアルマが繰り出す攻撃を、私はひょいひょいと避けた。

 その度に、背中に叩きつけられる大剣が、鋼帝竜の背中に甚大なダメージを与えていく。

 うん、これ、楽でいい。


「こらぁあああ!! 何やっとんや、2人ともぉおお!!!」


 埠頭の方から、艶姫様の声がする。

 うん、そろそろ本当に、このアホの子止めないと。


「ジアルマ、タイム」

「ああ!? なんだ、命乞いか?」

「違う。勝負しよう」

「勝負だぁ?」

「うん、どっちが先に鋼帝竜に止めを刺せるかの勝負」

「ん……ああ、そういえば、こいつを倒すためにオレはレベルを上げたんだったか」


 この子凄い。あんなにボロボロになるまでレベル上げしたのに、私との戦いに夢中になりすぎて、その目的がすっぽり抜けてた。

 お猿さんなのかな。


「ふんっ……まあ、いいだろう。せっかくだ。こいつのこのいまいましい鱗を全部引っぺがしてやる」

「んじゃ、行くよ。よーい……」

『ドン!!(……だ、オラぁ!!!)』


 私とジアルマは一斉に鋼帝竜への攻撃を開始する。

 私の双剣が斬り割き、ジアルマの大剣が砕く。

 あれだけ硬いと思った鋼帝竜の身体が、面白いように傷ついていく。

 奴もじっとしているわけではなく、お得意の振動波攻撃を繰り出してくるが、すでにネタは割れている。

 私は超高速で動くことで、振動波すら回避してみせ、ジアルマは単純に持ち前の耐久力で歯牙にもかけない。

 ものの数分もする頃には、鋼帝竜の姿は、もはや見る影もないほど、ぼろぼろだった。

 それにしても……。

 このあほの子との連携、なかなかどうして悪くない。

 私たちは、玉手の札の異空間の中で、7日間に及ぶ模擬戦闘を行った。

 ジアルマはパワーはあるが、攻撃が単調になるきらいある。

 そのため、私は難なく、彼女の攻撃を避けることができたが、戦闘の才能とでも言おうか。

 あれだけアホだというのに、いざ、戦いになると、少しずつ少しずつではあるが、私の速さに対応し、攻撃に工夫が増えてきた。

 とはいえ、彼女と同様、私もその癖を見抜き、対応してみせたので、結局一度も攻撃が当たることはなかったが、確実に彼女の攻撃は以前よりも洗練された……脳筋なのは、相変わらずだけど。

 しかし、それぞれの成長以上に、今の私は、ジアルマの力がどれくらいなのか、動きの癖はどんななのか、次にどんな攻撃を繰り出すのか、それが、すべてイメージできる。

 同様に、ジアルマの方も私の動きがイメージできているのだろう。

 同じ、背中の上で、鋼帝竜に剣を振るいながらも、2人の攻撃が変にかぶったり、お互いの攻撃の余波に巻き込まれることもない。

 あの子が言ったように「西と東の最強コンビ」と言っても過言ではないほど、私たちの連携は研ぎ澄まされていた……悔しいけど。


「オラ、決めるぞ!!」


 勝負のはずが、いつの間にか共闘という認識になっていたのはジアルマも同様のようだ。


「うん」


 私は返事をすると、左の蒼剣を逆手に持ち替える。

 同様に、ジアルマは大剣を大きく振りかぶった。

 狙うは脳天。背中から跳躍すると、私とジアルマは奴の頭へと肉薄する。

 瞬間、予想を上回る機敏さで、奴が振り向いた。

 その口にはいつの間にか、すさまじいエネルギーが収束している。ブレスだ。

 でも、そんなもの構わない。

 銀の光が私とジアルマを撃つ……いや、それよりもわずかに早く──


「韋駄天閃(いだてんせん)!!」

「破壊者が齎す終末(ワールドエンド)!!」


 最速の剣技と最強の力技がブレスごと鋼帝竜の頭頂部を貫いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。