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武術大会・二日目の始まり

 一日目の午後は、結局特別な出来事は無く、次の日となった。

 ちなみに、マルベーシが決勝戦に進出した他、クリムゾンらも決勝戦に進出したようだ。両チーム共に上手くいけば、優勝決定戦で二人はぶつかることになる。そうなったら胸アツ展開だなあ! 楽しみだ。


「決勝戦の始まりだーー! 激しい戦いの末、二日目のこの舞台に残ったのはこいつらだーー!」


 司会者のそんな叫び声と共に決勝戦進出者、計16組が登場する。知っているのはマルベーシとクリムゾンらの二組だけ。その二組以外で気になるのは……。


「うん? あの人……どこかで見たことがあるような……?」


 とあるパーティーのとある一人。その顔をどこかで見た気がする。うーん?


「あ、あの人、住人じゃん!」


 そう。なんとなんと。調理器具店の場所を聞いたおっとりした見た目の住人男性だったのだ。おっとりした見た目に反して、結構強いんだな!! あの人の武器は……杖? ふむ、魔術師か。確かにあの人が近接戦をこなす様子が想像できない。


「うん? おお、本当だな。マーナの奴、旅人と組んだのか!」


 突然後ろから声を掛けられる。えっと、この声は……。串焼き屋のおっちゃん?


「おわっと。ドルフじゃないか。あの魔術師さんは住人だよな? それなのに、他のメンバーは旅人なのか?」


「そうだな。新しく住人が増えたって話も聞いてないし、たぶん他のメンバーは旅人だぜ」


「そんな組み合わせもあるんだな。ちょっと意外」


「まあ、違反行為ではないからな。確かに、マーナは優秀な魔術師だ。きっといい戦力になっているのだろう」


「へえ」


 こうやって、住人と旅人の交流がもっと深まればいいのにな、と俺は思った。


「そういやお前さん! アルコール出来たんだってな?! 俺にも教えてくれって言ったのに~。どうして教えてくれなかったんだーー!」


「ああ、それに関してはすまない。だけど、こういうお祭りの場で発表したかったからさ」


「うーん、まあその気持ちは分かる。で。で? でえーー? どうやったんだ?」


「もうすぐ公表されることだと思うから、俺の口から言わなくてもいいかもだが。まあ、先に教えたって別にいいか。これを見てくれ」


「なんだそれ? ほう。『腐敗した魚肉加工食品』とな? これはお前さんが作ってるキャットフードだよな? それが腐敗したのか?」


「ああ。とある場所でとある行為をすればこれが得られた。鑑定したって事は、その特殊効果も読んだよな?」


「ああ。この『発酵』が鍵ってわけだな?」


「いかにも。発酵が付与されたアイテムの耐久値が0になると、アルコールを入手できるんだ。ほら」


「ほう。発酵したブルーベリー。なるほど、なるほど」


「それはドルフにあげるよ」


「いいのか?」


「ああ。その分、美味い酒を量産してくれ。ついでに醤油とか完成したら万々歳だ」


「おおーー! それが成功したら俺の串焼きの味のバリエーションが出来るな! それはいいぞ。でも、いいのか? お前だって研究したいだろ?」


「いやあ、酒を造っている時にふと思ったんだ。『俺は錬金術師なのに、何をやってるんだろう?』って。発酵食品が『錬金術』ではなく『料理』に分類されると分かった以上、俺が携わるのはどうかと思ってね」


「なるほどなあ~。……そんなこと言うくせに、今回の大会ではワインを売って儲けようとしてるじゃねーか」


「まあ、それはそれってやつだ」


「実際、今の売り上げ、二位だぜ?」


「マジか! いつの間にそんなに売れたんだ? 昨日の昼はほとんど売れてなかったのに?!」


「ほら、今インタビューに答えてるねーちゃんが美味しそうにワインを飲んでた事が宣伝になったらしいぜ」


「うん? ああ、マルベーシ。広告塔になってくれたのか」


「あの最強ねーちゃんの知り合いなのか?」


「まあな」


「ふえーー! やっぱりリアル(向こう)でも戦闘狂みたいなやつなのか?」


「いいや? 真面目な奴だな。だからこそ、戦闘技術についても本気で磨いたようだけどね」


「ああ、そっちタイプね」


「ああ、そっちタイプだ」



「ふむ。売り上げチェックーーーー!」

 ドルフの言葉が気になって、ステータス画面を開く。ワイン(仮称)が二位になっただと?


トップ:ドルフ=ドーバの「串焼き」


二位:セイの「ブルーベリーワイン」


三位:ローラン=エルシーの「クッキー」※売り切れ


四位:セイの「綿菓子」※売り切れ


五位:ひまわりの「チャクラム」


六位:セイの「キャットフード」


 おお! 本当に俺のワインが二位になってる! 在庫はまだあるようだから串焼きを追い抜いてくれるかもしれない。ドキドキ。ワクワク。


 よく見ると、ひまわりさんのチャクラムが俺のキャットフードを追い上げたようである。この調子で売り上げが伸びたら「クッキー」や「綿菓子」を超えるかもしれないぞ。悔しいような嬉しいような複雑な気持ちだ。


 さて。それはともかく、マルベーシの試合はいつからだ? ふむ、あと一時間後になるのか。せっかくだしリオカやひまわりさんと合流して一緒に観戦したいな。連絡を入れてみるか。


いつも読んでいただきありがとうございます。


今後ともよろしくお願いします!

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