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第14章 馬鹿なことをしよう

 満員電車に毎日揺られて、十年、二十年、三十年。

 もし、それで何とも思わないのであるなら、あなたはいかれているかもしれない。


 電車の中にたくさん人を押し込んで走れば、輸送コストは下がる。

 誰もが決まったルーチンで物事を進めれば、成果は大きくなったように見え、失敗も少なくなる。


 子供の時分から学校で洗脳し、社会のルールの中で、上手く動作するような人間を造れば効率が良い。

 たまに、はみ出す輩が出れば悪者として扱い、社会から爪弾きにするか、もしくは歯車の一つになれるように再度洗脳する。

 このように、社会が効率化されたお陰で、人々は豊かになり、安全で快適な生活が約束されたのは確かである。


 でもね。

 遠い未来を見た時に、効率化の延長線上に美しき世界はあるのかな?

 苦労はなくなり豊かになったけど、本当に人々は幸せになったのだろうか?


 この先、リアルとの接点は、どんどんと薄れていくだろう。

 個人から見えるリアル世界は収縮し、仮想世界が広がっていく。そして、洗脳された人間達はより効率的な世界を構築していくことになるだろう。

 そこに見えるのは、ルールという鎖で縛られた殺漠とした現実と、現実から逃げ出した者がたむろう仮想世界である。

 効率を優先する限り、間違えなくそうなるはずだ。


 それが悪いとは言わないけど、そんな未来を見つめると、何だか哀れに感じる。

 もっと、無駄なことをしようよ。

 もっと、馬鹿なことをしよう。

 もっと、悪戯しちゃおうよ。

 ボトムキープは効率的に達成し、残った時間はダラダラと好きなことをして過ごすのがベストだ。

 他人に馬鹿だと言われても、無駄だと思われても気にすることはない。

 絶対にない。


 なぜ?

 百億の無駄の上に、一つの花は咲く。

 無駄を省けば、大切なものがすり抜けていく。

 失敗しなければ、新たな成功は得られない。

 世界に住む百億人が思い思いのことをすれば、凄いことができるかもしれない。

 絶対に徒労だと思える行為の先に、想像を超える未来が生まれるものだ。


 そうやって、生命は進化して、人間が生まれたのだ。

 奇跡でも何でもない。

 人間の愚かな脳で考察した論理範囲でやっていても、劇的な進化は生まれない。むしろ、未来の可能性は萎んでいく。人の愚行が、人の未来を壊しているようなものである。

 洗脳して、同じような人間を作り、飛び出すものを叩くなど愚策もいいところである。


 その先に、次のステージは存在しない。

 次のステージを切り開けなければ、いずれ、人類は滅ぶ。

 それに、単純な話、良い子ばかりが整然と並んでいる世界はいけ好かない。

 だから、馬鹿なことをする奴って、それはそれで価値があると思う。


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