腐っていた事はひとまず置いておこう
「で?どうして俺たちを避けてたんだ?」
私はあのまま家の近くで騒がれる事を避けるため、駅前のファミレスへと移動した。
「別に避けてた訳じゃないんだけど・・・」
しどろもどろになりながら答える私に疑いの目をむける多野。
「誰かに何か言われた?」
ニノ都の言葉に最近あった色々な事が頭を駆け巡り答えに詰まってしまった。その逡巡を見逃してくれる2人ではなかった。
「やっぱりそうか。アイツら・・・」
忌々しげ口を歪める多野。
私には幾つか思い当たる事があった為どの話だろうと言う考えと、それらの話をしてしまって良いものかと言う考えの2種類の思考が頭を過っていた。しかし、多野の「アイツら」と言う発言で何かを言われた対象が1つに絞られた。
内容的には話して良いものか考える余地はありそうだが対象が絞られたのはありがたい。そう、多野の言うアイツらとは「Stormを愛でる会」の事である。
「あはははははっ」
取り敢えず笑って誤魔化してみることにしたが、その選択は間違っていた様で、多野とニノ都は既に確信に近いものを持っていた様で、今日はその確認に来た程度のものだったらしい。先程のイラつきも私に対してはハッキリしない事に対する怒りと言うよりは寧ろ八つ当たりに近いものだった様だ。
2人は既に戦闘モードに移行している様で、あれやこれやと作戦会議を始めてしまった。
「あのー。あんまり事を荒立てられると私や凛まで被害が及ぶから多少目を瞑ってもらえると助かるんだけど・・・」
そう言ってみたものの、火のついた2人を今更止めることはなかった。
「それに関しては心配するな。今までは俺たちに実害が及ばなかったから黙認していただけだ。交友関係に・・・俺たち以外に口を出してくるって言うんならあんな組織認められないね。被害がない様にしっかり叩き潰すから大丈夫だ」
「そうそう俺たちに舐めた真似した事後悔させてやらなきゃ」
いたくご立腹の多野と笑顔で殺意を漲らせるニノ都の2人を止める術を私は持ち合わせていなかった。
ヒートアップする2人を置き去りにして、私は家へ帰る事にした。
その数日後、Stormを愛でる会からの正式な謝罪と会の解散が私と凛に報告された。
「会は無くなってしまったから私達には元会員を拘束する事ができないわ。過激派のグループが今回の事を逆恨みしていると言う情報もあるから気をつけて」
と元会長から言われた事で不安に思ったが、多野とニノ都もそんなことは想定済みであんな話をしていたんだろうし、今後の作戦に期待しよう。
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