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油断大敵

ーーーガチャリ。


 その音を聴いた時の私の感想は「油断した」だった。


 私はいつものように極力1人にならないよう注意をしながら生活していた。

 そう。あの日、2人が押し掛けてきて事態の収拾を図ると言った後も、極力1人になる事は避け、あの5人ともファンクラブメンバーとも・・・。


 今日だって凛と2人で生物室の掃除をしていた所だった。当番だった私に凛が付き合ってくれている形だった。掃除も半ば終わり、そろそろ道具を片付けようかと言うあたりで学校に設置してあるスピーカーから放送が流れる。


「2年の佐藤凛さん、職員室まで来てください。繰り返します。2年の佐藤凛さん、職員室まで来てください」


 私が色々と警戒してくれている事は知っている凛がどうしよう?と目で訴えてくるが、後は隣にある準備室と言う名の物置に掃除道具を片付けるだけだったので


「いいよ。行って来なよ」


と、笑顔で送り出したのであった。


 そして私は凛を見送った後、掃除道具を持って準備室に入ったのだが・・・

外から鍵をかけられてしまい、現在絶賛閉じ込められ中なのであった。中から鍵を開けようとドアノブを見ると、そのノブは内側からは開けられない仕組みになっていたのだ。生物室には様々なものが保管されている手前、陽光が入らないように窓の無い作りになっていた。完全な閉じ込められ仕様である。


「ヤバイなぁ。携帯とか全部鞄の中だぁ」


 掃除中は邪魔になるので鞄の上に携帯を置いたのが失敗だった。外との連絡手段がない。凛が戻ってきてくれる可能性が一番高いだろうと思い、しばらく待つことにした。


 生物室の中は、色々な物が置いてあった為、暇つぶしにはちょうど良かった。


 しかし・・・。いくら待っても凛は現れなかった。しかしよく考えれば、ここ生物準備室は生物室の隣であり、出入りはそこからしか出来ない。生物室の鍵までかけられてしまっていたら、わざわざ鍵を借りてきてまで中を確認しようとは思わないのでは無いだろうか。


 先に帰ってしまった私を不思議に思いながらも、閉じ込められているなどと言う想像などはしないだろう。


 今日は金曜日だから月曜日に学校が始まるまでは出られないのかな。とだんだん焦りが込み上げてきた。なんとか脱出できないかとあちこちを弄ってみたけれど、私の力ではこの部屋からどうやっても抜け出すことができない。


 悪戯に時間だけが過ぎていく。


 お腹空いた。


 喉渇いた。


 トイレ。


 眠い。


 ・・・。


 ・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・。


 一体どのくらいの時間が過ぎたのであろう。窓も無いこの部屋からは外の様子がわからない。体感時間はすごく長いような気もするし、すごく短いような気もする。

 途中うたた寝してしまったのも痛い。どのくらいの寝てしまったのか皆目見当もつかない。


「誰かぁー。出してよー」


 そう叫んでも狭い狭い部屋に言葉は反響するばかりである。


 ・・・。


 ・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・。


ーーーーガラガラ。


 遠くの方で生物室の戸が開く音が聞こえた。


「優希?いるの??」


 声の主は凛だった。


 私は今までの不安が一気に溢れ出し、準備室の扉に駆け寄り、思いっきり両手叩きながら


「りーん。ごごだよー。ごわがっだー」


 その声を聞きつけた凛が準備室の扉を開けてくれた。私は凛にしがみつきながら暫く泣きじゃくってしまった。


 私が落ち着くのを待って、取り敢えず学校の警備員室へと行った。扉が開いた時には気が付かなかったが、凛の後ろには警備のおじさんが控えていてくれたのだ。


 私の家から連絡を貰った凛があちこち探し回った結果、最後に別れた生物室を見にきてくれたと言う事らしい。流石に忍び込む訳にも行かず、警備員室へと行き事情を説明。おじさんをなんとか説得して鍵を借りてきてくれた説明された。


「あの時の嬢ちゃんの顔は恐ろしかった」


 と警備員のおじさんが当時の凛の様子を語ってくれた。それを聞いた凛は恥ずかしそうに横を向き、私は再び涙が溢れてくるのであった。


 遅くなってしまったので家に連絡して迎えにきてもらい、私はようやく家路に着くことができた。帰りの道中両親は凛にしきりにお礼を述べていたが、照れている凛の姿がとても可愛く思えた。


「ありがとう凛」


 私の言葉にも照れてしまい顔を背けたまま会話をしていた。

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