お嬢様の欲しい花 第3 話
真由様のレッスンが終わると教室に戻ります。昼休みももうすぐ終わる頃でした。
「春江様。」
わたくしは市ノ瀬さんに呼ばれます。彼女は級の皆と盛り上がってるようです。
「どうなさったの?」
「春江様、私妹ができたのよ。」
市ノ瀬さんはわたくしに淡い水色の手紙を見せてきます。彼女は新入生から今朝手紙を頂いて今さっき返事を返したのです。つまりお姉様になったのです。
「おめでとう。お姉様。」
「春江様はどうなの?」
わたくしの脳裏に真由様の姿が浮かびました。
「春江様は華道部のあの娘?」
市ノ瀬さんは尋ねます。
「あら、春江様には他にもいるわ。ほら」
教室の入り口に目をやると小柄な紫の振り袖の少女が立っておられます。彼女はわたくしを見るなり一礼します。
市ノ瀬さんや級友に押され入り口に向かいます。
「あの、読んで下さい。」
少女は桃色の封筒を渡すと去っていきます。
封筒の裏側には「城山美令」と書いてありました。
「春江様、一体どの娘をお選びになるの?お手紙他にももらっているはずでは?」
市ノ瀬さんに尋ねられますがわたくしの心は決まっておりました。
そうだわ、いい事思い付きましたわ。
5月に差し掛かった頃昼休みにいつものように中庭へと向かいました。
「真由様、受け取ってくれる?」
わたくしは真由様に一通の封筒を渡します。
「今度の日曜日わたくしのお誕生会を開くのです。わたくしのピアノで貴女が歌うの。楽しい宝探しもするのよ。」
わたくしは真由様だけでなく紫乃さんや手紙を下さった娘を誕生会に招待しました。宝探しをやって見つけた娘を妹にするつもりです。カードは3枚そのうちの1枚だけメッセージを書いた当たりがある。わたくしは真由様にこっそり当たりのありかを教えて妹に、そして他の娘達にわたくしを諦めてもらおうと考えました。
「素敵なお誘いですね。是非。母も貴女の事をお話したらせっかくできたお友達は大事にするように言われましたので。」
「嬉しいわ。」
わたくしは真由様に抱き付きます。わたくし達はお友達、いえそれ以上の関係になるのです。
お誕生会の前日の夜わたくしは3枚そのカードを用意致しました。すみれ、さくら、そして薔薇。3種類の花のカードです。
真由様とはいつも薔薇の花が咲く中庭で会ってるから薔薇のカードがいいわ。わたくしが薔薇のカードにメッセージを書こうとしました。
「失礼致します。」
女中の少女お里が入ってきました。
「お嬢様、お電話でございます。住友という家の方からです。」
真由様から?わたくしは部屋を出ると電話のある居間へと向かいます。
「お電話変わりました。」
「貴女が春江さん?」
電話の相手は真由様ではありませんでした。
「わたくしは真由の母です。いつも真由と仲良くして下さりありがとうございます。明日のお誕生会ですが真由は出席できなくなりました。」




