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わたし、異世界でも女子高生やってます  作者: 小織 舞(こおり まい)
ノーマルルート
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穴にはウサギ?


▶【ひとりで行く】 


「キャンディ、聞いて。わたし、ひとりで行ってこようと思うの」

「なっ、何を言っているんですの、アスナ!」


 わたしの提案に、キャンディは驚いた声を上げた。


「だって、向こうに行ったら、キャンディはかなり苦しいんじゃない? 一緒に来てなんて言えないよ……」

「いいえ、アスナ。(わたくし)なら大丈夫、行きますわ」


 わたしも、ひとりで行くのは不安だし、キャンディの気持ちは嬉しい。でも、やっぱり苦しい目にあわせるのは嫌だし、何より、ここでふたりともいなくなっちゃったら、いざという時に助けが来ない!


 わたしはキャンディに抱きついて、その耳に唇をぐぐっと近づけた。


「聞いて、キャンディ。ふたりとも結界の向こうに行っちゃったら、このことを誰にも伝えられなくなっちゃう」

「!」

「お願い、わたしが帰ってこなかったら、シャリアディースに伝えて」


 皮肉なことに、一番頼りになりそうなのは、あのシャリさんだった。わたしの本気が伝わったのか、キャンディは小さく頷く。そして、わたしを離すと、アイスくんの前に立った。


「貴方、名前は何と言ったかしら?」

「あ、アイスシューク、です」

(わたくし)はキャンディス・アーシェイよ。アスナを危険な目にあわせたら、絶対に許しませんわよ。おわかりかしら?」

「は、はい……」

「アスナを任せましたわ」


 アイスくんはビクビクしてた。

 う〜ん、めちゃめちゃ睨んでるんだろうなぁ。


「あ、あのっ、ぬ、抜け道を開くので、あの雑木林まで来てください」


 アイスくんがぴょこんと頭を下げる。わたしとキャンディは顔を見合わせて、アイスくんについて行った。


「結界を抜けるために、精霊の力を借ります。結界に穴を開けるんじゃなくて、地面に、穴を開けて……」

「なるほど?」


 それでこの大穴なワケね。

 底の見えない落とし穴って初めて見たよ。


「地面の下は、大地の精霊のテリトリーなんです。だから、結界もここまでは来てません」

「まさか、トンネル掘ってきたわけじゃ、ないよね? 海があるもんね?」

「ええと、クォンペントゥスの話だと、大地を介して別の場所に出られるとかで……わかり、ます?」


 コンペントス? クォンペートース? コン……もう、金平糖でいいや!


「コンペイトウさんって誰?」

「えっと、大地の精霊です」

「へ〜」


 精霊……精霊!?

 こんなに簡単に大地の精霊と接触できるなんて!


「精霊の力を借りるって、けっこう具体的に会話ができるんだね! すごいよ、アイスくん! ね、精霊ってわたしにも見える?」

「え……あ、はい……。でも、精霊は気まぐれなので……呼んで出てきてくれるかは、わからないです。あ、帰るときはちゃんとアスナさんを送り返してくれるはずですよ、一応……」


 しどろもどろなアイスくん。

 一応は余計かな。キャンディの目がさらに三角に尖っちゃう。


「あ……と、クォンペントゥス、出てきてくれる?」


 アイスくんは穴を覗き込んで、大地の精霊コンペイトウを呼んでくれた。しばらくして、穴から音がして、もそもそもそっと何かが出てこようとしていた。


 いったいどんなのが出てくるんだろう。

 わたしとキャンディは緊張しながら見守った。


 ぴょこんっとまずは頭だけ。顔を出した小麦色のモコモコは、お耳がピンと立ったウサギだった!


「いや〜〜〜〜! か〜〜わい〜〜〜い〜!」

「なんてことでしょう! 大きなウサギさんですわ〜〜〜!」


 ウサちゃんは本当に大きかった。わたしの体の半分以上あるんだもん! 小学校三年生とかそのくらいの大きさがある。キャンディもわたしも、穴から出てきたウサちゃんに抱きついて撫でまくった。


「すっごいもふもふ〜! ぬいぐるみみた〜〜い!」

「ふかふかですわ〜〜! なんて愛らしいウサギさんなの〜!」

「かわいい〜〜! かわいいよ〜〜! あなたがコンペイトウちゃんなのね?」

「アスナ、この子、今、頷きましたわよ! なぁんて賢いウサギさんなんでしょうね〜〜! クォンペントゥスちゃん!」

「気まぐれなのもしょうがないよね〜〜、だって、ウサちゃんだもんね〜〜〜!」

「まったくですわ! かわいいかわいいクォンペントゥスちゃん!」

「えええ……」


 かわりばんこにしなくたって、コンペイトウちゃんは大きいから思う存分もふもふできた。キャンディとふたり、何もかも忘れて抱っこしてスリスリして撫で撫でしていると、申し訳なさそうなアイスくんが割って入ってきた。


「あの、そろそろ……」

「あ、ごめんね。忘れてたや」

「…………」


 どことなく疲れた顔をしたアイスくんは、コンペイトウちゃんはここに残ることにしたと教えてくれた。わたしが帰るときは、ここから穴を掘ってキャンディのところまで連れて帰ってくれるって。……ってことは、キャンディはここでコンペイトウちゃんと遊べるのか。


「いいなぁ〜〜〜!」

「アスナさん……」

「オホホホホ! (わたくし)、喜んでお留守番させていただきますわ〜!」

「え〜〜〜ん! コンちゃん、帰ってきたらわたしにもまた撫で撫でさせてね!」


 コンペイトウウサギのコンちゃんに抱きつくと、コンちゃんはまるで頷くように頭を上下した。わたしは仕方なく、涙を拭きながら穴の方へ歩いて行った。


 ううっ、コンちゃ〜〜〜〜ん!

アスナmemo


◎コンちゃん

コンペイトウウサギのコンちゃん。

黄色くてふかふかの大きなウサギ。

大地の精霊らしいけど、ホントかな。

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