9.おっさんネーリシのダンジョンに潜る3
9話目の投稿です
誤字脱字がありましたら感想文などでお知らせください
異世界転移した俺こと麻野新は、ナターカが臨時でクエストに行って、戻ってくるまで二人で二階層でウッドウルフを狩り、ナターカが戻って来てからも三人で狩りを続けた。
三階層を目指す為、二階層で狩りをしながら、少しづつ、ギルドなどで三階層の事を調べて行った。
三階層では基本は漆黒牛がいて、レアの魔物としてミノタウロスがいる。
この前ナターカがダンジョンで教えてくれたとこだ。
他にも三階層は二階層と同じで洞窟型だが、二階層の様に入り組んでいるわけではなく、単純な道になっていて、道幅や天井は二階層よりも広いみたいで馬車が三台から四台位通れるみちになっている。
その代わり、魔物が多くいるみたいで、一体づつを相手にするという事も出来ないようだ。
一体を相手にすると、他の漆黒牛が気付いて攻撃してくるそうだ。
ナターカとサミアの二人と相談して、三階層に挑戦するのは、あと一ヶ月経ってからにした。
俺はともかく、サミアのレベルが少し足りないらしい。
一応、ダンジョンには推薦レベルがあり、それを目安にダンジョン探索を行うらしい。
あくまでも推薦であり、絶対ではないそうだが、それでもあった方がいいそうだ。
実際に推薦レベルを設けて、冒険者達に告知したら死亡者が減ったそうだ。
それでも、調子に乗っている者や忠告を無視する新人冒険者などが死亡するらしい。
まぁ、冒険者なんて自己責任だから仕方ない。
俺も、サミアもそんな無謀な事はしないので、安全が確保出来るまでは、油断はしない。
だからと言って、確実に安全かと言われればそうでもないので、気を付けて行こうと思う。
今日もいつも通り、二階層でレベル上げをしていると、何やら向こうから、物凄い音がしてきた。
段々と音が近づき、姿が見えてきた時、三人の冒険者がこちらに走ってきた。
その後ろにウッドウルフが複数追いかけてきており、明らかにこちらと遭遇する形になる。
ナターカは舌打ちし、俺とサミアに声を掛け、走り出した。
俺は二人(+最初に追われていた三人)と一緒に一階層まで走っていた。
途中にいた冒険者達も俺達の後ろにいる魔物を見て走り出した。
それに伴い魔物であるウッドウルフも数を増やして追いかけて来ており、何度か繰り返していたら前は冒険者達、後ろはウッドウルフの群れが追ってきていた。
その中で走りながら冒険者達は怒鳴り合っていた。
「お前達!また連れてきたのか!、この前もやったのにまだこりてなかったのか!」
「仕方ないだろ!一階層だとレベルの効率が悪いんだよ!」
「そう言って!今回もこうなってんだろうが!」
「そう言ってないで走れ!」
ナターカは言い合っていた冒険者達に怒鳴りつけた。
そのまま一階層の入口まで行くと、そこで狩りをしているたくさんの冒険者達いた。
一人の冒険者がこちらに気付き、慌てて階段を駆け上がり、それに吊られるように他の冒険者達も駆け上がって行った。
俺達も、階段を駆け上がり、一階層に着くと後ろを振り返った。
ウッドウルフは追いかけて来ていなくて、その場で座り込んだ。
そこにいる魔物は基本的には階層を跨げないそうだ。
例外として、テイムした魔物やダンジョンの意思などが有るらしい。悪い例だが、スタンピードがそうだ。
あと力ある魔物も階層を跨ぐこともあるそうだ。
取り敢えずは安全になったので、息を整えて立ち上がり、また、言い争っている冒険者達を見た。
ナターカがそれを仲裁して、説明の為に一旦ギルドに戻るという事で、俺達はぞろぞろと向かった。
ギルドに着き、ナターカが今回の事を話すと受付も「またですか」と呆れていた。
受付の人は「しばらくお待ち下さい」と言って、奥の部屋に行った。
しばらくすると、奥の部屋からさっきの受付の人とは別にかなり露出した格好の女性が出てきた。
その女性は冒険者ギルドのギルドマスターの人で、名前はリンリアーネ・ベルクスと言うらしい。
「それで、話は聞いたけど、またやったんだね貴方達は…」
「………」
「この前もやらかして、注意も受けて、その上、二階層に行くことを禁じた筈。なのに……それを無視して二階層に向かった……。貴方達は余程冒険者を辞めたいようね……」
「それだけは勘弁してください!」
三人は揃ってジャンピング土下座をギルドマスターかましていた。
傍から見ると借金取りに借金を待ってもらっている構図に見える。
「貴方達はランクをFまで降格させてもらうわ、異論は認めないからね。それから、この街でのダンジョン探索そのもの禁止にさせてもらうわ」
「そんな〜」
「当たり前でしょ?何度も同じ事されたらこちらとしても困るのよ」
受付がガックリとうなだれでいる冒険者達からギルドカードを受け取り、透明な板に載せて操作してから、冒険者にギルドカードを返した。
そして、三人の冒険者達はそのまま出て行った。
「ありがとね、知らせてくれて」
「いえ、どういたしまして」
「あれで彼らが諦めてくれたらいいんだけど……」
「それでもだめだったら?」
「その時は冒険者資格を剥奪するしかないわね」
その後は解散となり、俺、ナターカ、サミアの三人は再びダンジョンに潜り、レベル上げに勤しんだ。
一ヶ月経ち、ようやくサミアが推薦レベルに達したので、三階層に向かった。
ちなみに今のステータスはこんな感じだ。
______________
麻野新:Lv156
体力:20500
魔力:9800
力:S+
素早さ:A
丈夫さ:A
器用さ:S
運:A
ジョブ
短剣士Lv10、暗殺者Lv10、下級剣士Lv6
スキル
言語翻訳、洗浄魔法Lv10、無限収納魔法Lv7、飲水魔法Lv10、気配遮断Lv10、魔力操作Lv10、気配察知Lv10、夜の目Lv8、意思疎通Lv7、契約召喚Lv1、テイマー鑑定
称号
スライム殺し《スライムスレイヤー》
アルミラージ殺し《アルミラージスレイヤー》
――――――――――――――――――――――――――
スライム︰ネーム名ライム︰Lv58
体力:3460
魔力:780
力:D+
素早さ:E
丈夫さ:E+
器用さ:E-
運:D
ジョブ
スキル
消化
称号
――――――――――――――――――
ジョブの剣士が進化して下級剣士になり、県並み上がったが、契約召喚は上がらなかった。
まぁ、ライムとは常に一緒にいる為、召喚は基本的しないし、他にテイムした魔物いないから、上がらないのも無理はない。
今は剣士を極めて、一番上の剣神を目指したいと思う。
因みに剣士のジョブは、剣士、下級剣士、中級剣士、上級剣士、剣豪、剣王、剣帝、剣聖で最後に剣神になる。
普通は一つ上げるのに何年も費やすらしいが、俺の場合は渡り人の特典のおかげなのか、レベルとステータスが上がりやすく、ジョブやスキルを習得しやすくなっている。
だからと言って、二次小説とかに出てくるオリ主や踏み台転生者みたいになるつもりもない。
やはり、地道に努力したほうが強くなる。
ダンジョンに着いてから、一階層、二階層と下りていき、三階層の入口にやってきた。
三階層の入り口にはやはり、冒険者達がいて、漆黒牛を相手にしていた。
冒険者達は上手く、漆黒牛の突進を避けて、左右の側面から攻撃を仕掛けている。
攻撃を受けた漆黒牛は地面に倒れ、そのすきに冒険者達は攻撃を加えていった。
一応あれが、漆黒牛のシンプルな倒し方だ。他にには盾職が正面から盾で受け止めて、そのまま剣で目を刺して、転倒させてから周りの仲間と一緒に攻撃している。
俺達も入り口付近で漆黒牛を探し、見つけてから、三人で話し合った作戦で攻撃した。
まず、サミアが火属性魔法で攻撃して、ダメージを与えながら注意をひき、俺とナターカで側面から攻撃を加えて転倒させてから、サミアが再度、火属性魔法で攻撃をして倒した。
出て来たドロップアイテムは、漆黒牛の角と漆黒牛の肉だった。
肉は食材として需要があり、角は武器防具の素材と薬の材料にもなる。特に錬金術士が欲しがるそうだ。何の薬になるかは、分からないが。
それを回収しまた、漆黒牛を探し、先程の作戦で倒してを繰り返した。
三階層の入り口は冒険者が沢山いる為、漆黒牛を二体以上を相手にする事も無い。
そのおかげで、スムーズに漆黒牛を倒すことができる。
昼頃になり、一旦入り口の階段に登り、そこで座って、収納魔法で持ってきていた昼食取り出して食べ始めた。
三階層まで来ると、昼食の為に外まで出るのが大変な為、ほとんどの冒険者は交代で見張りを立てながら休憩したり、食事をしたりする。
魔物を無視して戻るか、一撃で倒して戻れば早く戻る事も、出来るが、そんな事ができるのは強い冒険者だけで、このダンジョンにいる大半の冒険者は一撃では倒せず、魔物を無視して戻ろうとすると、この前みたいに魔物に追いかけられて、モンスタートレインキルをしてしまう可能性がある(この世界でも渡り人が言って定着したがこの世界の人は余り意味を理解をしていない)その為、階段などで食事をしている。
三人で食事をしている間も他の冒険者達が、漆黒牛を相手にしている為、ある程度は安心して食事が出来る。
食事も終わり、再び下に下りて、漆黒牛を刈っていった。
ある程度狩り終えた頃に奥の方からドスドスと音がしたので振り返って見てみるとミノタウロスが居た。
ミノタウロスは持っていた斧を振りかぶって、そのまま振り下ろしてきた。
すかさず近くにいた盾持ちの冒険者が斧を受け止めて、
周りの冒険者達と連携して攻撃をしていた。
他の冒険者冒険者達も集まって、協力して狩っていた。
俺達も参加してミノタウロスに攻撃して、ダメージを与えていき、遂にミノタウロスを倒すことができた。
ドロップアイテムはミノタウロスの肉と角が出て来た。
角は最初に戦ったパーティーが受け取り、肉の方は上手く分配した。
その後も漆黒牛を相手に狩りを続け、夕方あたりで終わりにしてダンジョンを出た。
ギルドにつく頃には、夜になっていた。
そこで換金して、金を分配してから、店で飯を食べてから宿に戻った。
次の日からも三階層に行き、漆黒牛を倒していき、夕方あたりで終わりにしてを何度も繰り返した。
時々ミノタウロスが出てきて、近くの冒険者達と協力して倒したりもして、大分三階層の魔物に馴れてきた為、三階層の奥に進む事にした。
三階層の奥に進んでいくと冒険者も少なくなっていき、ある程度来ると他の冒険者はいなかった。
時折、金属などの音が聞こえるので見えないが、他の冒険者が近くにいるのがわかった。
他の冒険者達が居ない為、複数いる漆黒牛を上手く一体づつ倒していき、周りに漆黒牛がいなくなる頃には、昼ぐらいになっていた。
昼食は交代でたべながら周りを見張り、食べ終わったら、漆黒牛をまた探して、刈っていった。
途中でミノタウロスを見つけたが、近くに他の冒険者達がいない為、バレない様に離れていった。
その後も漆黒牛を刈り、時々、他の冒険者達とすれ違い、それぞれ挨拶しながら、軽い情報交換をして、別れた。
情報交換をするのはこの先にミノタウロスがいるかどうかなどだ。
もし、ミノタウロスがいたら、引き返したり、他の冒険者パーティーを見つけ、協力したりしなければいけないからだ。
俺達の人数だとミノタウロス相手にするには厳しすぎるから、絶対に他の冒険者パーティーが必要になる。
もし、遭遇したら、全力で逃げないといけない。
ミノタウロスは速さはそんなにない為、全力で走れば逃げ切ることができる。まあ、会わないのが一番なんだが。
その後はミノタウロスに会うこともなく、刈り続けて、夕方ごろにダンジョンを出た。
二階層と違って、三階層の魔物は経験値も多いのか、三人のレベルも上がっていた。
______________
麻野新:Lv83
体力:14500
魔力:8700
力:S
素早さ:B+
丈夫さ:B+
器用さ:A
運:A
ジョブ
短剣士Lv10、暗殺者Lv10、剣士Lv4
スキル
言語翻訳、洗浄魔法Lv10、無限収納魔法Lv5、飲水魔法Lv8、気配遮断Lv10、魔力操作Lv8、気配察知Lv10、夜の目Lv5、意思疎通Lv6、契約召喚Lv1、テイマー鑑定
称号
スライム殺し《スライムスレイヤー》
アルミラージ殺し《アルミラージスレイヤー》
――――――――――――――――――――――――――
スライム︰ネーム名ライム︰Lv28
体力:2040
魔力:680
力:D
素早さ:E
丈夫さ:E+
器用さ:F+
運:D
ジョブ
スキル
消化
称号
――――――――――――――――――
前よりも少し上がっているが、それでもミノタウロス相手には、厳しい。
ステータス的にもしかしたら一人ならいけるかもしれないが、それでも安全第一が優先だ。
ギルドについてから換金して、いつも通り、そこで解散した。
次の日も三人で三階層へ行き、漆黒牛を刈っていると、他の冒険者パーティーが、こちらを誘ってきた。
どうやら近くでミノタウロスを発見したらしくて、一緒に討伐しないかという話らしい。
向こうのパーティーは男が一人に女三人の構成でそれぞれが、剣士、魔法使い、僧侶、弓術士になっている。
因みに男が、剣士とパーティーリーダーを努めているみたいで、しかもなんかチャラチャラしていた。
チラチラとサミアを見ながらナターカと話をしていて、ナターカもそれには気付いて、上手く遮る様に移動しながら話をしていた。
ナターカがこちらに戻って来て、どうするか相談してきた。
ナターカは相手を知っているみたいで、どういう人物か教えてくれた。
やはり、典型的なチャラ男で、普段からナンパをしまくっているらしく、素行も悪いらしい。
それでも、三階層まで来る実力はあるらしく、質が悪いらしい。
大きな問題も起こしている訳でもない為、ギルド側も注意にとどめているそうだ。
確かに、そんなのを冒険者から脱退させてたらきりがない。
三人は相談した結果、組む事したがもう少し待ってもらうことにした。さっき気配察知で奥から人が来るのを察知したからだ。
少し待つと奥から違う冒険者パーティーがやってきたので、ナターカがそのパーティーのリーダーと相談して、そちらもOKが出たので三パーティーで行うことになった。チャラ男の男は文句を言っていたが。
もう一つのパーティーは男三人で一人は大柄で盾持ち、一人は大剣を背負っていて、最後の一人はローブを着て、杖を持っていた。
それぞれのパーティーの連携を取るためにリーダー同士で話し合いをしたが、チャラ男が騒ぎ出し、ナターカともう一人は呆れていた。
しばらくして、作戦も決まり、奥へと進んで行った。
進んでいくうちに、ミノタウロスの気配を感じその気配が段々と濃くなってきた。
ミノタウロスが見えて来て、全員が戦闘態勢に入り、盾持ちがミノタウロスの正面に構えた。
ミノタウロスは斧を振り下ろし、盾持ちが斤受け止め、その間に前衛職は攻撃して、離れたところで後衛職が攻撃した。
僧侶である女性は盾持ちに補助魔法をかけて耐えられる様にして、それを何度も繰り返した。
ミノタウロスも段々と傷が増えていき、大剣持ちが、片脚を切り落とし、バランスを崩し倒れた所を一斉に攻撃をした。
もはや、息の虫の所をチャラ男が止めを刺し、ミノタウロスは絶命した。
出て来たドロップアイテムは、パーティー同士で均等分け、出て来た角は盾持ちの彼の活躍があったから彼等のパーティーに渡そうと言う話になったのだが、またも、チャラ男が駄々をこねてきて、「この僕が活躍してなおかつ、とどめを刺したから勝てたんだ」と言い出した。
その場にいる全員が呆れ、彼のパーティーの女性三人が彼と話して、渋々だが納得してもらった。
その後は解散という事で別れようとしたのだが、案の定チャラ男がサミアに話しかけていた。
サミアは困惑した表情しながら聞き流し、おれたちの方へ来た。
チャラ男は俺達を睨みながら、それでも離れていった。
俺達三人も一旦三階層入口にまで戻り、階段で少し休んでから刈りを再開した。
夕方になり、ギルドに戻るとチャラ男がいて、またサミアに話しかけてきた。
俺は換金為に並んで、ナターカはチャラ男の相手をしていた。
換金が終わり戻ってくると、ナターカがチャラ男を止めていて、サミアがナターカの後ろに隠れていた。
その騒ぎで周りの冒険者達が注目し始めた頃、奥の部屋からギルドマスターであるリンリアーネが出てきて、どういう事なのか聞いてきた。
ナターカが事情を説明し、リンリアーネはまたかと呆れていた。
リンリアーネはチャラ男に注意し、これ以上騒ぐなら冒険者資格を剥奪すると言ってきた。
チャラ男は騒ぎ立てたが、パーティーを
組んでいる女性三人に引きずられ、ギルドを出て行った。
周りの冒険者達もいつもの事なのか、直ぐに解散して、いつも通り、活気のあるギルドに戻った。
リンリアーネも挨拶をして部屋の奥戻っていった。
俺達三人も解散して、それぞれの宿に戻っていった。
宿のベッドに寝っ転がり、今日出会ったチャラ男を思い出す。
「あのチャラ男はしつこい様だから何度もサミアをナンパするだろうな」
一人呟きながら、これからチャラ男で苦労しそうな思いをいだきながら眠りについた。
誤字脱字がありましたら感想文などでお知らせください
また、ブックマーク、感想、評価がありましたらよろしくお願いします。