食人奴隷。但木瑠花と捨て子。
出動体制を整えたメンバーはあてがないためとりあえず車に乗ることにした。駐車場で車に乗りラジオをつける。特に理由はない。が、ここに聞き覚えのある声が入る。
「あー、やっと喋れんのか。渋谷に来い。渋谷だ。そこが終わりの場所だ。」
間違いない。ユーファの声であった。何か狂気を孕んだようなその声。これを聞くだけで健師は苛立ちを覚えてしまう。河部に出発の合図を出し、車が走り出す。渋谷に向かって加速していく。ひたすら加速する。そして、ついに渋谷のスクランブル交差点。車を周辺の駐車場に止めた。何故かかなり空いていた。メンバーが全員車を降り、南が喋り出す。
「…着いたけど、出てくるところ絞れてんの?天気も悪いし、早く帰って」
この日の空は全国的に厚い雲が包み込んでいた。本当に終焉の日のような雰囲気が広がる。
「とりあえず分かれて探しましょうー。」
瑠花が言い、ほかの六人が合意する。感覚で分かれ、探し始める。トランシーバーを使いすぐに集まれるようにする。瑠花はスクランブル交差点から少し離れた狭めの道を中心に探すことにした。
長い髪をまとめ、なぜか車や人の通りが少ない道をひたすら走る。そうして目的の道に到着する。
そこには、フードを深く被った少女が座っていた。家出か捨て子か。とりあえず救わなくては。ユーファのことなど気にせず自然と口が開いた。
「どうしたの?大丈夫?困ったことがあったら教えて?」
少女はそう言われると瑠花の方を見る。瑠花はその少女の目を見ることは出来なかったが、少女の方は瑠花のことを認識しているようであった。瑠花は唯一見えていた少女の口がニヤリと笑ったように見えた。少女が手を伸ばす。それに釣られて瑠花も手を伸ばす。少女が瑠花の腕をがっちりと掴む。少女はその腕を口元に運んだ。「食べようとしている」と判断した瑠花は咄嗟に腕を引く。だが、瑠花の腕より若干細い腕にも関わらず、その力は瑠花の力がそれ以上。身の危険を感じた瑠花は霊能力を使う。口笛一つで守護霊を呼び出す能力。口笛の吹き方で呼び出す霊の種類は違う。その中でも最も簡単な呼び出し方が守護霊呼び出しだ。音程に関係なく一回吹くだけで発動する。
するとバチッと火花がちったかと思うと、少女と瑠花が離される。その反動で少女のフードは後ろにいき、その顔があらわになる。ものすごく目付きの悪い少女。それが瑠花がその顔を見た時の第一印象だった。今まで一切喋らなかった少女が口を開く。
「おー。その力、ユーファさんが言ってたグループの1人だね?私は食人鬼のファイリ。職業は…ユーファさんの『奴隷』かな?早速だけどあなたを食べるよ。嫌とは言わせない。これは確定事項。そういうわけだから!!よろしくねっ!!」
元気なユーファの奴隷を倒すこと。それが瑠花の最初の目標になったのであった。




