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ドイツ帝國に生きる  作者: 幽々夢 妖帝歌
二正面激戦
73/105

不穏な予見

 ー西部戦線ー


「嫌な予感がする……」


「え?」


ラインハルトはファルケンハインのもとを訪れていた。彼に呼び出されたのだ。

ファルケンハインは地図を見て唸った。


「うぅむ……、英仏が何かをしてくるのではないかと心配なのだ」


「根拠はあるのですか?」


ファルケンハインは頷くと、ある地域を指差した。


「ソンム……?」


「そうだ。ここ最近、英仏はこの地域での砲撃に力を入れている。我々がヴェルダンを攻めているというのに奇妙だ」


ラインハルトはその情報を知らなかった。


「砲兵である君ならどうみる?ここには作戦目標になるようなものもないし、幹線道路もない」


ラインハルトは即答できなかった。自分が敵側に立っていたなら、明らかにソンム地域を攻撃しないからだ。


「申し訳ありません。私にはなんとも……」


「そうか」


ファルケンハインは腕を組んで、鼻で大きく息を吸って吐いた。


「奴らが注意を逸らそうとしただけか……」


ラインハルトもそう思った。しかし、一つだけ気になることがあった。


「敵の戦闘機は現れましたか?」


「戦闘機?ああ、確か数十機ほど確認している」


ラインハルトはただの陽動作戦とは思えなくなった。地図上の敵の配置をじっと見る。


「何かわかったか?」


「もしかしたらですが、ここを攻めてくるのではないでしょうか?」


「ここを?」


ファルケンハインは理解できなかった。英仏にとって攻めるのに適している土地とは考えられなかった。


「シュライザー君、なぜ奴らはここを攻める?」


「まだ、根拠ははっきりわかりませんが、わざわざ戦闘機を使ってこの地域を重点的に砲撃しているのであれば、何かしらの作戦を行うのではないでしょうか?私ならそうやって計画を進めます」


ファルケンハインは再び地図を見た。


「ソンムを攻める作戦……」


「万が一にでもソンム攻勢が行われた場合、どうなりますか?」


「それを私に聞くのか?」


ラインハルトは言葉を失った。東にロシア軍の攻勢、西にイギリス・フランス軍の攻勢が行われれば、ヴェルダン攻撃どころではない。ヴェルダンの戦いに望みをかけるファルケンハインにとっては、とても耐えがたい状態だ。


「申し訳ありません」


「……我々の見当違いだと信じたいものだ」
















「イギリスの者たちは上手くやってくれるだろうか……」


「キッチナー殿が戦死なされてから、イギリスの志願兵たちの士気は高いように思われます」


「士気が高いだけでは戦争はやっていけぬ。重要なのは連携だ」


大陸には、イギリスの元陸軍大臣ホレイショ・キッチナーが募集して結成された新兵軍が続々と集まっていた。しかし、当の本人はロシアへ向かう途中の船で撃沈され戦死した。彼の死はイギリス国民を悲嘆させ、兵士たちの士気を上げた。


「あまり心配しない方が良いのでは?」


「これから大事な作戦を行うというのに心配するなと言うのか!?」


フランス軍参謀本部総長ジョゼフ・ジョフルはやはり不安であった。彼はこれから始まる大作戦に様々な思考を繰り返しては、ため息を吐いた。明らかに落ち着かない様子であった。

ジョフルは拳を強く握った。


「今度こそドイツを叩きのめす……」


「史上最大の会戦」が目前まで迫っていたーーー。

読んでくださりありがとうございます。投稿頻度が落ちてしまい申し訳ありません。もっと時間をうまく見つけて執筆するようにいたしますので、これからもよろしくお願いします。

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