お嬢様の欲しい花 第4話
最終回です。
「ごきげんよう。本日はご出席ありがとうございます。」
翌日わたくしは笑顔で下級生をお迎えしました。しかしわたくしの心は少しも晴れませんでした。真由様の来ない誕生会なんて意味がないのです。会は中止しようとも思いましたわ。だけどお母様はせっかく来てくださる方に申し訳ないからと言って予定通りやる事にしました。
わたくしのピアノの演奏への拍手やプレゼント。嬉しいけれどわたくしの一番欲しい物はありません。
「今から宝探しをしましょう。」
わたくしはこの宝探しに仕掛けをしました。どのカードにもメッセージを書かないでいたのです。だってわたくしの妹は真由様だけですから。当然お誕生会はわたくしの妹が決まる事なく幕を降ろしましたわ。
翌日の昼休み。いつもの場所に行きました。しかし真由様は来ていません。次の日もその次の日も真由様は来ませんでした。わたくしの事が嫌いになったのでしょうか?それともわたくしの他にお姉様ができたのでしょうか?その時でした。
「ねえ、真由さんの話ご存知?」
傍で昼食を取ってる下級生の話が聞こえてきました。
「ええ、入院されたんですって。」
「そうよ。2日前声楽のレッスンの帰りに馬車の中で突然発作を起こしてそのまま病院に運ばれたそうよ。」
真由様はわたくしを嫌いになったのでも他の方を選んだわけでもありませんでした。
「あの。」
わたくしは真由様の話をしている下級生の元へと向かいます。
「今の話詳しく聞かせてもらえないかしら?」
放課後わたくしは下級生から聞いた病院を訪れる事にしました。途中百貨店に寄り宝探しで使ったのと同じ薔薇のカードを買います。
病室につくと着物を着た中年の上品な女性がいました。真由様のお母様でしょうか?彼女はわたくしに気付くと一礼します。
「春江さん?」
やはり彼女は真由様のお母様でした。真由様はお倒れになってからずっと目を覚まさないでいるようです。発作の事を黙っていまのは心配をかけたくなかったからだそうです。お母様はわたくしが真由様に会うことを10分だけ許可して下さりました。
わたくしは薔薇のカードを取り出すとメッセージを書きます。
「J'offrier mon amour.」
フランス語で我が愛汝に捧ぐと。カードを枕元に置いて病室を出ようとした時です。振り袖を誰かに掴まれました。
「春江様。」
名前を呼ばれ振り向くと真由様が目を開けてわたくしを見つめておられました。
FIN




