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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ノーマルルート
85/280

タイミングの問題?

「おい、起きろ。アスナ。おい!」

「ん……」


 いつの間にか眠っちゃってたみたい。

 目を開けると、不機嫌そうなクリームくんがわたしを見下ろしていた。


「今からディナーだが?」

「待って、行く!」


 このままじゃまた食べそこねちゃう!


「……お前、昼に降りていかなかったらしいな。まだ具合が悪いのか」

「そんなことないと思う。グッスリ寝ちゃってただけだよ〜。ほら、寝る子は育つって言うし」

「知らん。寝過ぎだ」


 う〜〜ん。確かに、言われてみれば寝過ぎな気がする。

 熱が引いた後、マカロンさんに言われて魔力を測ったら、すごく回復してた。そのときは、お昼から次の日の朝まで寝てたんだよね。今日は午前中にマカロンさんに会って、アイスくんたちと別れて、それからずっと寝てたわけだから……魔力、測っておこうかな。


 ドキドキしながらステータスを呼び出す。どうか、あんまり魔力が上がっていませんように……!


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

【名前】久坂 明日菜

【性別】女

【年齢】17

【所属】ギースレイヴン

【職業】奴隷

【適性】※※※

【技能】お菓子づくり

【属性】ツッコミ

【魔力】65/100(%)

【備考】シャリアディースによって連れてこられた・クリエムハルトの奴隷


 ☆ ☆

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


「ぶっ!?」

「おい、どうした」

「な、なな、何でもない!」

「何でもないことないだろう」

「ホントに何でもないったら! 早くごはん食べよ? ね? あ~、お腹すいたなぁ!」


 クリームくんの背中を押して、食堂に急ぐ。

 でも、心の中はパニックだった。だって、魔力が、魔力がぁ! 65パーセントに上がってるんだもん!

 MAXになったら、わたし、精霊になっちゃうんでしょお!? やだぁぁぁぁああ!


 早く何とかしないと……!


 そうだ、まず、首輪だ。首輪を外してもらわなくっちゃ。それから、魔力の使い方を教えてもらって、数値を減らさないと……。あ、向こうに帰れば魔力球があるから、それに吸い取ってもらえる! なら、やっぱり、早くここから脱出しないと……。


「アスナ」


 ああ、でも、脱出するのに誰に頼もう? コンちゃんはダメかもしれない。だって、アイスくんのこと怒ってたし、わたしのことを花嫁にしたいらしいから、元の世界に帰るためには協力してくれないかもしれない。


「アスナ?」


 なら、ソーダさんに頼むしかないけど、あのひとは気まぐれだもんなぁ~。本当に来てくれるかはわかんない。アイスくんが使ってた光の道は夜にしか使えないし……あ、でも待って、何もないところから現れたり消えたりしたし、そっちの方法で送ってもらえば……


「アスナ!」

「っはい!」

「食事中にボーッとするな。行儀が悪い」

「はい……すみません……」


 うう、12歳の子に叱られちゃった……。

 しょんぼり。


「ところで、アスナが言っていた工場の煙に関してだが、効果的な対策方法はないか?」

「えっ。そんなこと言われても困るけど……。そうね、やっぱりフィルターが真っ先に思いつくかな。そんなのもう、試してるだろうけど」

「いや、これまでそういうことを考えてきた者はいなかった。どんな意見でもありがたい。しかし、工場の煙が有害なら、列車の煙も有害なんだろうな……」

「列車? 煙を吐くやつがあるの? 電気じゃなくて?」

「電気……!」

「あ。えっと、あとは、見えないけど有害な化学物質が含まれてるはずだから、そういうの研究した方がいいと思う。それくらいしか言えないや。ごめんね」


 なんかマズイこと言っちゃったかな?

 でも、わたしこういうの詳しくないし、しょうがないよね。話題を変えよう、そうしよう。


「結界のことはもういいの?」

「…………」

「ジルヴェストについて知りたいことない?」

「いや、いい……」


 ありゃ。クリームくん、考えこんじゃった。

 そんなわけでせっかくの夕飯も、なんだか味気なくなっちゃったんだよね。


 ひとりで部屋に帰されて、しょうがなくわたしはお風呂に入ることにした。首輪の部分が洗いづらいけど、ずらしてなんとか洗う。ゆっくり入って出てきたのに、クリームくんはまだ戻ってきてなかった。


「どんだけ仕事熱心なの!」


 何かに熱中できるのはいいことだと思うんだけど、でも、この年齢で仕事にしか興味がないのは健全じゃないぞ!


 とはいえ、わたしはそのクリームくんを放り出して帰らなきゃならないわけで……ああ、もう!


「どうしよう……」

「何がだ」

「あ、クリームくん!」


 わたしがため息をついたタイミングでクリームくんが部屋に入ってきた。分厚い紙の束を抱えた護衛のひとがクリームくんに続いて入ってきて、テーブルにそれを置いて出て行った。クリームくんは着ていた上着をゆるめてソファにドカッと座ると、さっそく紙束を手に取った。


「あ、ちょっと。お風呂に入っておいでよ、クリームくん」

「いや、いい」

「いいから!」


 わたしはクリームくんを引っ張ってバスルームに放り込んだ。ついでに服も脱がせちゃお。


「おい、やめろ! わかったから脱がすな!」

「え~、いいじゃないべつに。減るもんじゃなし」

「うるさい! ダメなものはダメだ!」


 最終的に首輪の力で「出てけ」って命令されちゃった。

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