89ある二人の覚悟
ある女視点とある男視点。
あなたの手を決して掴んではいけない。
私が先にあなたを捨てたのだからそんな権利はない。
でもあなたはまだ私を信じて待っている。
私は…………。
もしあなたが全てを知ったとしても、その手を差し伸べてくれますか?
私は助かりたいわけではない。
助かろうとも思わない。
けれど、あなたの温もりを感じたい。
私を元気付けるあなたの存在を感じたい。
私のことが大嫌いでも良いからーーどうかあと少し頑張る勇気を、こんな私にください。
それであなたを害する全ての存在から守ってみせましょう。
◇◇◇
世の中ままならないことが多い、とよく聞く。
確かにそうだ。
将来肩を並べて戦うと思った親友二人は、今は敵となり。これからもっと指導してくれる存在だった前理事長は、俺がたどり着く前に死に。守らなくてはいけない存在だった生徒は、今回は無事だったとはいえ危険な目に合わせてしまった。
他には、親に捨てられ学園に駆け込んだ少女、大人にせっかくの才能を利用されてしまった少女、黒ユリに無理矢理連れられて忠誠を誓わされた少年、自身の魔法が原因で大切な人を亡くした少女。
本当にどうしようもない現実がたくさんある。
だが、今回得た情報は……………。
俺にとっては救いのあるような話で、同時に最悪な話でもあった。
ーーああ、どうしてくれよう。
俺の親友をここまで傷つけ、まだ幼い少女をここまで追い込むとは………。
まだ言えない、行動はできない。
だか、急がなくてはならない。
奴に気づかれる前に、全てを終わらせなければ!!
俺は周りを欺くように、顔に力をいれた。
「さて、今日も一日がんばるか…」
次から白ユリ団研修編、始まります。
10月以降に投稿する予定です。




