表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/46

10-1 刑期の知れない非行少年

【訃報】ワイ、死刑


◇1:名無しの元引きこもり

 終わった


 2:名無しの転生者

 草


 3:名無しの転生者

 ファーwww


 4:名無しの転生者

 終わってて草


 5:名無しの転生者

 笑ってる場合か?


 6:名無しの転生者

 見てる分には面白い


 7:名無しの転生者

 やっぱ前スレのアレがアカンかったか


 8:名無しの転生者

 弁護士君さぁ……これは何だい?


 弁1000:名無しの弁護士

 >>1000なら死刑!!!


 9:名無しの転生者

 うーんこの


 10:名無しの転生者

 なんで弁護士がクライアントの死刑を願ってんだよ


 11:名無しの転生者

 こっちの弁護士も敵じゃねーか!


 弁12:名無しの弁護士

 いやほんとマジごめん、ノリでやった。後悔はしてる。反省はしていない。


◇13:名無しの元引きこもり

 >>12

 ふざけんなお前! 早くなんとかしろ!


 弁14:名無しの弁護士

 >>13

 もう無理でーす。詰んでまーす。諦めてくださーい


 15:名無しの転生者

 クッソ投げやりで草


 16:名無しの転生者

 ちゃんと仕事しろや


◇17:名無しの元引きこもり

 >>14

 訴えるぞてめぇ


 弁18:名無しの弁護士

 >>17

 民事も得意なんですよ、その時は任せてください。


◇19:名無しの元引きこもり

 >>18

 お前だけには頼まんわ!


 20:名無しの転生者

 この弁護士無能すぎない?


 弁21:名無しの弁護士

 >>20

 いやちゃんと作戦立てたじゃん。フレッド連れてこれないイッチが悪い。


 22:名無しの転生者

 フレッド君まだ来てないの?


◇23:名無しの元引きこもり

 あ、なんか来てたわ


    ◆


 死刑。


 裁判長の口からその単語が静かに告げられた瞬間、法廷の空気が凍りついた。ざわめきかけた傍聴席も、まるで声帯ごと縛られたかのように沈黙へ沈む。


 フレッドは立ち尽くしていた。顔から血の気が引き、ただ呆然と前方を見つめる。その視線の先で、エインが警備兵に肩を掴まれ、連れ出されようとしている。


 エインの足取りには、謎の静けさがあった。うつむくでもなく、かといって希望に満ちてもいない。妙に落ち着いた顔で前を向き、抵抗の気配すら薄い。

 ……何かを考えているのか、何も考えていないのか。少なくともフレッドには、判別がつかなかった。


 その姿に、フレッドの胸の奥が遅れて裂ける。


「……エイン君!」


 エインが振り返る。フレッドを見つけると、ふっと表情がゆるみ、大きく手を振った。


「フレッド!」


 妙なほど明るい声だった。だがフレッドは笑えない。悔しさと悲しみが喉に絡み、言葉が震える。


「……ごめん、僕……」


 エインは肩越しに笑みを浮かべ、軽く言い返した。


「なに謝ってんの。間に合ったじゃん」


 自信満々だ。その顔には、まだ何か企んでいるとでも言いたげな厚かましさがある。


 だが、その空気を無視するかのように警備兵は容赦なくエインを抱え、そのまま連れ去ろうとする。


「ちょ、今いいとこだったのに! 空気読めよ! 痛いって!」


 足をジタバタさせて抗議する様子は、どう見ても寸劇の一幕で、傍聴席から思わず漏れた笑いが波紋のように広がった。


 フレッドが反射的に一歩を踏み出しかけた──そのとき。


「決闘執行法第七条!」


 引きずられながらも、エインは腹から声を張り上げた。


「『決闘において勝者となった者は、直ちに賭けに掲げられた代償を受け取る権利を有する』──これに基づき、その権利を、今この場で行使させてもらう!」


 一言で場内がざわつく。「今なんて?」「賭けって……」疑問が四方で弾け、空気が再び騒がしく膨らんだ。


「静粛に!」


 裁判長が木槌を三度叩く。乾いた音が法廷を切り裂き、私語を押し潰した。


「……落ち着いてください。ここは法廷です」


 傍聴席の声が細っていくのを待ち、裁判長はゆっくり身を乗り出した。冷ややかな声音で告げる。


「被告人の主張は、本法廷で審理されていた争点そのものです」


 口調には呆れと困惑、そして薄い皮肉が混じっていた。


「本件の決闘は、被告人が行使した殺傷力の高い魔法により相手に重大な傷害を与えた点を踏まえ、形式的な正当性を欠くと判断されました。したがって決闘は無効。法的には成立しておりません」


 冷たい沈黙が落ちる。


「この結論により勝者の立場は存在せず、賭けも成立しません。よって代償の行使も認められず──被告人に残るのは、王族に対する殺害未遂という極めて重大な罪のみです」


 エインは微かな笑みを浮かべ、静かに言った。


「ああそうだ、まさにその通りだ」


 軽く肩をすくめ、続ける。


「俺はこの国のルールには従う。判決だって、受け入れるつもりだよ」


 そう言い切ってから、わずかに口元を吊り上げた。


「……もっとも、〝決闘が成立していない〟ってのは、〝今の時点〟での話だがな」


 法廷の空気がぴん、と張りつめる。


 エインは一歩進み出て、咳払いを一つ。ひときわ大きな声を張り上げた。


「決闘執行法第十二条ッ!」


 壇上に響き渡る声に、傍聴席の背筋が揃って伸びる。……が、次の瞬間。


「決闘の……! えー、決闘の正当性は……! えーと……」


 自信満々だった声が急にトーンダウンした。眉が曇り、視線が宙を彷徨う。


「第三者による……確認……だったか……? いや、証言……だっけ……?」


 ドヤ顔がじわじわ青ざめていくのが、遠目にもはっきり分かった。


「正当性は……第三者による……確認……とかなんとか……」


 言葉が尻すぼみに消える。


 沈黙。傍聴席の温度が、確実に下がっていく。


 エインはついに額を押さえたまま、苦しげに呻いた。


「……あれ……何だっけ……?」


 その言葉と同時に、法廷内の誰もが彼から視線を逸らした。


    ◆


◇48:名無しの元引きこもり

 助けて


 49:名無しの転生者

 え?


 50:名無しの転生者

 急に何?


 51:名無しの転生者

 審判と王子も来たんやろ? 作戦通りやればいいだけやん


◇52:名無しの元引きこもり

 いや今決闘の条文読み上げるところなんだけど、何言おうとしたか忘れちゃった。


 53:名無しの転生者

 は?


 54:名無しの転生者

 えぇ……


 55:名無しの転生者

 覚えとけよ


◇56:名無しの元引きこもり

 無茶言うな! あんな長いの一個覚えるだけでも限界や!


 57:名無しの転生者

 頭ニワトリか?


 58:名無しの転生者

 何言おうとしてたの?


◇59:名無しの元引きこもり

 アレだよアレ! 決闘の成立には第三者がなんとかかんとかってやつ! 誰か教えて!


 60:名無しの転生者

 ああ、アレね


 61:名無しの転生者

 うんうん、たしかあの法律だったよな詳しくは覚えてないけど


 62:名無しの転生者

 昨日食べた朝ご飯ならちゃんと覚えてるよ


◇63:名無しの元引きこもり

 >>62

 そんな情報いらんわ! はよ法律教えてくれ! こっちは明日の朝メシすら危ういんやぞ!!


 64:名無しの転生者

 そんなん言われてもなぁ


 65:名無しの転生者

 ワイら素人だしいちいち覚えてへんわ


 66:名無しの転生者

 やっぱ本職じゃないと


◇67:名無しの元引きこもり

 そうや本職や! 弁護士ニキ! 早く教えてくれ!


 弁68:名無しの弁護士

 >>67

 えーやだ。>>19でワイには頼まんて自分で言ってたやん? もう契約期間は終わってまーす。


 69:名無しの転生者

 無慈悲で草


 70:名無しの転生者

 今度こそ終わりやね


 71:名無しの転生者

 あーあ、イッチがあんな事言うから


◇72:名無しの元引きこもり

 ほなら契約更新や! 対価は視界共有で撮った女の子の写真でどうや!

 最近知り合ったんやけど、お菓子作りが得意でめっちゃ美人の可愛い子やで。


 弁73:名無しの弁護士

 >>72

 決闘執行法第十二条『決闘の正当性および結果の確定は、原則として、勝者・敗者・立会人の三者による合意に基づいて成立するものとする。ただし、敗者に合理的な異議がなく合意を拒否した場合、立会人の判断により正当性及び結果を確定できる』


 74:名無しの転生者

 即落ち二コマ


 75:名無しの転生者

 変わり身早すぎだろ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ