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マルベーシの強さの秘訣

「やあ、マルベーシ。試合は約一時間後なんだよね?」


「うん? あら、セイじゃん。ええ、そうなの。応援してね!」


「もちろん! 優勝目指して頑張ってくれ……って言うと無責任にプレッシャーを与えるな。まあ、昨日の調子でいけば大丈夫だと思うから、気負いせず、思いっきり楽しんできてくれ!」


「ありがとう!」


「ところで、ワインの宣伝してくれたんだってな。感謝してるよ。ありがとう。おかげさまでしっかり売れているんだ。」


「そうなんだ! それは良かったわ~」


「ところで……。直前のチェック的なことはしなくていいの?」


「ええ。もうすべきことは大会前にすべてやり尽くしたわ。あ! そういえば、地下水路を見つけたのってセイなのよね?」


「あれ? 知ってたんだ? リオカから聞いたのか?」


「聞いたというか見てしまったというか。リオカちゃんが町の外れに行くのが見えてね。怪訝に思って後ろを付けたの。そしたら、突然濁流に飛び込んでね」


「ああ、あそこの濁流か」


「ええ。それで、『何かあったの?!』って聞いて……それで」


「ふーん。なるほど。でも、先にあるのは生産職向けイベント。マルベーシには関係ないだろ?」


「生産職向け? どちらかと言うと、戦闘職向けイベントなのでは?」


「えっと?」


「これでしょ?」


「これって……? 鑑定しても?」


「ええ、勿論。」


向日葵の剣 ver5(2):マルベーシさん専用の剣

<状態>

抗菌:特殊効果『抗菌術』が付与される

<耐久値>

34.5

<特殊効果>

抗菌術:腐敗・発酵状態にあるアイテムを通常状態に戻す。また、不死属性の敵に攻撃を加えることが出来る。


 向日葵の剣。ひまわりさんが作った剣だからこの名前なのだろう。その名にマルベーシの本名「葵」が入っているのは偶然だろうか?

「ええ?! これって……?」


「社に武器を供えて、水路の先にある地下神殿に行ったらもらえるのよね? あれ? リオカちゃんは『お兄ちゃんに教えてもらったのーーーー!』って言ってたけど?」


「???……ああ! あれか! 無機物を供えた時の挙動か!」


「えっと?」


「ああ、どういう状況なのか説明するとだなあ……」


 俺はマルベーシに「有機系アイテムを供えると、腐敗状態が付与され、アルコールを作るのに役に立った。この話を聞いたリオカは『無機物を供えたらどうなるか調べる』と話していた」という内容を説明した。


「へえ~。なるほどねえ。ワインの裏には、そんなことがあったわけね」


「まあな。というか、リオカも実験結果を教えてくれたっていいじゃないか」


「あはは……それは本人に言ってちょうだい。ほら、ちょうど来たわよ」


「うん? あ、リオカにフラウじゃないか」


「やっほーー。お兄ちゃん。どうかしたの? 私の顔に何かついてる」


「リオカよ。お兄ちゃんに話すことがあるのではないかな?」


「うん? 何のこと?」


「これな~んだ?」


「あ、抗菌状態の武器じゃん。それが?」


「おいコラ。お前。地下水路の件、教えたの俺だよな? それで『無機物を供えたらどうなるか調べる~』って言ってたよな? それで? どうして俺には教えてくれなかったんだ?」


「あれ? 言ってなかったっけ?」


「とぼけても無駄だぞーー! 知らばっくれようとしているのはこの口かあーー!」


いひゃい(痛い)いひゃい(痛い)ひょっひぇひゃ(ほっぺた)ひゃっぱら(引っ張ら)ないで~」



 リオカとはフレンド同士であり、なおかつ本人の許可を得ているので、セクハラ対策が厳重なこのゲーム内であっても、彼女の肌に触れる感触を味わうことが出来る(ちなみに、普通は肌の1mmほど手前で見えない鎧に遮られるらしい)。元々はリオカの頭をなでてやるために許可を出してもらったのだが、それがこんな形で役に立つとは。


……

………


「マル姉に伝えたから、お兄ちゃんにも伝えたと思ってました。私の過ちです。ごめんなさい」


「はあ。まあ、身内で異性でもある俺に、内緒にしておきたい事があるのは普通のことだし、全部吐けなんて言うつもりはこれっぽっちもない。だけど、今回の場合は流石になあ……。まあいい。もう済んだことだ。取り敢えず、俺が村八分にされている訳では無くてよかったと思うことにしよう。っと、すまない、マルベーシ。話が逸れたな」


「ああ、いえいえ。二人って本当に仲がいいのね?」


「そうかな?」


「私にも弟がいるけど、こんなにも懐いてくれないわよ? むしろ、喧嘩ばっかり」


「うーん? そうなの?」


「って私に聞かれても。そうね……私はお兄ちゃんと仲良くしてるけど、友達の中には『兄貴がウザい』とか『弟がうるさい』とか言ってる子もいるなあ。そう考えると、私達って仲がいい方なのかしら」


「かもな。うーん、なんでだろ? ああ、分かった。俺は幼稚園に通っていた頃、暗号文の製作、パズルの作成、迷路の作成なんかの、紙と鉛筆だけで出来る遊びに凝ってたんだ。おもちゃの取り合いとか、遊び相手の取り合いとかを味わう事が少なかったことが仲のいい兄妹の秘訣なのかも」


「……なるほど。セイって実にセイらしい幼少時代を送っていたのね。それはともかく。あの地下水路の『ペナルティーエリア』は二足歩行をする敵が現れるでしょう?」


「ゾンビのことだよな」


「ええ。それがいい対人戦の練習になったの。大会二日前にあの場所を知ってね。直前練習はあそこでしたの」


「へえーーー。通りで対人戦に慣れているわけだ。いや、それ以上にマルベーシの弛まぬ努力の成果だと思うけどな」


「ふふふ、ありがとう。褒めてくれたことに対しても、それにあの場所を見つけてくれたことに対しても。本当にありがとう」


「いえいえ。礼には及ばないよ。それに、その剣を作ったひまわりさんにも感謝だよな。おや、噂をすれば」


 こちらに向かって歩いてくるひまわりさんを見つけた。これで、マルベーシ応援隊(仮)は全員集合だね。





いつも読んでいただきありがとうございます。


誤字報告、すごく助かります。教えて下さった皆様、本当にありがとうございます。

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