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少年

「⋯⋯で、うちはこんな深夜に叩き起こされてる訳だ? 義手の取り付けなら明日でもよかったじゃん。気絶してるだけで健康って言われたんだろ」

 物凄く不機嫌なメギスに怒られた。


「た、確かに日を改めてもよかったな。すまない。掠め取られると聞いて早く付けてやらねばと気が急いてしまった。出直すよ」

 メギスの言う通り最早緊急ではないんだ。

「ゴメンね! メギスちゃん。私も焦っちゃって気づかなかったよ!」


 一緒になって謝るエンジュ。さて出直すかと帰ろうとすると、メギスがバツが悪そうに頭を掻いた。

「別に帰れって訳じゃないよ。寝てたところ起こされたからムカついただけさ。⋯⋯もう目が覚めちゃったし中入んなよ」


「すまない、この礼は必ずする」

「高くつけとくよ。⋯⋯それにしてもこの機械腕すごいなぁ。このままじゃシュマの体格に合わないから、いくらか装甲外したりしなきゃだけどいいかな? 戻そうと思えば戻せるようにするし」

「不可逆じゃないならいいんじゃないか? 目覚めた後にでも何を付けるか相談してもいい訳だし」

 礼を言って中に入る。と言っても俺の家と同じくドアなどないが。


「ベッドずらして。扉があるから」

 言われて寝台をずらすと、何やらスライド式の機械扉が。

「コレはテミス様の許可は取ってるのか?」


「取ってないよ。怒られてないから黙認されてるんだと思う。シュマは下に連れてっといて。準備するからさ」

「私も手伝うよ」

「あぁ」

 まぁ、この村のことでテミス様が把握してない訳ないか。メギスのすることを気にするだけ無駄だな。


 自動で開いた扉の向こうは階段になっていた。降っていくとメギスにしては散らかっていない作業部屋があった。

 中央の作業台にシュマを寝かせる。


「———っ、ん。ここは?」

 そっと下ろしたが、目が覚めたようだ。少し混乱してるな。

「目が覚めたか。ここはメギスの家だ」

「メギス⋯⋯? あぁ、発明家の。エンジュは? 俺は変なドロイドと戦って⋯⋯」


 自身の失った右腕を見て、言葉をなくすシュマ。何が起きたか思い出したようでゆっくり体を起こして胡座をかく。

「そうだった。斬られちまったんだよな。⋯⋯エンジュは? 無事なのか?」

「問題ない。多少の衰弱はあったが大きな怪我もなく無事だ。今シュマの義手を取り付ける準備を手伝っている」


 俺が階層を踏み抜いて落下してしまった時はヒヤッとした。シュマがエンジュについていてくれて本当によかった。

「義手⋯⋯? もう準備できてるのか? 俺はそんなに寝てたのか?」

「いや、あれから半日も経ってない。義手はシュマが倒したドロイドの相方みたいな奴が、お前を褒めててな。戦利品としてくれたんだ。フォトンブレードを使えるようになるぞ」


 慣れるまで力加減とか大変だと聞くが、それを補って余りあるメリットが機械腕にはある。

「あの首無しの腕か!? マジかよ!! だが付くのか? 相当なデカブツだったが」

「メギスがシュマの体格に合わせて過剰なパーツなどをどうにかするみたいだぞ。一応戻したいなら戻せるようだが」


 俺の返答を聞いて、腕を組んでむっつり黙り込むシュマ。不機嫌になったと言うより、機械腕のセッティングに悩んでるんだろうな。目が子供のように輝いている。


「⋯⋯メギスは今上で作業してるのか?」

「あぁ。その機械腕は貴重らしくてな。とっとと取り付けてしまった方が安全だと思って準備してもらってる」

 折角の戦利品を横から掻っ攫われるのはムカつくしな。


「目も覚めたし、俺もちょっと手伝ってくるわ。戻せると言っても色々調整もあるだろうし」

 珍しくソワソワしている。

「構わないが、体調は本当に大丈夫か? 相当な激戦だったようだが」


「⋯⋯ヤベェ奴だった。正直エンジュの援護とテメェの助力がなきゃ普通に殺されてたと思うぜ」

 助力だと? その場にいなかった俺にそんなチャンスはなかったが、なんだまだ混乱しているのか?

「ははっ、わかんねぇか? 教えてやるのも癪だからテメェで考えるんだな」


 珍しく機嫌よさそうに笑って起き上がるシュマ。去り際に拳を俺に向ける。

「兎に角よ、助かったぜ」

「腑に落ちないが、そう言うことにしておくか」

 ゴッと拳を合わせる。


「⋯⋯へっ」

 痛そうに手を振ってシュマは階段を小走りに登っていく。

「帰ったら、コレでも見るか。シュマにもコピーして渡すか」

 ジャスペロダスの剣技。少しワクワクするのを、俺は自覚していた。

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