97.鳥達の王
羽根が飛んできたらミミズクを倒す。それを繰り返しながら丁寧に進んでいく。
やはり休憩は大事だな。先程までは上を見る気にもなれなかったというのに。
この依代なら不眠不休で冒険をしていても問題はないはずなのだが
休む時は休まないと精神的に疲れが来る気がする。
森を抜けるまでには少々時間がかかったが無事に抜けることができた。
目の前に広がった光景は崖に挟まれた道だった…
「またこれか。考えるのも大変だししょうがないか。」
休憩の効果か、アカネに対しても寛容になっている気がするな。
「出テクル敵ハ違ウダロウシナ。」
「そうだな。何が来るか楽しみだ。」
今回は崖の上に動物の姿はなかった。
それならこの地形じゃなくてもと思うが何か理由があるのかもしれない。
と、いつの間にか強い光がこちらに向かって放たれていた。
眩しいが目に向けられているわけではないので何とか姿を確認することができる。
…が、丸い何かが光を放っているようにしか見えなかった。
正体がよくわからなくても位置はわかるため、置換で手元に引き寄せる。
その姿を確認すると頭部にパラボラアンテナのようなものをつけた鳥だった。
他の鳥同様、暴れて逃げようとするが離すわけがない。3秒経つとフッと消えた。
パラボラワシ:B
カリファミナミのダンジョンに生息する大型の鳥。
頭部の皿状の骨を巧みに操って太陽光を集め、敵を燃焼させる。
その追尾は多少の速度では振り切れない上に一定の距離を保とうとするため、
倒すには速度で勝るか盾の役割を果たすパラボラを物ともしない攻撃手段が必要。
日が暮れると何処かへ姿を消す。
ドロップ
・パラボラ鍋
ハゲワシのハゲ部分を強化したらこうなったのか?
にしてもやりすぎな気はするが。
パラボラ鍋:B
パラボラワシの頭部の骨を使用して作られた鍋。
鏡のように光を反射するのでとても骨で作られているとは思えない。
弧の角度が調整されており、鍋として使うことができるようになっている。
骨でできた鍋か。これで煮込んだら出汁が効いていい味になるならいいが、
骨の表面だけじゃたぶん無理だよな…
「ナカナカ愉快ナ敵デハナイカ。」
「そうだな。まさかあんな方法で攻撃してくるとは思わなかった。」
「コンプレックスヲ武器ニスルトハ見上ゲタ根性ダ。」
「ハゲワシは頭を突っ込んで獲物を啄ばむから
細菌が繁殖しないようにハゲてるんじゃなかったか?」
「ソウナノカ?」
「俺の記憶もおぼろげだけどな。しかし太陽を利用するんじゃ
時間によって攻撃してくる方向が限定されるんじゃないのか?」
「ソレデモ実力ガナケレバ倒セナイダロウ。」
「せっかくだし行動の優先順位も確かめてみるか。」
崖の道を歩いていると何度もパラボラワシに遭遇したので確かめてみた結果、
太陽の光を反射するために攻撃してくる角度はかなり絞られる事、
攻撃している間はパラボラを過信しているのか回避しない事、
速度で負けた場合は攻撃よりも回避を優先させる事がわかった。
純粋な近接戦闘しかしない冒険者にとっては確かにやっかいな敵かもしれない。
その代わり強力な遠距離攻撃があればただのカモだな…ワシだけど。
「両側が崖なのはハゲワシが光を当てやすいように
侵入者の動きを制限する意味があったのかもしれないな。」
「ナルホド、サスガハアカネ様ダ。」
「お、崖の次はもうボスなのか?」
「ソノヨウダナ。」
見ると崖の道の終わりは上り階段になっていて、
その上部は崖の上と同じ高さになっているようだった。
ハゲワシを蹴散らしつつ道を進んで階段を上りきる。
その先の空に見えたのは…どう見てもプテラノドンだった。
でかいのが1匹、それよりも小さいのが10匹ほどか。
プテラノドンはこちらを確認すると取り巻きと共に向かってきた。
と言っても高度を下げるわけではなく、上空に陣取った。
そしてそのまましばらく羽ばたいていたかと思うと
取り巻きの小さいプテラノドン達が水球を連続で放ってきた。
その水球が届く前に俺達の周囲には土がせり上がって壁が作られていた。
こっちがボスの方の攻撃だろうか?
壁からはこちらを貫こうと土のトゲが次々と勢い良く飛び出してくる。
ダメージはないがその間に夥しい量の水球が着弾し始めた。
…鳥から水が降ってくるのはあまりいい気分ではないな。
足元に水が溜まる程度かと思っていたら水位は見る見る上昇していく。
水からはすっぱい臭いが漂っている。おそらく酸なのだろう。
土魔法で相手を串刺しにして上から酸を降らせて溶かす。
更に窒息も狙っているのか。
水中に他に生物はいないので土の壁を殴って破壊し、脱出した。
取り巻きの1匹を置換で手元に引き寄せて捕まえる。
最初からいたということは召喚体じゃないかもしれない。
その間も土も水も襲ってきているが取り巻きに当たらないように避け続けた。
少し長めに…と思っていたが3秒経つとフッと消えた。
プテラ:B
カリファミナミのダンジョンに生息する大型の鳥。
専らプテラの首領の取り巻きをしていて他の場所には現れない。
ドロップ
・なし
召喚体じゃないのにドロップがないのか。
こいつもジャッカルみたいに嫌われてそうだな。
それにしてもプテラの首領って…
プテラにドロップはないとわかったので
無視してプテラノドンを捕まえることにしよう。
仮にもボスが取り巻きの攻撃でやられたりはしないだろう。
再びプテラノドンを置換で手元に引き寄せてから足を持って
地竜達のようにぶん回し始める。しかし翼以外でも飛ぶ力があるらしく、
回転しながら空中に持ち上げられてしまった。
「これじゃ持ち上げたことにならないよな。何かいい方法は…」
「アレガアルデハナイカ黒クテ重イアレガ。」
「あ、そうか。さすがはヨルム。」
図鑑からミスリルの剣を取り出すと
さすがのプテラノドンでも飛べないらしく墜落してしまった。
片手でミスリルの剣を、もう片方の手で
プテラノドンの足を持って高速回転を始める。
全身に酸がとめどなく襲ってくるが剣もプテラノドンも無事のようだ。
3秒経つとプテラノドンは消えたが取り巻き達はそのままだったので
温度反転でまとめて処理しておいた。
プテラの首領:A~
カリファミナミのダンジョンに生息する巨大な鳥。
決して地に降り立つことはなく、空中から土魔法を駆使して攻撃してくる。
取り巻きのプテラの群れにも対処しなければならないため、
討伐するには強力な遠距離攻撃と高い戦闘能力が必要。
ドロップ
・首領のコテカ
アカネによる強めのダジャレが来たな…コメントはしないでおこう。
首領のコテカ:A
プテラの首領の嘴で作られたコテカ。
長さも太さも立派で、着けた者は族長としての威厳を増すという。
素材がいいので着けたまま武器として使う者もいるとかいないとか。
これは使いどころがなさそうだな。
いや、そういう部族に会う機会があるかもしれないし確保しておくか…
「ボスドロップがまさかのコテカとは…」
「コテカトハ何ダ?」
「簡単に言えば男性器を晒さないようにするための衣装だ。」
「…ナルホドナ。」
「それじゃあ一度戻るか。」
出現した出口からカリファミナミの町に戻った。空は少し赤みを帯びてきている。
またここまで来るのも面倒だし、コテカをあと2つほど確保してから帰ろうかな。




