不味いウニ
毎日、クリスに会うために岩場に行くが、クリスはいない。
クリスは岩場に一人で来ちゃダメと言われていたから、来ないのかも…
私は拠点に戻り、クリオが連れて来たタコに小魚を渡すが、食べようとしない。
卵をずっと守っているけど、ここは安全ということがわからないのかしら?
クリスタの姿が見えない。
巣穴かな?と思って巣穴に向かうと、クリスタが産卵していた。
もう少し先かと思っていたが…
タコの子供は数千だ。クリオが連れて来たタコとクリスの子供が孵ると、ここは子供だらけになりそうだ。
小魚は大人にとっては食料だが、子供を襲う。
今は海水の流れを優先して穴が大きめだが、小魚が侵入しないように小さくする必要がありそうね。
私は考えながら、拠点を見回った。
ウニが減ってる…
私はケンタとクリオを探した。
「ケンタ、クリオ。ウニが減っているわ。食べたでしょ?」
「俺は食べてない」
「俺も」
「じゃ、誰?」
「ウニが逃げたんじゃないか? それとも、クリオが連れて来たタコじゃないか?」
「あいつは指サックを持ってないからウニを割れない」
「そっか。じゃ、誰だ?」
「クリスタじゃないか?」
卵を産むのに栄養は必要か…
「確認しようじゃないか?」
「そうだな」
「クリスタは産卵していたわ。栄養が必要だったのよ」
「産卵! クララ、本当?」
「本当よ」と私が石を叩いている途中でケンタは猛スピードで泳いで行った。
「クララ、もしかしてケンタが父親なのか?」
「そうらしいわね」
「俺たちも行こう」
私たちも拠点のクリスタの巣穴に向かった。
そこでは、海水の流れを調節するため、ケンタが働いていた。
「クリスタ、産卵のためにウニを食べた?」
「…食べた。でも、美味しくなかった」
美味しくなかった? 産卵で味覚が変わったから?
「そうなのか?」とケンタが言う。
「俺、近くにいるウニを指サックで割って、魚をおびき寄せたりする時に少しつまみ食いしたけど、美味くないのが多かったぜ」
「お前、飼ってるウニを食べてないよな?」
「食べてない! 外のウニだよ」
「ほんとか?」
「本当だよ」
「クリオ、どこのウニが美味しくなかったかわかる? 連れていってくれる?」
「わかった」
ケンタと私はクリオに案内された場所に行った。
そこは、海藻が少なく、ウニが見つけ易い。
「ここって…」
「何?」
「拠点のウニはここで獲った…」とケンタが言う。
私は近くのウニを指サックで割ったが、中が少ない。
私は少し食べたが、味が薄い。
ケンタもクリオも食べる。
「な、美味しくないだろ?」
「あれ? おかしいなぁ。最初に撮った場所のウニは美味かったぜ。何が違う?」
「ここのウニは最悪だよ。拠点の方がマシだな」
「拠点の方がマシ? お前、拠点のウニを喰ってんじゃん!」
「あっ。バレた。ごめん。今度、ウニを捕まえて入れておくから」
「しかたねぇな。でも、何が違うんだろう?」
「拠点のウニは私が刈った海藻を与えて世話をしているわ。でも、ここは海藻が少ないわ」
「ウニの食べ物が少ないからか… あっ! 水槽でも海藻が多い時のエビは美味かった! それと同じなんじゃないか?」
「確かに、そうかも… ケンタ、よく見ているな。じゃ、拠点のウニにもっと海藻を与えれば美味くなるな」
「海藻? あの四角いの… 麻袋だっけ? あれをもっと持ってくれば、拠点に海藻を増やせるぜ」
「あれ、重いぜ」
「木を使えば、だいぶ楽に運べる。不味いウニより美味いウニの方がいいだろ? それに、海藻が多い方が子魚が増えるし、大きな魚に見つかりにくくなるから安全だぜ」
「でもさぁ。子魚が増えれば、大きな魚も来るんじゃないか?」
ケンタはサメを思い出したのか嫌な顔をしたが、ケンタとクリオは話し合い、鉄鋼スラブが入った麻袋を運ぶ計画を練った。




