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MOON QUARTET  作者:
3/3

03*世界

お待たせしました。

序盤に出てくる人は後々重要になりますよ!(言っていいのかw)

ちょっとシリアス多いです。

ではどうぞ!

「レスター、お茶が欲しいわ」

「承知致しました」

外の世界は真っ暗闇に包まれている中、一際(ひときわ)明るく妖艶(ようえん)に輝く城があった。

その中の一室。ディナーを(たしな)み、執事に手渡された紅茶を優雅に飲む、とある異世界のお嬢様。

「レスター、貴方の紅茶の淹れ方は世界一よ。この上なく美味しく、美しい…」

お嬢様は、金箔が埋め込まれているティーカップを見ながら笑顔で言った。

「光栄で御座います」

「フフ…。でも、この場所に居られるのも、あと少し…。名残惜しいわ…」

「…そうで御座いますね」

お嬢様は紅茶を飲みほし、レスターに詰め寄った。

「ねえ、レスター。私の家の執事になって」

レスターは(うつむ)く。

「申し訳御座いません。私は此処から離れるわけにはいきません」

「!! お願いよ! 私…貴方がいい!」

レスターに抱きつくお嬢様は、メイクもボロボロで、泣いていた。

「私目を選んで頂き、有難(ありがと)う御座います。しかし私は戻れないのです」

「そんなっ…。嫌!!! お願いだから…」

レスターは自分の胸で泣いているお嬢様を優しく抱きしめた。

「申し訳御座いません。でも、私はお嬢様のこと、大事に思っています」

「……ぇ…?」

お嬢様は涙を眼に浮かべて顔を上げた。

「私は、ここ何年間、ずっと此処で次々といらして来る女性の執事をして来ました。私が一人の女性にここまで想いを寄せたのは、貴女が初めてです。お嬢様」

「本当…?」

「ええ」

レスターが笑顔で言うと、お嬢様は溢れんばかりの涙を流した。

「…うっ…。わ…私もレスターのこと大好き……っ」

レスターはお嬢様の頭を撫でた。

「うぅ…。……レスター…」

「はい」

お嬢様は小さな声で言った。

「最後の…想い出……。……キス………」

レスターは少し驚いたが、お嬢様が本気なのを見て、お嬢様の頬に手を寄せた。

「離れても、ずっと一緒ですよ」

静かな笑みを浮かべた。お嬢様は頷き、背伸びをして目を瞑った。

レスターは顔を近づけていった。

唇が重なる―――――。お嬢様がそう思った瞬間(とき)、強烈な頭痛と眩暈(めまい)に襲われた。

「え!? あっああああ!!」

(いたい)。脳が目一杯(めいいっぱい)そう叫んでいた。あああああああああああああああああああああああああ痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛いいいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!!

あああああああ止めてお願い痛いよ助けて頭が割れるあああああもう駄目痛い助けてレスター! レスター!!!!!!!


目を開けた時は、すぐ傍にいる(はず)のレスターの姿はなかった。さらに、さっきまでの痛みは全くなかったかのように、何処(どこ)かへ飛んでいた。お嬢様は周りを見回した。そして気がつく。

此処……私の部屋だ…。

時間切れってことなのね…。もう私は、レスターに会えない…。

お嬢様はまた泣いた。



「これはね、私の妹から聞いた話なんだけど…」

車中では、翠先生が運転しながら話していた。

  私の妹は、その日歩いて帰っていたの。時間は放課後ね。その日は、大雨だった。丁度お金を持ち合 わせていなかった妹は、仕方なく大雨の中自宅まで歩いて帰った。

  妹の家は市の郊外。中心部と郊外の境には大きな川が流れているのを知っているわよね。その川の上 の橋を渡ろうと思った妹は不図(ふと)立ち止まったの。何故なら何処からか叫び声が聞こえたか  ら。横で車が走る音、傘に雨が当たる音で(ほとん)ど聞こえなかったと言っても良かった。でも 妹は何か勘付いて辺りを見回した。橋の下を見た時、妹は走った。一人の少年が川に溺れていたから。

「…!!!」

ここまで静かに聞いていた星華と愁也は、其の言葉を聞いて固まった。翠先生は話を止めない。

  妹は川に飛び込もうとした。でも、出来なかった。妹は泳げなかったから。視線の先に、生死を彷徨 っている人がいる。なのに、自分は泳げない。助けを求めて叫んだ…。しかし大雨の中、川辺にいる人 などいる筈もなく、助けられるのは自分だけだった。妹は葛藤した。良心と悪心で。私が助ければあの 子は助かる? 助からない? 解らない。“あの子を助けても私は助からない”のかもしれない。どう すればいいの? 私の人生。あの子の人生。私は…。

  妹は、川に飛び込まなかった。

「!!! なん、!?」

星華が立ち上がって思いをぶつけようとした。が、愁也が腕を(つか)み、それを抑える。

「愁也…っ?」

「待て。今は話の続きを聞こう」

「何言ってんの!? 続きなんて分かり切ってるじゃん!! どうせその妹さんは罪悪感すらも感じないで今()()うと生きてんでしょ!?」

「星華!」

「………」

星華は大人しくなったように見えた。

「翠先生、続きを」

星華はもう我慢が出来なかった。

「何なの!? 何でいっつも」

「御免ね。話の途中で悪いんだけど、学校着いたわ。早く教室行きなさい」

黙っていた翠先生が急に話した。

其の言葉に二人は驚いた。窓の外を見ると、確かに彼らの学校があった。

「本当だ…」

「ほら、行くわよ」

星華の言葉の後に翠先生の言葉が続く。これ以上何も言わせない様に。

二人は黙って車から降りた。

「じゃ、またね」

綺麗な笑みで二人に言い、翠先生は職員玄関のドアを開けた。

残された星華と愁也は取り敢えず歩いた。一言も喋らずに。

玄関に入り、星華は靴を履き替える。

「あ…。ごめん。俺こっち」

愁也は今日来たばかり。最初に職員室へ寄らなければならない。

「あ、そっか。…じゃあね」

「うん。じゃあ…」

二人は笑いもせずに言った。

わからない。翠先生の妹は、陽を見たっていうの? 生死を彷徨ってる陽を? どうして助けなかったの? 大人なら助けるでしょ? 大人だから助けなかったの? 何でそれを私達に言ったの?

星華は考える。答えは探しても見つからない。こんな気持ちのままで、授業受けられるのかな。

そうだ。愁也っ!!

星華は職員室の方向に振り返った。其の時、世界が一周したような感覚がした。

「!!!!………………」

その感覚に驚いて目を閉じ、目を開けたら誰も居なかった。誰も。

そして音がしなかった。自分の呼吸も心臓の音も聞こえなかった。自分だけしか、いや自分も此処に居ないようだった。

な。に。こ。れ。

心も、苦しい感じがした。

それなのに、体は軽く動く。

と。りあえ。ず。き。ょう。しつ。い。こ。う。しゅう。や。は。しょく。いん。し。つ。に。はいっ。た。んだ。

星華は歩き始めた。


職員室の隣の部屋。印刷室で一人の男子生徒と一人の女性教師の影が重なっていた。

男子生徒は知らない制服。女性教師はショートの髪に眼鏡。

二人は唇を重ねていた。

お疲れさまでした。

「わからなくてついてけない」と思っている方、すみません。。後でスッキリすると思いますよ^^


あの日から1年です。東日本大震災で被災された皆様に、心からのお見舞いを申し上げます。

私は沿岸ではありませんが岩手県民です。1秒でも早い復興をお祈りします。


次回は4月中に!(修学旅行なので…)

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