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異世界男の娘ガンマン ~魔法が使えない能無でも弟の為に最強目指す~   作者: 冷えピタ
二章 首都ノーウィークへ 〜奴隷編〜
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25話 思惑とのズレ

あらすじ ユラちゃん、お母さんじゃないで

 ユラが眠っていた時間は実際の所そんな長い時間では無かった。


 10分か…15分か…。その程度の時間でまた戦えるまでに体が回復する銀狼族にバジルは呆れていた。

 しかしジン達と別れた後多少の時間が費やされたのも事実である。


 彼等の身が心配ではあるが今は余計な事を考えず足を早めるしか無い。


 カーマスの屋敷に到着しバジルがまず感じたのは屋敷の状態が思ったよりも綺麗であった事だ。


 ジン達が強硬な手段でここへ押し入ったのならば警備の人間との戦闘は避けられない筈にも関わらず、開け放たれた門の前に戦いの形跡はない。


 訝しみながらもバジルはカーマスの屋敷へと入って行く。門を越え、玄関の両扉に手を添えると装飾の施された扉の重さを感じつつも問題なくそれは開いた。


 中に入り周囲を伺うが、並ぶ扉は固く閉ざされており。人の気配こそ感じるがこちらへ襲いかかってくる様子は無い。


(罠か…?)


 ここに来て招き入れられているかの様な雰囲気にバジルは警戒しながらも屋敷の中を進んでいく。


 そうしてバジルがカーマスを探していると、閉ざされていた扉が1つ開き1人の男が顔を覗かせた。

 男は以前奴隷の仕事に従事するバジルを呼びに来たカーマスの手の者だ。


 最初の接敵にバジルは即座に臨戦態勢を取るが対する男はやれやれと首を振っている。


「そういきり立つなって、俺は社長から言われてお前を呼びに来ただけなんだからよ」


 半笑いの男の発言を受けてバジルはニヤリと笑みを浮かべた。






 ♢






 自分はどこかで間違えたのか?


 そんなはずは無い。アイツの望む様に楽しい事を提供し、アイツが齎してくれた物を最大限活かしてここまで成り上がってきたのだ。


 そんな自分が…今更見限られる筈がない。


「面白そうだからバジル君に会ってみてよ」


 そうビジネスパートナーである異端の少年は言った。

 最初はささやかながら起きた奴隷の反乱を待機させた部下達だけで処理させてしまおうかと考えていたのだ。

 自分の奴隷達への調教は完璧だと考えているカーマスはバジルに唆されて実際に動いたのは少数だと確信していて、そんな物は部下だけで充分だと思っていたのだが。屋敷を訪れた奴隷達の中にそのビジネスパートナーであるはずの少年の姿を見つけてから予定が全て狂ってしまった。


 ()()()()()()()()()()()()


 あの少年とは対等な立場に見えてその実、彼が本気で自分に命令をしようと思えば自分は逆らうことが出来ない。


 脱走に加担した奴隷達は自らの手で処理をして、部下達にはバジルが来た際手は出さず部屋で待機している様に命じてある。


 先程バジルが屋敷に到着したとの報告があり、自機にこの執務室へと辿り着くことだろう。


(あんな能無は用が済んだらさっさと娼館にでも売ってしまおうかしら)


 何故自分が能無ごときの来訪を待ち侘びねばいけないのだろうかと、忌々しげにキセルに火種を詰めるカーマスだったが、ノックの音が彼の思案を遮った。


「よおカマ野郎、来てやったぜ」


 能無の声など耳に入れるだけでイラついてしまうがこれであの少年への義理は果たしたと内心でほくそ笑む。


 カーマスの右目に宿っているのは異端の少年より賜った蛇女の魔眼(へびめのまがん)だ。


 魔力を集約し開放すれば己の視線を起点に石化の呪いが振り撒かれる。


 同じく異端仲間らしい少女があの能無に渡した異常に硬いだけの腕とは天と地ほどの差がある代物だ。これと、雷魔法の才能があれば誰にも負けはしない。


 まあ、魔法まで使う必要はないかもしれないが…ドアが開いた瞬間この魔眼を開放すればそれで終わりだ。


 所詮能無は能無。アルミンとかいう少女からは碌な物は貰っていないみたいだし、あの兵器の事を聞き出せばそれでもうかまわないだろう。


 ギィ…と、ドアが軋む音を響かせながらゆっくりと開く。


 ドアの隙間からシルエットが覗いた瞬間、カーマスは右目の魔力を解き放った。


 執務室の中を閃光と共に呪いが煌々と広がる。


 部屋の中にある()()()()()()()が光に照らされ黒々とした影を作った。


 やがて、閃光が収まり部屋の中が露わになって行く。


 そこにはバジルよりも先にここへと辿り着いたジン達の石像が苦悶の表情を顔に貼り付け固まっている。


 バジルもその中のコレクションに加えられた事を確認するためカーマスは開放した呪いを収めて視線をドアの方へと向けた。









 そこにはボコボコされ青痣だらけになり顔の形状が変わった部下が石となっていた。


「っ!!!お前…」


「遅い!!」


 石像のかげに潜んでいたバジルがここまで案内してくれた男をカーマスの方へと蹴り飛ばす。

 カーマスの方も下手を打った部下に容赦は無く、キセルを握った方の腕で殴って退かすが、その間にバジルは最後の魔弾を放つ為の準備を終えていた。


 閃光を間近で浴びなければ石にはならない。一度煮え湯を飲まされた経験と奴隷達の話からバジルは技の性質に当たりをつけていた。


 とは言ってもそれが真実である保証なども無く、バジルは己の運にかけるしかなかったのだが…。

 今回は勝ったから良いものの、バジルは自分の綱渡りな生き方に自嘲気味にため息を漏らす。


「自分の命をチップにしたギャンブルなんてもう勘弁してほしいな」


 カーマスは魔障壁を展開し始めるがもう何もかもが遅い。


 魔弾は魔力に壁を突き破り、女装した美丈夫の額を貫くだろう。


 手持ちのカードが切れているバジルにカーマスを倒すチャンスはこれで最後だ。


 終わりにする為指にかかった引き金を引こうとするバジルであったが、褐色のほっそりとした掌がそれを遮った。




ありがとうございました!

少しでも続きが気になったらブクマや批評コメントの方を是非ともよろしくお願いいたします!!!!!

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