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それ食べて大丈夫なの?

 甘味処・アクアクッキーに入った俺たち兄妹はメニューをのぞき込む。


~~メニュー~~

・クッキー (300G)

甘葛(あまづら)

抹茶

睡蛇魔(ロートス)

葡萄

藍苺(ブルーベリー)

樹魔(トレント)

蜜柑

果物時計草(パッションフルーツ)

野苺


・果物のカップケーキ (600G)

睡蛇魔(ロートス)

葡萄

藍苺(ブルーベリー)

蜜柑

果物時計草(パッションフルーツ)

野苺

樹魔(トレント)


・饅頭 (350G)

甘葛(あまづら)

抹茶

樹魔(トレント)


・果実水 (100G)

……

~~~~


 「リオカ、ロートスって何?」「お兄ちゃん、甘葛って何?」

 同時に質問を投げかけた。息ぴったりだな、俺達。やっぱり、血のつながりは伊達じゃないぜ。


 「ロートスはアクアシティの湖に生える水中植物型のモンスター。近づいたら魅了の異常状態に罹るわ。」


 「食べて大丈夫なの、それ?」


 「ドロップアイテムに『ロートスの葉』っていうのがあるんだけど、それが独特な香りがするのよ。多分、その匂いが付いたお菓子なんだと思う。」


 「ふーん。ちなみに、どんな匂いなんだ?」


 「ジンジャーエールみたいな香りよ。……つまり、ショウガみたいな匂いね。」


 「へえ。それはいいね。つまり、ロートス味のクッキーはジンジャーブレッドと考えればいいのかな。」


 「そうだと思うわ。で、甘葛って何か分かる?」


 「蔦性の植物から取れる甘味料だな。古くから高級甘味料として利用されていたんだ。」


 「へえーー。『日本のサトウキビ』みたいなイメージ?」


 「そうだな。まあ、蔦性植物だからサトウキビとはだいぶ違う見た目だけどね。」


 「ふえーー。それは興味あるわね。わたし、それにしようかしら。」


 「俺はカップケーキが気になるな。」

 そういえば、前にドルフの屋台に寄った時、「パン用の酵母が出来た。欲しがってる友人がいるんだが、渡してもいいだろうか?」とか聞かれたっけ。もちろん、了承した。それを使っているのかな?


 「カップケーキかあ。いいわねいいわねえ。あーー。でも今はお饅頭の方が気分かなあ。うーん、じゃあ、私は甘葛の饅頭で。」


 「んじゃ、俺はロートスのカップケーキにしようかな。ドリンクはどうする?俺はトレントジュースにしようかと。」


 「私は……。抹茶かき氷かな!」


 「それって飲み物なのか……?ふむ、かき氷か。確かにうまそうだな。……どこから氷を仕入れたんだろ?」


 「魔法でしょ。水属性魔法の一つにブリザードってやつがあるから。」


 「へえ!でも、それってセーフティーエリア内でも撃てるの?」


 「む。確かに。」


 「『水の入った水瓶』というアイテムに氷属性の魔法を当てると『氷の入った水瓶』というアイテムに変化するんですよ~。そうやってかき氷は作っているんです~。それで、ご注文はお決まりでしょうか~?」

 親切にも、店員さんがタネを教えてくれた。へえ、なるほど。


 「そうなんですね。わざわざありがとうございます。あ、注文はロートスのカップケーキと甘葛の饅頭と抹茶かき氷。トレントジュース。……それと甘葛のクッキーも。」


 「は~い。承りました~。」


 「お願いしまーーす。」


……

………


 「お待たせしました~。カップケーキのお客様~。」


 「あ、俺です。」


 「は~い。かき氷は~。」


 「私です。それとお饅頭も私です。」


 「はいはい~。はい、どうぞ~!」


 「ありがとうございます。」


 「いえいえ~。クッキーは~。」


 「真ん中に置いていただけます?二人で食べる分なんで。」


 「分かりました~。お飲み物もすぐにお持ちしますんで~。あ、ちなみに、かき氷は放っておいても溶けないからゆっくり食べて大丈夫ですよ~。」


 「分かりました。」



 「なんか、おっとりしたしゃべり方の人だな。」


 「そうね。なんだか、優しそうって印象を受けるわね。」


 「だな。さて、肝心のお菓子は……。」


 「「文句なし!」」


 「すごいわね!お兄ちゃんよりはるかに上手ね!」


 「ははは。そりゃあ、俺はプロじゃないからなあ。プロには負けるよ。」


 「そりゃあ、そうかもだけど。だけどさ、このお菓子はこの世界にある物だけを使っているのよ?『アマチュアじゃ手に入らない特殊な素材』を使っている訳じゃない。」


 「ふむ。確かに。理論上、俺も同じクオリティーの物を作れるって事だな。」

 そう考えると確かに悔しいな。俺は料理のプロではないし、ましてや料理にプライドがある訳でもない。だけど、一家の胃袋を掴むべく料理の特訓をした経験もあるのだ。ちょっぴり悔しさを覚える。


 「私たちの故郷にはもっと多くの食材があるのだから、このクオリティーを超えるお菓子を作れるはず。」


 「むむむ……。まあ、いいや。取り敢えず今は料理を楽しもう。それ!かき氷頂き!」


 「あ!ちょっとお兄ちゃん!ひどい!」


 「別にいいじゃん、一口くらい。」


 「これ以上は取らないでよーー。」


 ぷくーと頬を膨らませるリオカを見て「フグみたい」なんて失礼なことを考えながら、俺はカップケーキを平らげるのだった。


いつも読んでいただきありがとうございます!

今後ともよろしくお願いします。



誤字報告、すごく助かります。本当にありがとうございます。

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