38.魔剣の有用性
ゴワッ!
俺のいた場所を大きな黒い腕が通過していた。
あと少し遅れていたら危なかったな。
俺はそう思いながらも、飛んでくるギルへの反撃の準備をする。
ギルはこちらに跳んできながら腕を突き出した。
すると、俺を黒い腕が襲う。
さっきの黒い腕はギルの能力だったんだな。
「ホッ!」
俺は翼をはためかせ、横に避ける。
さらに、それを狙って跳んでくるレーザーたちを避けたところで、
「かかったなぁ!!」
喜びの声とともに、ギルが俺のがら空きの背中へと爪を突き出す。
カキンッ!
俺を貫くかと思われたその爪は、俺の背中から出てきたモノによってはじかれる。
驚きで体を固めたギルに、俺は後ろ蹴りを入れる。
角度的に見えなかったようで、ギルの腹にきれいに入った。
そのまま爪で頭を軽くたたく。
「よし。1体撃破」
俺はそうつぶやく。
そして、そのままギレとシャバスに向かって跳んでいった。
その後は一瞬だった。
シャバスが前衛、ギレが後衛という形で応戦してきたが、シャバスが俺の6本腕と2本の脚と1本の尻尾と、後はたまに出る頭突きに対応できず、即座に崩れ落ちる。
前衛のいなくなって後衛など、豆腐でしかないため、簡単に倒せた。
「、、、くぅ。ギルのアレがあれば、勝てると思ったんだがな」
「ちぇ~。残念」
「今度はどうすれば良いのやら」
「確かに強くなってたぞ。まあ、俺も新しい武器がなかったらやられてたんじゃないか?」
悔しそうにうなるシャバスたちに、俺はそう答える。
すると、ギルが何かを思い出したように質問してきた。
「そういえば、途中で何かに俺の爪がはじかれたけど、アレは何?」
「ああ。それは」
俺は応えるために手を上に上げる。
そして、突き出す!
「これだよ。剣だよ剣」
俺は笑って応えた。
だが、その時に違和感を覚える。
最初に貰ったときと比べて、明らかに魔力の量が多くなっている気がするのだ。
それはまるで、魔剣のように。
、、いや、これは魔剣なんだろうな。
「魔剣っていうのか?」
気づいたことをすぐに平然と付け加える俺であった。