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左手


無意識に握ろうとして

ぎゅっと空を握った



ああ あの人の手では

無かった

あの節のある手では

無かった



嘘がつけない

ショパンの左

両手であれば

嘘は無いのに



何も言わず

ただ 黙って

空を駆り

消えた 筈なのに



ああ あの人の

声が聞きたい

あの低い

声が聞きたい



狂おしく

思いの丈虚しく

宛名だけの絵葉書



ドアの前

気配読む術を

封じたのは

いつの日だったか



ああ あの人では無かった

あの人では



ミケランジェロから見る

空は薄く

あの街の 狭き空とは

比べ物にならぬのに



ああ あの空では

無かった

あの空では



ふいに



握られた手

覚え有りて振り向く



張った手

捕らえられて

包まれ 祈られ 受け入れ 抱かれ



もう 失うことは

無かった

もう 離せ

られなかった








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