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追放された支援術師、現場では評価されていました 〜俺がいなくなった結果、勇者パーティーは崩壊しました〜  作者: 黒羽レイ


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第38話(最終話) 判断は、残る

 大きな変化は、起きなかった。


 王都の制度は、

 以前とほとんど同じ形を保っている。


 中央判断は続き、

 会議室は今日も稼働している。


 数字も、

 劇的には変わらない。


 それでいい。


 外縁部では、

 小さな判断が、今日も行われている。


「……中央に上げるほどじゃないな」


「でも、

 放っておくのは危ない」


 そんな会話が、

 どこでも交わされていた。


 誰かの名前を出すことはない。

 誰かの判断に責任を押し付けることもない。


 ただ、

 考えた結果として動く。


 それだけだ。


 被害は、

 ゼロにはならない。


 小さな失敗は、

 今も起きる。


 だが、

 誰も黙らない。


 それが、

 以前との一番の違いだった。


 王都の詰所。


 俺は、

 いつもの席で書類を整理していた。


 肩書きは、特にない。


 判断役でも、

 顧問でもない。


 ただの、

 名前のない役割だ。


「……外縁部の件ですが」


 官僚が、

 一枚の紙を置く。


判断により対応

被害発生せず


 短い報告。


 だが、

 その行には、

 “待った”という文字がない。


 俺は、

 それを見て、

 静かに頷いた。


「あなたがいなくなって、

 混乱はありませんでしたか?」


 官僚が、

 不意に聞いてきた。


 少し考えてから、答える。


「混乱は、

 あります」


 正直な答えだ。


「でも、

 それは悪いことじゃない」


 判断に迷う。

 意見が割れる。

 間違える。


 それらは、

 全部“考えている証拠”だ。


 考えることをやめた組織だけが、

 本当に壊れる。


 夕方。


 詰所を出ると、

 街はいつも通りだった。


 商人が行き交い、

 子どもが走り、

 何事もない一日が終わろうとしている。


 この「何事もない」は、

 誰かの判断の積み重ねだ。


 名前も残らない、

 小さな判断の。


 俺は、

 立ち止まって空を見上げた。


 特別な達成感はない。

 胸が熱くなることもない。


 ただ――

 これでいいと、思えた。


 判断は、

 誰かが握るものじゃない。


 集めすぎても、

 任せすぎても、

 うまくいかない。


 だから、

 考え続けるしかない。


 現場で。

 その場所で。

 その時間で。


 俺がいなくても、

 判断は残る。


 誰かが考え、

 誰かが迷い、

 それでも動く限り。


 それが、

 この世界で一番、

 確かな支え方だった。


 英雄はいない。

 完璧な制度もない。


 だが――

 沈黙だけは、

 もう起きない。


 それで、十分だ。


 物語は、

 ここで終わる。


 判断は、

 今日もどこかで、

 続いている。 大きな変化は、起きなかった。


 王都の制度は、

 以前とほとんど同じ形を保っている。


 中央判断は続き、

 会議室は今日も稼働している。


 数字も、

 劇的には変わらない。


 それでいい。


 外縁部では、

 小さな判断が、今日も行われている。


「……中央に上げるほどじゃないな」


「でも、

 放っておくのは危ない」


 そんな会話が、

 どこでも交わされていた。


 誰かの名前を出すことはない。

 誰かの判断に責任を押し付けることもない。


 ただ、

 考えた結果として動く。


 それだけだ。


 被害は、

 ゼロにはならない。


 小さな失敗は、

 今も起きる。


 だが、

 誰も黙らない。


 それが、

 以前との一番の違いだった。


 王都の詰所。


 俺は、

 いつもの席で書類を整理していた。


 肩書きは、特にない。


 判断役でも、

 顧問でもない。


 ただの、

 名前のない役割だ。


「……外縁部の件ですが」


 官僚が、

 一枚の紙を置く。


判断により対応

被害発生せず


 短い報告。


 だが、

 その行には、

 “待った”という文字がない。


 俺は、

 それを見て、

 静かに頷いた。


「あなたがいなくなって、

 混乱はありませんでしたか?」


 官僚が、

 不意に聞いてきた。


 少し考えてから、答える。


「混乱は、

 あります」


 正直な答えだ。


「でも、

 それは悪いことじゃない」


 判断に迷う。

 意見が割れる。

 間違える。


 それらは、

 全部“考えている証拠”だ。


 考えることをやめた組織だけが、

 本当に壊れる。


 夕方。


 詰所を出ると、

 街はいつも通りだった。


 商人が行き交い、

 子どもが走り、

 何事もない一日が終わろうとしている。


 この「何事もない」は、

 誰かの判断の積み重ねだ。


 名前も残らない、

 小さな判断の。


 俺は、

 立ち止まって空を見上げた。


 特別な達成感はない。

 胸が熱くなることもない。


 ただ――

 これでいいと、思えた。


 判断は、

 誰かが握るものじゃない。


 集めすぎても、

 任せすぎても、

 うまくいかない。


 だから、

 考え続けるしかない。


 現場で。

 その場所で。

 その時間で。


 俺がいなくても、

 判断は残る。


 誰かが考え、

 誰かが迷い、

 それでも動く限り。


 それが、

 この世界で一番、

 確かな支え方だった。


 英雄はいない。

 完璧な制度もない。


 だが――

 沈黙だけは、

 もう起きない。


 それで、十分だ。


 物語は、

 ここで終わる。


 判断は、

 今日もどこかで、

 続いている。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この物語は、

「強い主人公が活躍する話」でも、

「世界を変える英雄譚」でもありません。


むしろ逆で、

誰かが正しすぎると、

 周りが考えなくなってしまう

そんな違和感から書き始めました。

完璧な制度はなく、

失敗はゼロにならず、

それでも毎日は続いていく。


だからこの物語の結末は、

「勝利」でも「改革」でもありません。


沈黙だけを、止めた。

それだけです。


もし読み終えて、

「派手さはないけど、少し考えさせられた」

そう感じてもらえたなら、

作者としてはこれ以上ない成功です。


感想・評価などいただけると、

とても励みになります。


ここまで本当に、ありがとうございました。

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