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よん

最近忙しいので投稿遅いです

日差しが鬱陶しいほど照りつける昼。そんなある日にヤヨイは一人で街を歩いていた。


死神とて人と同じように営みがある。その営みはもはや人の生活に似てきている。いや、もう人だ。そのせいか、街並みは人間界のそれと同じ。違うのは道路がコンクリートか石畳かそれの違いくらいだ。


今は休日の昼であるから人通りが激しい。進もうとすると向こうから向かってくる人とが濁流のように迫ってきて進もうにも進めない。某友達を人質にして妹の結婚式に参加して、最終的に王様と友達になった人のような心境だ。


まぁ神には祈らないが。神なんて碌なやつがいないから。浮気はするし、勝手に人を殺すし、ろくでなしばっかだ。


そんなことを考えていると、前方からむさ苦しいほどの熱気が伝わってくる。そこを見れば何かの工房のようだ。煙突からは黒い煙が天に向かって昇っている。


だだっ広い空き地にポツリと建つその古びた工房に入った。


中はその熱気を完全に遮断しているようで、ひんやり涼しい。どうやらそこは店のようで刀剣や重火器が小綺麗に、ショーケースに並べられていたり壁に立て掛けられていたりと、外の外見とは真逆だ。


店員はいなかった。それは防犯的にどうだと思うがわざわざここで物を盗もうなんて輩はいない。それは後からわかる。


カウンターの奥、暖簾で区切られた場所から熱気を纏いながら来たのは二メートルを越える巨漢。腕は大木のように太く全身をくまなく覆うその筋肉の鎧。プロレス漫画で出てきても違和感がない男だ。


「よぉ、来たか坊主」

「来たよオッサン。アレできてるか?」

「俺が仕事をこなせないと思ってんのか?」


オッサンはそう言って、また暖簾をくぐった。その数秒後、戻ってきたオッサンの手には、ヤヨイの身長ぐらいの槍。真っ黒に塗られた槍は店の光が当たると宝石のように輝く。


カウンターに置かれた槍をヤヨイは手に取る。感触、質量、触った途端馴染む持ち手それら全てがしっくり来た。だが、ヤヨイにはふとした違和感が浮上した。それを直ぐにオッサンが拭った。


「それは改良型だ。前のやつはお前がボッロボロにしたからな。あのときは驚いた。ここら辺で一番頑丈な鉱石を使って作った槍があんなボロボロになるなんてな。あんなの見たの俺の人生で最初で最後だぞ」

「あのときは仕方なかっただけだ。年単位の仕事だったから」

「それはわかっている。で、どうだ?その改良型」


そう言ってからオッサンは椅子に座り、おもむろに自分の胸元をまさぐる。そこから煙草を取りだし火を着け咥える。店のなかに煙草の匂いが充満する。


「それを咥えなかったら完璧だった」

「うるせえ。まぁ槍は完璧ってことだな」


唐突にオッサンは鍵を投げつける。それをヤヨイは慣れたように受け取った。


「とりあえず使って所感を教えてくれ。違和感があれば直す」

「ああ」


ヤヨイは何故かある、修練場の扉を開いた。これからすることを考えながら。





また1人の死神が工房を訪ねた。


「しつれいしまーす」


金の髪が目立つ彼女は恐る恐る店に足を踏み入れる。相変わらず中は人がいなかった。


「おじさん、いますかー」

「おう」


入口から声をかけると珍しく返事が返ってきた。発生源はカウンターからだ。


「嬢ちゃん、久しぶりだな」

「うん、久しぶり」


目の前にいる巨漢は父の友人で古くから付き合いのあるドワーフ。彼の創る鎌は他のものとは比べ物にならないほど鋭いらしい。


「何を見てるの?」


彼の目の前には仕事に使っているパソコンが置かれており、なにかを見ているようだ。


「ああ、これか?」


彼は画面を反転させる。そこに映っていたのは――――


「……何これ」


ダークマターでできたゴーレムを一掃する、1人の男だった。

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